《月明かりの下の二人》
夜風が ひときわ** 肌寒く 感じられる 季節が やってきた。
今日**、ひときわ** ぐずる ユンを なんとか** なだめて** 寝かせた** 後、乳母に 世子を 預けて 久しぶりに 殿下と 共に** 庭園を 散策した**。
夜風は 日中の 熱気を 冷ましてくれ**、月明かりは 銀の** 粉のように 庭園の 上に** 降り注いでいた。
殿下は 終始** いじけた** ような 表情で、私の** 傍らで 低い** 声で** つぶやいた。
「毎日** 世子ばかり 抱きしめているのだから、朕は** いつも 二の次だな。」
その** 口調が 可愛らしくて**、思わず 笑いが こみ上げた。その** 笑いに 殿下が 不満そうに 私の** 手を** ぎゅっと** 握りしめた。
「私は** 真剣なのに、そなたにとっては** 冗談か。」
「いえ**、そうではございません**。あまりにも 急に** そのような お 言葉を 仰るので** 少し**……**。」
可愛らしいという** 言葉は、とうてい** 言えなかった**。ただ** 努めて 笑顔で 流そうとしたが、私を** 見つめる** 殿下の 眼差しは** 深淵の 湖のように 益々** 深まっていった。その** 眼差しが** 私の** 心の** 片隅を ちくちくと えぐり 込んだ。
「殿下**、一つ** お 尋ねしても よろしいですか。」
暫く** 優しげな** 目で** 私を** 見つめた** 後、頷いた。彼の** 微笑みは** 春の** 日差しのように あまりにも 柔らかく** 温かく 感じられた。
この 言葉を 言っても* 良いだろうか**。ひょっとして** 気分を 害するのではないだろうか**。*
不安が 先行したが、勇気を 出して 口を** 開いた。
「ひょっとして**……私よりも** 若く** 美しく、知恵深い** 女人が 現れたら**、殿下は どうされますか。」
話してしまうと かえって** 私の** 胸が** どきりと** 落ち着かなくなった。裾が** 風に** 揺れ**、私の** 視線は とうてい** 彼の** 目を** 向くことが できなかった**。
瞬間**、何も** 言わずに** 近づいてきた** 殿下が 私の** 顎を** そっと 持ち上げた。深い** 瞳が** 私を** 貫くような 眼差しで** 見つめていた**。
「それを 今 言葉に するか。」
何か** 答える 前に** 彼の** 唇が** 重なった**。月明かりと 共に** 理性が 霞むほど** 熱く**、確実な 答えだった。深く** 入り込む** その** キスに 背筋が 戦慄で 震えた。息が** 切れると** 彼は** 少し** 離れ**、ゆっくりと 額に** 口づけた**。
「私にとって 女人は そなた 一人だ。私の** 中殿も 世子の 母も** そなた 一人だ。もう** 言葉は 必要か。」
その** 断固たる** 声が** 心臓の 奥深くに** 降り立った。胸の** 中の** 不安が 雪が** 溶けるように** 消え去り**、目元に 熱い** 水気が 溜まった**。彼を** 正直に 見ることが できず 視線を 落としたが、殿下は 再び** 私に** 近づき 耳元に 囁いた。
「私の** 心を** 疑うとは**、罰を** 受けるべきだな。私の** 心を** 決して 疑うことが できないように してやろう。今夜も 眠れないだろうから、覚悟するがよい。」
真剣でありながら** 戯れる 彼の** 言葉に、ぷっと 笑いが 噴き出してしまった。
「殿下の このような 姿を** 他の** 者が** 知るのではないかと 恐ろしいです**。」
言葉を 全て** 継ぐ** 前に**、彼は** 腰を** 抱き** 寄せて 懐に** 閉じ込めた。月明かりの 下、私たちの** 影は** 一つの 体のように 長く** 伸びた。近い** 吐息が 絡み合うと、自然と 目が** 閉じた。庭園の 間から 穏やかな** 風が** 吹き** 抜けて 裾が** 揺れ**、月明かりが 銀の** 粉のように 降り注いだ。その** 月明かりの 下、彼の** 懐の** 中で** 私の** 心は** 深く** 溶けていった**。
そうだ、殿下は こんな 人だった**。朝鮮に 渡って 初めて 見た** 瞬間から** 今まで 一度も 変わらなかった 人……**。
月明かりが 庭園の 上を** 銀色に 覆っていた。暫く** 彼の** 胸に** 寄り添い**、夜風の 中で** 心臓が 高鳴る 音を** 聞いた。
この** 瞬間だけは 身分という 枠を** 脱ぎ捨てて、ただ** 一人の 男と** 一人の 女人**、互いの 心に** 寄り添って 立っている だけだった。




