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朝鮮に落ちた女子大生、致命的な王に囚われる  作者: エモい姉さん
第二章 破局の始まり、そして深まる心
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語られぬこと

灯火は風に軽やかに揺れた。

夏の中心に入ったという言葉がむやみに出るわけではないように、湿気を含んだ空気がそっと腕の間を撫でて通り過ぎる。

内側の窓を半分開けて座っていたのに、部屋の中は息が詰まるほど暑かった。

いや、暑いのではなく…

ただ今、私がこの場所に座っているからかもしれない。


寝殿チムジョンではなく、私邸サガ

宮中の中ですらなく、闕外ケロェ

金尚宮キムサングンを通じて聞いた宮中の動向を、再び頭の中で整理してみた。

そして、唇をきゅっと引き結んだ。

何もないふり。


しかし、あの戸が開くことを、

既に知っていた。


気配は、気づかれないようにする足取りであるほど、かえって鮮明に聞こえるものだった。

戸の隙間の向こうで、息を潜めた人影が、

かなり長い間、うろついていたことに気づいていたからだ。


そして、止まった足音。

心臓がそっと頭をもたげた。

間違いなく、彼だった。


おかしい。

まだ一言も聞いていないのに、

既に喉元が熱くなった。

戸が開いた。

息を吐き出さなかった。

息を吸った瞬間、

彼が消えてしまいそうで…。


彼は…

いつもと変わらず静かに私を見た。

名前も呼ばず、

ただその眼差し一つで私の心を撫で下ろした。

思わず笑みがこぼれた。

本当に、この人は──

毎回こうして心臓から惑わせてしまう。


体はすっかり良くなった。

歩き方も問題なく、

腰ももう痛くない。

たまにくしゃみをすると少しピリッとすることもあるが…。


膝を軽く曲げ伸ばししてみる。

そしてゆっくりと彼のほうへ近づいた。

彼が先に私の手の甲をそっと掴んだ。

たったそれだけなのに、

全身が一度に反応した。

言葉なく見つめ合った瞳の中に、

妙に熱い空気が漂った。

いや、熱いのは私の方だった。

何だか私が先に彼を求めたくなった。

だが、堪えた。

今日は…そのような雰囲気ではないと分かっていたから。


「殿下がおいでになると思っておりました。」


口角の端が少し乾いていたが、それでも言葉ははっきりと話せた。


「宮中の噂も、ここでの動きも、

全て聞きました。」


金尚宮が慎重に入ってきて話したこと、

そして全内人チョンナイン徐内人ソナインが心配そうに話していた宮中の状況、

本当に大丈夫だった。ユン・イナは。

そして大丈夫でなければならなかった。チャン・オクチョンは。


彼がわずかに目を細めて私を見つめたが、

私は彼の目を避けなかった。


「ですが大丈夫です。

影のように表に出ずとも…

殿下を愛することができます。」


これ以上あなたを困らせたくない。

少し息を整えた後、

無理に茶目っ気たっぷりに笑った。


「私は、ただ傍にいられるだけで良いのです。」


彼が眉間を静かに顰めた。


ああ、あの表情。


今、あの心の中で何を考えているのか、

おおよそ察しがついた。

彼が不満そうな表情で私に近づき、

静かに唇を奪った。

言葉よりも口づけが先に来た。


ゆっくりと、

私の口を塞ぎ、

なだめるように再び離す口づけ。


「そなたのいるべき場所は、朕の隣だ。」


唇が額にそっと降り立った。


「影として残るなどという言葉は…

言わない方がいいだろう。」


低く唸るような声。

その声さえ致命的に感じられ、胸がときめく。

彼は実に端正に脅す。

時にはこうして恐ろしく感じることもある。

その言葉に、思わず体が縮こまった。


ふと、

私も知らないうちに、

ほんのひと時でも運命を避けてあなたの隣に

長く留まりたい私の心が、

現世に戻ろうとする

頭を裏切ってしまっていたことに、

気づいた瞬間だった。


そしてまた一度運命は、

逆らおうとする私を私の座に座らせていた。


◆◆◆


夜が深まったのに、窓の外はまだ息をしていた。

三日月は雲に半分隠されており、

静かな気配が塀の外を徘徊する音が、

間欠的に聞こえてきた。


閔維重は書簡を閉じ、

静かに長い溜息をついた。


「コツン」と足音が聞こえたのは、

まさにその時だった。


大監テガム。」


彼が手にしていた書物の上に、

一筋の風のように声が降り注いだ。


「殿下が…

先ほど、密かに私邸に到着されたことを確認して参りました。」


言葉尻が慎重だった。

閔維重は書物のページを閉じながら、

指で「トントン」と本の背を押した。


「私邸? 殿下の私邸と申すか?」


「はい。そして…

内医院の者たちも私邸に動いた痕跡がございました。」


しばらく言葉がなかった。

長い沈黙が部屋を満たし、

その間、風に紙が一枚、机の上でそっと持ち上がった。


閔維重はゆっくりと顔を上げた。

深い額に線が刻まれるように皺が寄る。

視線を遠く窓の外に向け、

小さく、独り言のように呟いた。


「まさか…張氏がそこに…」


閔大監の目は意味深に沈んでいた。



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