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朝鮮に落ちた女子大生、致命的な王に囚われる  作者: エモい姉さん
第一章 ― 朝鮮に落ちた女子大生、ユン・イナ ―
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私のようで、私ではない、私のような体




意識を取り戻してから、数日が過ぎた。

認めたくはなかったが、私は朝鮮時代の女性になっていた。

死んでから再び生まれたのか、この体に魂だけが入ったのかは分からないけれど…。


(現実の私はどうなったんだろう。

死んでしまったのかな?

お…母さんは、どうなるんだろう?)


言いようのない不安に襲われるたび、鳥肌が立つほど不気味だったあの声が、脳裏に蘇る。


(定められた道とは何だろうか。

そして、私はなぜこの体に入っているのだろう。)


何も分からなかったが、

一つだけ確かなことがある。

この体、とても綺麗だ。

心からそう思った。


初めて鏡で自分の顔を見た時、心臓がどきりと音を立てた。

明らかに私の姿であるようなのに、どこか距離を感じる、

生まれて初めて経験する感情を味わわなければならなかった。

肌は雪のように白く、目元は潤いを湛えているようにくっきりとしていた。

唇は赤い杏のように美しく、笑えばえくぼまでできる。

鏡を見ながら、「このビジュアルなら、人を虜にするだろうな」という奇妙な確信すら抱いた。


もう数日になる。

ただ窓の外を眺めて過ごしている。

障子の向こうには、塀と梅の木、風と陽射し。

だが、見慣れた電線も、エアコンもない。

友達もいない、レポートもない、バイトもない…。

そして、お母さんもいない…。


本当に、朝鮮に来てしまった。

そして…私は、張玉貞チャン・オクチョンだ。

ありえない夢だと思ったし、

時には、どこかに隠しカメラでも仕掛けられているんじゃないかと考えた。


奇妙なささやきが、頭の中でぐるぐると回る。

「定められた道から外れれば、戻ることはできない。」


何を意味しているのだろう。

張玉貞という人物の運命を知っている私は、彼女の最期を知っている。

賜薬。

死。


それを避けるべきなのだろうか。

避けてはならないのだろうか。

もしかして、何もかも投げ出したいと思った私の心のためだったのだろうか。

だから、こんなことが起きたのだろうか?


押し寄せる思考に、頭が痛くなってきた。

頭の中がごちゃごちゃだ。

その瞬間、聞き慣れた声が聞こえてきた。


「オクチョン、どこにいるのだ!」


ああ…。

彼だ。

…王。


大殿の庭を横切って響き渡る、低く柔らかな低音。

どんなロマンスドラマにも出てきそうな、重低音ボイス。


戸惑い、慌てて身を隠した。

彼の顔と向き合いたくなかった。

不思議と、切ないような感情がこみ上げてくるのが嫌だった。


朝鮮にまで来て、まさかロマンスだなんて。


私の心とは裏腹に、足音はどんどん近づいてきた。


「見つけた。」


くそ。


彼の声が、頭上から降り注いだ。

深々と頭を下げたまま、静かに立ち上がる。

彼の温かい視線に、目を合わせられないまま口を開いた。


「申し訳ございませぬ、殿下…」


彼は何も言わず、しばらくの間じっと私を見つめていた。

ぎこちない沈黙の中を、風だけが通り過ぎていく。

長い静寂の後、彼は尋ねた。


「もしや、まだ記憶が戻らぬのか。」


私は目を丸くして、頷いた。

記憶を失ったという設定。

なかなか使える設定だ。

彼の眼差しからは、私が知らない感情が溢れ出していたから。

他人の記憶と感情がごちゃごちゃに絡み合っている今、

私自身も、自分が誰なのか確信が持てないのだ。

彼の眼差しには、心配と憐憫、そして奇妙な愛情のようなものが宿っていた。


静けさが漂う中、彼の言葉が続いた。


「私の言動が、そなたに不快な思いをさせたのか。」


複雑な思いが先行した。

今、自分の存在すらまともに把握できていない状態で、

どんな言葉も口にすることができなかった。

ただ、私を見つめる彼の眼差しは、あまりにも致命的で、

強烈だが、温かいと形容するには足りない、何かを宿しており、

ひたすら重苦しく感じられた。


首を横に振った。


「いいえ…まだ…少し、めまいがして…」


言葉を濁すと、彼はそっと近づき、私の手を握った。

自然と私の視線は床へと向かう。

一歩、また一歩と、慎重に進んでくる彼の足音。

息遣いが触れるほど近かった。

耳元に低く囁く、魅力的な声。


「そなたが本当に私を遠ざけたいと願うなら、

そなたの心から欺かなければならないだろう。」


耳の先が痺れるように感じられ、

心臓がごとりと落ちるような感覚がした。

分かっていた。

あの人を見るたびに、高鳴る心臓が落ち着かないのを見ると、

この二人がどれほど深く愛し合っていたか、知ることができた。

だが、その感情は、私の感情ではなかった。


彼は静かに私の頭の上に手を置いた。

異質な温かさが伝わってきた。

少し前まで拒絶したかった感情たちが、

そっと、とても静かに、私を包み込むように押し寄せた。


振り返り、彼は言った。


「そなたが楽になるまで、待とう。」


私は、その背中を長い間見つめていた。

がらんとした心の中央に、青々しい土の匂いのような感情が、

静かに染み込んできていた。


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