表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朝鮮に落ちた女子大生、致命的な王に囚われる  作者: エモい姉さん
第一章 ― 朝鮮に落ちた女子大生、ユン・イナ ―
6/135

道を間違えたのだろうか




夜のとばりが静かに降りた。

窓の外では見えない雨が、静かに世界を覆っていく。

雨粒一つひとつが孤独な旋律を奏で、

静かな宮廷の中に、物寂しい気配を吹き込んだ。


布団を首元まで引き上げ、静かに息を潜めた。

一本のろうそくが、震える私の心を代弁するように静かに揺れていた。

落ち着かない心に、湯が沸き上がるような不安な感情と、言いようのない感情が一気に押し寄せた。

ここ数日、宮廷の中ではひそひそ話が絶えなかった。


殿下チョンハがチャン女官を中宮チュングンにお迎えになるそうだ。」

ミン氏一族が激しく反発していると聞く。」

大妃テビ様が直接手を打つとおっしゃっていたぞ?」


その言葉が、私の心を一つひとつ踏みにじるようだった。

このまま仁顕王后イニョンワンフが冊封され、

静かに忘れ去られ、死薬サヤクを賜り、現実に戻る。

私の計画は完璧だった。

そうだ。

計画だけは完璧だった。


(……すぐに実行できるわけがないじゃないか。)


心の中でその完璧なシナリオを反芻しながら、

押し寄せる眠気にゆっくりとまぶたが降りてきたその瞬間、

隣で誰かがそっと私の腕に触れた。


「チャン女官。」


囁くように、慎重な声。

はっと目を開けると、女官が一人、顔を近づけていた。


「お探しの方がいらっしゃいます。早く出ていってください。」


(……今、この真夜中に?)


呆然と体を起こした。

布団を掴んだ手は、空虚を掴んでいるかのように震えが止まらなかった。

上着を羽織って戸を開けると、

冷たく濡れた夜の空気が、もの寂しく私の息を撫でていった。

空は音のない涙を流すかのように、絶えず雨を降らせていた。

そして、その前に──

上膳サンソン様が、重々しい佇まいで立っていた。

驚いて頭を下げた。


「サ…上膳様…。」


(この夜更けに、一体なぜここに…。)


思わずため息が漏れてしまった。

(心を落ち着かせようとしているのに、なぜ放っておいてくれないのよ…。)


複雑な思いで掴んだ襟元をもう一度整え、

静かに足音を殺して上膳様の後を追った。

庭には霧が薄く立ち込め、

提灯すら灯されていない闇の中で、

かすかな月光だけが地面をなぞっていた。

そして、庭の真ん中に、

彼が立っていた。

彼の黒い龍袍ゴンリョンポの裾に触れた風が、

私へと移り、彼の温もりが触れるようだった。


「オクチョン。」


低く抑えられた優しい声。

その中に込められた感情は、あまりにも鮮明だった。

静かに息を呑んだ。


「こんな時間に…どうして…いらしたのですか、殿下…。」


私の言葉に、彼は静かに私の前へと歩み寄った。

手を伸ばせば届くほどに。


「会いたくて来た。」


……呼吸困難。

まともに胸がキュンとなった。

(なんでこんなことを、あの顔で、この夜中に…。)


粛宗はゆっくりと私の方へ歩いてきた。

私が本能的に後ずさると、

彼は歩みを止め、私を見つめた。

その長く伸びた睫毛の向こうに、月光がかかったようにきらめいていた。


「そなたは私を忘れたと言うが…」


彼の手が、慎重に私の髪の先をかすめた。


「…瞳は、覚えているようだ。」


(何これ…完全に口説き文句じゃない…?)


彼は私の髪をそっと撫でると、その唇に持っていった。

その姿に震えていた胸が、激しく高鳴った。

分かっている。

最近変わった私の話し方、

以前とは違う、そそっかしい行動が、

すべて宮廷中に広まり、

粛宗に愛される女性の

「愛らしさ」として解釈されていることを。

そしてこの人は、

それをすべて見て、また聞いているのだろう。


粛宗は静かに私の手を引いた。

その体温が、月明かりの下ではっきりと伝わった。


「私を遠ざけて、目を避け、距離を置いても、

私はそなたの瞳の中に残っている私が見える。」


心臓が……

うるさすぎる。


「私はもう、そなたの記憶が戻ることより、今のそなたをより望むようになった。」


彼は私の指を包み込むように握った。


「そなたが誰であろうと構わぬ。

今ここにいるそなたならば、私はどんな姿であろうと再び愛するであろうから。」


高鳴っていた心臓が、一瞬止まったような気がした。

何かが崩れ落ちるような感情が一気に押し寄せた。

彼の瞳が語っていた。

(彼女ではなく、今の私を見ているのだと。)

その真心が、熱く押し寄せてきた。

頭の中が真っ白になった。

その瞬間、

彼の温かい手が私の顎をそっと持ち上げ、軽く持ち上げた。

温かい唇の温もりが額に触れた。

軽やかだが、はっきりとした温もり。

ひんやりと濡れた夜の空気の中、

私たちを包んでいたのは、ただ

温かい温もりを感じさせる息遣いと、

心臓の音だけだった。


「だから…私から逃げるな、オクチョン。」


冷え切った空気の中で感じる

彼の温かい体温に、静かに目を閉じた。

この人のせいで、

運命も、歴史も、すべて狂ってしまいそうだった。

死薬ではなく、愛に死んでしまいそうだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ