語られぬこと
灯火は風に軽やかに揺れた。
夏の中心に入ったという言葉がむやみに出るわけではないように、湿気を含んだ空気がそっと腕の間を撫でて通り過ぎる。
内側の窓を半分開けて座っていたのに、部屋の中は息が詰まるほど暑かった。
いや、暑いのではなく…
ただ今、私がこの場所に座っているからかもしれない。
寝殿ではなく、私邸。
宮中の中ですらなく、闕外。
金尚宮を通じて聞いた宮中の動向を、再び頭の中で整理してみた。
そして、唇をきゅっと引き結んだ。
何もないふり。
しかし、あの戸が開くことを、
既に知っていた。
気配は、気づかれないようにする足取りであるほど、かえって鮮明に聞こえるものだった。
戸の隙間の向こうで、息を潜めた人影が、
かなり長い間、うろついていたことに気づいていたからだ。
そして、止まった足音。
心臓がそっと頭をもたげた。
間違いなく、彼だった。
おかしい。
まだ一言も聞いていないのに、
既に喉元が熱くなった。
戸が開いた。
息を吐き出さなかった。
息を吸った瞬間、
彼が消えてしまいそうで…。
彼は…
いつもと変わらず静かに私を見た。
名前も呼ばず、
ただその眼差し一つで私の心を撫で下ろした。
思わず笑みがこぼれた。
本当に、この人は──
毎回こうして心臓から惑わせてしまう。
体はすっかり良くなった。
歩き方も問題なく、
腰ももう痛くない。
たまにくしゃみをすると少しピリッとすることもあるが…。
膝を軽く曲げ伸ばししてみる。
そしてゆっくりと彼のほうへ近づいた。
彼が先に私の手の甲をそっと掴んだ。
たったそれだけなのに、
全身が一度に反応した。
言葉なく見つめ合った瞳の中に、
妙に熱い空気が漂った。
いや、熱いのは私の方だった。
何だか私が先に彼を求めたくなった。
だが、堪えた。
今日は…そのような雰囲気ではないと分かっていたから。
「殿下がおいでになると思っておりました。」
口角の端が少し乾いていたが、それでも言葉ははっきりと話せた。
「宮中の噂も、ここでの動きも、
全て聞きました。」
金尚宮が慎重に入ってきて話したこと、
そして全内人と徐内人が心配そうに話していた宮中の状況、
本当に大丈夫だった。ユン・イナは。
そして大丈夫でなければならなかった。チャン・オクチョンは。
彼がわずかに目を細めて私を見つめたが、
私は彼の目を避けなかった。
「ですが大丈夫です。
影のように表に出ずとも…
殿下を愛することができます。」
これ以上あなたを困らせたくない。
少し息を整えた後、
無理に茶目っ気たっぷりに笑った。
「私は、ただ傍にいられるだけで良いのです。」
彼が眉間を静かに顰めた。
ああ、あの表情。
今、あの心の中で何を考えているのか、
おおよそ察しがついた。
彼が不満そうな表情で私に近づき、
静かに唇を奪った。
言葉よりも口づけが先に来た。
ゆっくりと、
私の口を塞ぎ、
なだめるように再び離す口づけ。
「そなたのいるべき場所は、朕の隣だ。」
唇が額にそっと降り立った。
「影として残るなどという言葉は…
言わない方がいいだろう。」
低く唸るような声。
その声さえ致命的に感じられ、胸がときめく。
彼は実に端正に脅す。
時にはこうして恐ろしく感じることもある。
その言葉に、思わず体が縮こまった。
ふと、
私も知らないうちに、
ほんのひと時でも運命を避けてあなたの隣に
長く留まりたい私の心が、
現世に戻ろうとする
頭を裏切ってしまっていたことに、
気づいた瞬間だった。
そしてまた一度運命は、
逆らおうとする私を私の座に座らせていた。
◆◆◆
夜が深まったのに、窓の外はまだ息をしていた。
三日月は雲に半分隠されており、
静かな気配が塀の外を徘徊する音が、
間欠的に聞こえてきた。
閔維重は書簡を閉じ、
静かに長い溜息をついた。
「コツン」と足音が聞こえたのは、
まさにその時だった。
「大監。」
彼が手にしていた書物の上に、
一筋の風のように声が降り注いだ。
「殿下が…
先ほど、密かに私邸に到着されたことを確認して参りました。」
言葉尻が慎重だった。
閔維重は書物のページを閉じながら、
指で「トントン」と本の背を押した。
「私邸? 殿下の私邸と申すか?」
「はい。そして…
内医院の者たちも私邸に動いた痕跡がございました。」
しばらく言葉がなかった。
長い沈黙が部屋を満たし、
その間、風に紙が一枚、机の上でそっと持ち上がった。
閔維重はゆっくりと顔を上げた。
深い額に線が刻まれるように皺が寄る。
視線を遠く窓の外に向け、
小さく、独り言のように呟いた。
「まさか…張氏がそこに…」
閔大監の目は意味深に沈んでいた。