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朝鮮に落ちた女子大生、致命的な王に囚われる  作者: エモい姉さん
第一章 ― 朝鮮に落ちた女子大生、ユン・イナ ―
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大妃の命、秘めたる救済


窓の向こうから、陽光が優しく差し込んでいた。

しかし今日の陽光は、なぜか重かった。

私は用心深く居所の門を出た。

金尚宮が秘密裏に近づき、囁いた。


「大妃ママ様が、ママ様に静かに会いたいと仰せでございます。」


その一言に、心臓がドクンと沈んだ。

そして…何も言わずに頷いた。

裙裳の裾を整え、美しく髪を撫でつけた。

一歩一歩、力を込めて歩いていくと、

いつの間にか大妃殿の前にたどり着いた。


静寂に包まれていた。

風一つない朝。

空は青く澄んでいたが、大妃殿の大門は黒く影を落としたように重々しかった。

慎重に敷居を跨いだ。


ママ様が何も言わず静かに座しておられるのが、もうずいぶん経っていた。

白玉の扇を静かに握ったまま、端正な姿勢で。

私は息遣いさえ飲み込み、用心深く待った。


「チャン尚宮。」


長い沈黙を破ったママ様のお声は、低く静かだった。

顔を上げた。


「…はい、大妃ママ様。」


ママ様は静かに私を見つめた。

長い時間。

時折微かに広がる笑みのようなものが目元をかすめては、すぐに沈んでいく。


「そなたに頼みがあって呼んだのだ。」


私は驚いてママ様を見つめた。


「は…は、は、仰せつかりましょう、ママ様。」


大妃は毅然とした声で続けた。


「今すぐ支度をして、宮を去るのだ。」


瞬間、胸元が締め付けられるように苦しくなった。

世界が静止したようだった。


「……ママ様…」


震える唇を固く閉じ、苦しげに口を開いた。


「小妾は、殿下の傍におりたいのでございます…」


息をのみ、ほとんど泣きそうな声で付け加えた。


「去りたくありません…殿下を置いては…」


ママ様は何も言わず私の瞳を見つめた。

その眼差しには、言葉にできない無数の感情が宿っていた。

哀惜。憐憫。そして決意。

優しくも堅固な口調で言葉を続けられた。


「私もわかっている。」


白玉の扇が慎重に閉じられた。


「だが、生きねばならぬ。チャン尚宮。そなたの生きる道は、この道だけなのだ。」


その言葉は、優しかったが石のように重かった。

唇をぐっと噛み締めた。

指先が震える。

息が喉に詰まって、飲み込めなかった。


しかし──

ママ様の眼差しを見た瞬間、わかった。

どんなことも通じない壁のような、その決意を。


嫁姑の対立というには…何かおかしい。


ママ様が私を見つめる目は、多くのことを語っていた。

私を案じているのだと…感じられるその眼差しに、これ以上言葉を続けることができなかった。

頭を下げた。

そして息を殺し、小さく囁いた。


「……命、承ります。」


熱いものが目元に込み上げてきたが、

懸命に飲み込んだ。

ママ様はしばらく私を見つめてから、静かに口を開いた。


「そなたの信じる者たちを連れ、静かに去るが良い。

まもなく主上が狩りに出ると聞く、その隙を利用せよ。」


深く頭を下げた。

指先まで震えたが、決して悟られまいと努めた。

障子の向こうから、風がかすかに吹き抜けた。

陽光は優しかったが、全身が冷えきった。


しかし一つだけは確かだった。

大妃ママ様は今、

私を救おうとしておられるのだと。


チャン尚宮が戻った後。


大妃は静かに窓の外を眺めた。

流れる雲。ほのかな風。

そのすべてが、朝鮮という国の重みを覆っていた。


大妃は目を閉じた。

まだあの子は知らない。

巨大な渦の真ん中で、自分がどれほど危うい立場にいるかを。

指先で扇をゆっくりと撫でた。


今──

朝鮮の安寧のため、何かを決定すべき時が近づいていた。

大妃は扇を静かに閉じた。


そして誰にも知られぬように、

ごくわずかに、頭を垂れた。



第1幕のクライマックスへ向かっています。いつも応援してくださる多くの読者の皆様に心から感謝申し上げます。素敵な金曜日をお過ごしくださいね。

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