彼女は、変わった
(粛宗視点)
あの日のことを、今でもはっきりと覚えている。
彼女が初めて宮に足を踏み入れた日——
「一目惚れ」など、ただの誇張にすぎないと思っていた。
だが、チャン・オクジョン。彼女を見るまでは。
初めて見る顔だった。
それなのに、息が止まりそうなほどの美しさに、
私の視界は彼女だけで満たされた。
言葉一つ、歩みの一つ、目線の揺れまで気品に満ち、
その微笑みには、人の心を静かに揺らす力があった。
私の名を呼ぶとき、
少し迷いながら唇を上げるその様が、
胸の奥に淡く焼きついた。
誰とも違っていた。
彼女は、決して弱さを見せようとしなかった。
だからこそ、私はより深く惹かれていった。
けれど——
あの怪我の後、
彼女は明らかに変わっていた。
記憶を失ったと言った。
だが、私を見つめる瞳は……
不思議と、変わっていなかった。
むしろ——
彼女は以前よりも素直で、
どこかぎこちなくなって、
そして、ずっと愛おしかった。
梅の木の陰に隠れ、私から逃げようとする姿。
呼吸さえままならず、顔を赤く染める横顔。
そんな彼女は、かつてのオクジョンではなかった。
けれど……その視線の先には、いつも私がいた。
「記憶を失った」というその言葉は——
私を安心させようとする、
精一杯の優しさのように思えた。
春の雨がそっと降っていたある日。
冷たい霧雨に打たれながら、私たちは傘も差さず歩いていた。
体に染み入るような寒さの中、
彼女を急いで帰そうとした、そのときだった。
ふと、彼女の温もりが——
手に、そっと、触れた。
すべての鼓動が、一瞬で止まった気がした。
以前の彼女は、私の傍らにただ静かに立ち、
私の言葉にうなずくだけだった。
だが今の彼女は、
私の言葉よりも、
私の感情に耳を澄ませているようだった。
だから——
どうして、愛さずにいられるだろうか。
私は知っている。
彼女が、何か変わってしまったことを。
でも——
どんな理由があろうと、
今ここにいる彼女が、
私が愛するオクジョンであることは、変わらない。
障子の向こうから、
雨の香りが深く染み込んでくる。
濡れた塀の向こうにある景色はぼやけていたが、
その中で、彼女の姿だけははっきりと見えた。
私は、そっと目を閉じた。
『たとえ誰であろうと——
君は、私のオクジョンだ。』
唇の隙間から、静かに呟く。
「だから、逃げないでくれ。私が君を想うことを、恐れる必要はない。」
その言葉は、
胸に長く押し込めていた告白のように、
静かに——けれど確かに、
彼女へと届くことを願いながら、
ふわりと、空気に溶けていった。