第二幕プロローグ ― 静寂に潜む亀裂 ―
空は穏やかで、雲一つなかった。
しかし、その平穏は、あまりにも静まり返った夜が危険であるように、
内側から、ゆっくりと亀裂を広げ始めていた。
十五日を過ぎたばかりの月光が、瓦の上を滑るように流れる。
宮廷は、その銀色の光の下で、深く息を潜めていた。
風一つなく沈み込んだ空気。
闇は整然としており、夜は冷淡だった。
世の全ての気配が、誰かの存在を否定するかのように、慎重に沈黙している。
しかし、隠されたものは痕跡を残す。
覆い隠された存在は、かえってより濃く香るものだ。
その夜、障子の隙間から染み込む月光の下で、人々の唇は慎重に開かれた。
誰も大声で話すことはなかった。
だが、誰もが知っていた。
彼女は、消えていない。
王の女は、いまだ生きている。
彼女の名を口にする者はいなかったが、
その名は、至るところで密かに呼ばれていた。
まるで息のように。影のように。
[あの女は、失踪したのではなく、隠されたのだ。]
耳に届くひそひそ話は、いつの間にか市井の裏路地を越え、
宮中の奥深くまで入り込んでいた。
私邸を通り、大殿にまで、その気配は実に慎重に、そして密かに動いた。
静寂は、裂け始めた。
閔氏一族は杯に手を伸ばすことができず、
宗親たちは、義禁府の顔色を窺いながら、言葉の尻を濁した。
朝廷の臣たちの間でも、
机の上の印鑑はたびたび止まり、
上奏文の末尾は、ことさら慎重だった。
誰も彼女を口にしなかった。
だが、誰も口を開かなくとも、彼女の不在は、
全ての席の均衡を、少しずつ歪ませていた。
大妃は黙って茶杯を持ち上げた。
香りは澄んでおり、
指先は微動だにしなかったが、
瞳に浮かんだ影は、重く沈んでいた。
戸の隙間から聞こえる足音のリズムさえ、
あの日以降は、全てが変わってしまっていた。
──あの日。
粛靖門の中。
最後にあの女の気配が残っていた日。
王は何も言わなかった。
臣たちの言葉が長引くほど、彼の眼差しは深まり、
内官たちは、その瞳を敢えて見つめることさえできなかった。
幾日も続く沈黙、私邸を巡り義禁府を派遣する命もなく。
彼はただ、時を繋ぎ止めるかのように、何かを待つ者のように、座していた。
彼が眠れないまま刻み続けた夜の数は、指の数では足りず、
冷たい部屋の中には、夜明けごとに寂しさが墨汁の染みのように広がっていった。
屏風の向こう、玉でできた硯に手を置いたまま、
彼は結局、誰も呼ぶことはなかった。
ただ、一つの名を反芻しながら。
──オクチョン。
その名は、彼を支配した。
誰もが知っていた。
彼が探し求めているのは、たった一人の人物であるということを。
彼女を。
彼女一人を。
最後まで。
第二幕、開幕!
第二幕が始まりました。
この一日、皆様に楽しんでいただけるよう、余裕を持って執筆に励みました。
ここまでお付き合いくださった読者の皆様に、心より感謝申し上げます。
もし、お読みになる中で不自然な点や修正が必要な部分がございましたら、いつでもお気軽にお申し付けください。
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