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朝鮮に落ちた女子大生、致命的な王に囚われる  作者: エモい姉さん
第一章 ― 朝鮮に落ちた女子大生、ユン・イナ ―
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目覚めの朝、彼の温もり



まぶたが、くすぐったい。

おぼろげに降り注ぐ、朝日の先。

痛いほどの暖かさに、そっと目を開けた。

絹の布団の隙間から染み込む朝の空気には、

少し前まで肌を覆っていた、誰かの体温が、まだ残っていた。

息を吸い込むと、慣れ親しんだ香りが、鼻先をくすぐる。

温かく、そして、濃密だった。

昨日とは、完全に違う世界が、

今、私の内側に、確かに存在していた。


そして──

少し、動こうとした、その刹那、

骨の関節一つ一つが、神経質に反応した。

腰のあたりを中心に広がる痛みが、

あの夜の、全ての記憶を、静かに巻き戻すように、呼び起こした。


…あああああ、くぅっ。


本当に…。

生きてきて、初めて経験する、痛みだった。

筋肉や骨の関節が、それぞれにその存在感を誇示するように、

悲鳴を上げている。

特に腰。腰…その腰が…。

布団をぎゅっと握りしめ、息を吸い込んだ。


…どうかしてる、私。


本当に。

壊れるかと思うほど、強く抱きしめられ、

息が、全て絡み合った瞬間。

本当に、体と体が、溶け合ってしまうかと思った。

昨夜は…

確かに、夢ではなかった。

ゆっくりと、顔を上げた。

そして──

あの人。

隣に横たわる顔を見た瞬間、

再び込み上げてくる幸福感に、

自然と笑みがこぼれた。

長いまつ毛の下を掠める光、

まっすぐに伸びた鼻筋、

絵画のように整った唇のライン、

顎の先から首筋へと続く、完璧な曲線。

一本の筋までもが、鮮明だった。


…わぁ。

わぁ、本当に、粛宗の肖像画を描いた絵師は…

三族滅ぼされてもおかしくないわ。

私の目の前のこの人は、それよりも、遥かに、遥かに、とんでもなく魅力的だ。

あまりにも、端正な顔立ちをしている。

あまりにも、あまりにも、整いすぎている。


彼を、ただ、あてどなく見つめていたら、

水が流れるように、ゆっくりと移った視線が、

じわりと、下の方へと、滑り落ちていってしまった。


あ。

ああああああああああああ。


一瞬、頭の中が真っ白になった。

本当に顔が破裂しそうだった。

顔を背けようとした、その瞬間──

こつん。

目が合った。


「……。」

「……。」


彼が、目を開けた。

少し、とろりとした瞳。

わずかに乱れた髪。

その全てが、昨夜へと繋がっているようだった。

そして、かすれた彼の声が、聞こえてきた。


「……オクチョン。」


彼が、名を呼ぶやいなや、私は跳ねるように身を起こした。


「あやややややややややっ!!!」


腰。

腰が痛い…。


私は、ほとんど倒れ込むように、その場にへたり込んだ。

腰を抱きしめ、うずくまる。

頭はくらくらするし、本当に、あまりに痛くて死にそうだった。

彼が驚いて身を起こし、

あらわになった…その体に、

再び、私の顔が、カッと熱く燃え上がった。

私は、泣きそうな声で言った。


「見ないでください…本当に…ひっ…」


少し、ためらった彼は、慌てて布団を整えると、

私を抱きかかえて、そっと横たわらせた。

布団を優しくかけ直し、静かに言った。


「動くな。」


真剣で…あまりにも、優しい声だった。

彼が、額に口づけをしながら、続けた。


「今日は、決して微動だにするな。」


短い一言。

その中には、心配と、愛が、あまりにも深く染み込んでいた。

首元まで上げてくれた布団を、目の下まで引き上げる。

恥ずかしくて、顔から火が出るようで、なんだかおかしくて…

でも、心が、あまりにも温かくて。

少し、笑みがこぼれた。

そっと、彼の、手を、探して握った。

少し緊張していたかのような手は、

私の手の中で、ゆっくりと、力が抜けていく。

彼は、低く、囁いた。


「動くな。今日だけは。

これ以上、お前を苦しめたくはない。」


その眼差しは、真剣そのものだった。


…いや、本当に、疲れないのかしら…


静かに布団を引き上げながら、何も言わずに彼を見つめた。

優しい瞳。

その中に、私がいた。

朝日は、柔らかく部屋の中を照らし、

風も、そっと窓枠を撫でて通り過ぎる。

彼との視線が、何も言わずに行き交った。

昨日よりも、

今日よりも。

愛する人と、

互いの腕の中で。

世界が止まったかのような、この瞬間。

ただ二人だけが存在する場所。

その中で、

もう一度、互いに微笑み合うことができた。

永遠に。

そうして、共にいられることを、願っていた。

1幕が終了いたしました。至らない点や不自然な部分もあったかと思いますが、ここまでお読みいただいた読者の皆様に、心より感謝申し上げます。


日曜日一日お休みをいただき、より豊かで面白い2幕で戻ってまいります。どうぞ楽しい週末をお過ごしください。

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