深まる緑の香
濃くなった緑の香りが、
ゆったりと広がる池の水面に降り注いでいた。
彼と手を取り合って歩く間、
優しい温もりが汗よりも先に手のひらに宿る。
微かな風が吹き抜け、
その隙間から私たちの衣の裾がそよぐ。
繋いだ手は互いを引き寄せることもなく、
離れることもない。
ただ……隣にいた。
彼が私の瞳を見つめているのを感じた。
言葉をかけることはなかった。
代わりに息を整えるかのように、一歩遅れて隣に並ぶ。
月光が池の縁にかかり、揺らめいた。
その揺らめきの上に、過ぎし日の記憶が
水のように広がっていく。
ごくゆっくりと、私の口角が上がった。
背中に染み入る水音に合わせて、
小さな言葉を彼の心に投げかけた。
「中殿を……お迎えください。」
歩みを止めたのは彼だった。
小さく引き寄せられていた手が、
再び元の場所を探すように、静かに解かれる。
顔を背けることはなかった。
代わりに指先で、彼が手放した空虚な場所を
もう少しだけ、ぎゅっと掴んだ。
「影として残るという言葉、
もう、いたしません。」
軽く笑った。
その笑みが届かない瞳は、
もう少し遠く、池の向こうの闇を見つめていた。
「殿下を信じておりますから。」
池の上に虫が一匹舞い上がった。
水面は静かに揺らめき、
その中に月光がゆっくりと砕ける。
彼が頭を下げた。
長い睫毛の下で、
表情を隠すように視線がどこかへ落ちる。
彼は唇を開かなかったが、
一度目を閉じて開く間に、
心のひだが変わった。
その微かな震えを、
私は見逃さなかった。
「私は最後まで、殿下の女として生きるでしょう。」
つま先で小石を一つ触った。
軽く跳ねた水滴が足首のあたりを濡らす。
「それで、十分です。」
どうせ逆らえない運命じゃないか。
分かっているじゃないか。クールに受け入れよう。
彼が小さく息を吐いた。
そして、笑った。
その笑いが軽やかに感じられたなら、
もう少しは痛みが和らいだのかもしれない。
微かな震えが顎のラインを伝って流れる。
その笑いは静かで、痛々しかった。
何も言わず、
彼の手を再び握った。
今度は、
もう、揺らがないとでも言うかのように。
彼は驚いたように私を見つめた。
たとえ、その心がいつか私から離れていったとしても、
私は……死ぬまで殿下を愛するでしょう。
そして──
彼と過ごしたこの夏の夜は、
火傷の跡のように残り、
永遠に消えることはないでしょう。
消そうとしても──触れるたびにまた蘇るだろうから。
そしてそれがチャン・オクチョンの運命なのだから。
繋いだ手を撫でながら、言葉を続けた。
「殿下……手を繋ぎたいです。」
返事はなかった。
代わりに彼がゆっくりと指を絡めた。
その用心深い動き一つに、
心臓が小さく身を縮める。
火傷のように残ったあの夜。
火傷の跡のように、
時が経っても消えないあの夜が──
再び花開いていた。