表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朝鮮に落ちた女子大生、致命的な王に囚われる  作者: エモい姉さん
第一章 ― 朝鮮に落ちた女子大生、ユン・イナ ―
46/131

募る恋慕、二つの固き誓い

どれほど、そのような日々が過ぎただろうか、

重く沈んだ便殿の雰囲気は、

息をするのも苦しいほどに、ずしりと圧し掛かっていた。

その深い闇と、凍りつくような沈黙の果てに、

粛宗は、ただ独り、長い玉座に静かに身を置いていた。

手には上奏文が握られていたが、

彼の視線は、どこにも留まることはない。

机の上には、朝廷の文書や、簡択カンテク準備の書状が、無造作に散らばっていた。

まるで山のように積み上がった紙の束に埋もれていながらも、

彼は、その中のたった一枚の書状さえ、目を通すことができずにいた。


尚膳は、息を潜め、用心深く周囲を整える。

部屋の中は、水底に沈んだかのように、しんと静まり返っていた。

粛宗は、無意識のうちに、ゆっくりと顔を上げた。

がらんとした窓の外。

どこまでも広がる、青い空。

この宮廷の、どこを探しても、彼女の姿はなかった。


チャン・オクチョン…


どれほど、目を背けようとしても、

まるで息のように、影のように、纏わりつく名前。

粛宗は、静かに、瞼を閉じた。

深く、そして、長く。

その閉じた瞳の奥へと、絶え間なく、彼女が流れ込んでくる。



その頃、宮中では、女官たちや尚宮たちの口を通じて、

粛宗に関する、ある噂が、ひそやかに、しかし確実に、広まっていた。


「主上様が、チャン尚宮様を失って、心身ともに衰弱されているそうだわ。」

「狩り場でも、弓を折って戻ってこられたらしいわよ。」

「簡択も、無理だと聞くわ。」


粛宗は、その全ての噂を、知っていた。

しかし、それを止めようとはしなかった。

ただ、そうして、噂が広まっていくのを、成り行きに任せていた。

閔ユジュンも、大妃も、

朝廷の重臣たちも、彼らの思惑通りに動くよう仕向けるために。

彼らが、そうして自分たちの意志を貫徹している間、

彼は、静かに、そして周到に、準備を進めていた。


簡択が終わりを告げる寸前、その局面を、一気にひっくり返すのだ。

閔氏一族が、勝利を確信する、その瞬間に。

瞬き一つする間もなく。

オクチョンを、直接、中殿の座に就かせるだろう。


粛宗は、ゆっくりと、指を動かした。

トン、トン。

卓子を軽く叩く、乾いた音。

しかし、彼の心に宿るものは、嵐のように荒れ狂う、激しい感情の波だった。

すでに、全ての準備は整っていた。

時が来れば、彼が周到に仕組んだ、その計画通りに、全てが動くだろう。

粛宗は、静かに、手の甲で額を擦った。

ズキン、と痛む頭が、彼の整った眉間に、

まるで波紋のように、深い皺を刻む。

毎日、この時間になると、決まって押し寄せる、あの感情。


あまりにも、狂おしいほどに恋焦がれる思いを抱えた、

まるで毒のような、切ない相思病だった。



その頃、私邸。


オクチョンは、肌触りの良い絹の布団に包まれたまま、窓の外を眺めていた。

風が、そっと頬を撫でる。

初夏の空は、目も眩むほどに青く、

まるで何も起こっていないかのように、ただただ平和だった。

揺れ動く、彼女自身の心とは対照的に。


‘死ななければ、もとの世界へは戻れない。’


夢の中で聞いた、最後の声。

そして、その声の主が、結局は『自分』であったことを

悟ってしまった彼女は、再びその夢が脳裏に蘇り、

きゅっと、唇を噛みしめた。

息苦しい思いに、乱れた呼吸が彼女を苦しめ、

震える手が、その心の動揺を物語っていた。

ひんやりとした指先。

ほんの少しの間、願ってさえいた。

帰れるものなら、帰りたいと—

しかし、

もう、自分の心が、よく分からない。


本当に、あの人を置いて、帰れるのだろうか…?


窓障子の向こうから、陽光が静かに降り注ぐ。

その温かい光に包まれて、彼女はゆっくりと目を閉じた。

そうして、少しずつ強張っていた彼女の表情が、

小さな微笑みを浮かべるまでには、それほど時間はかからなかった。


愛する人の顔が、彼女の脳裏に鮮やかに描かれる。

彼女を見るたびに、三日月のように弧を描く、冷たくも鋭い目元、

彫刻刀で丹念に彫られたかのように、精巧で高く伸びた鼻筋、

そして…見るたびに息が止まりそうになる、その魅惑的な唇まで。

頼りになる彼の広い胸、そして、

自分を守ろうと、もがき苦しんだあの日の記憶に触れた瞬間、

彼女はもう、迷うことはなかった。


二度と、彼のこの手を離さない。

たとえ運命が、私たちを引き裂こうとも、

彼が、私の手を離そうとも…私は決して、離さない。


ついに、心に深く誓った。

この愛を、必ずや成就させると。

どんな運命も、

どんな恐れも、乗り越えてみせると。

彼女は、静かな高鳴りを胸に抱き、

窓の外を、じっと見つめた。

どこまでも続く、青い空。


その遥か彼方、威厳に満ちた高貴な宮廷にいるであろう、

その人を想いながら、そっと瞼を閉じた。


愛しています…殿下…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ