紅い夕焼け
「出て行け……とおっしゃいましたか?」
ソウィ(側室の位)の声は小刻みに震え、手足の全てががくがくしていた。
彼女を見つめる閔維重の眼差しが厳しく吹き荒れた。
「聞き取れなかったというのか。今日からそなたは私の娘ではない。キム・マンジュン大監の家に行きなさい。彼がそなたを補佐すると言ったからな。」
「叔父様!」
ソウィの絶叫とも言える声が爆発するように部屋中に響き渡った。彼女の目から流れ落ちる涙が心臓まで落ちた。
「わ……私も死にます。私も叔父様に従います。私も共に……」
バチーン——!
ソウィが言葉を最後まで終える前、雷のような音と共に首が回った。
震える手で頬を押さえ、閔維重を見つめた。
「そなたが本当に私を思うなら、そう言ってはならぬ。生き残り、家門の名誉を回復せねばならぬ。どうしてそのような弱い言葉を吐くのだ。そなたの決心はたかがこれだけだったのか。」
鋭く突き刺さる彼の声に、ソウィはへたり込んだ。そしてこみ上げてくる悲鳴とも言える絶叫をぐっと抑え、すすり泣いた。その姿がか弱く、痛々しく感じられた。
閔維重は力なく座り込んだソウィを胸に抱きしめた。初めて感じる彼の体温に、ソウィはすすり泣きを止め、彼を見つめた。
「生き残るのだ。
生き残り、歴史に長く名を残す王后となるのだ。
そうして、我々の家門が後代にも輝けるように、私の死が無駄にならないように、そなたが守ってくれ。」
彼の低い声がソウィの胸に突き刺さった。悲しげにすすり泣くソウィの涙が胸を裂くように痛く感じられた。
一晩中降り続いた雨で湿った風が吹いてきた。閔維重の私家は夜明けから重い沈黙に包まれていた。
前夜、ソウィをキム・マンジュンの家へ急いで送り届け、閔維重は家族の慟哭を背後に、板の間に座り、静かに目を閉じていた。
正午が近づくと、ついに外から馬のひづめの音が聞こえてきた。戸が開き、紅い官服を着た都承旨が入ってきた。彼の後ろには、賜薬を入れた紅い漆の木の箱を持った女官たちが従っていた。
都承旨は冷たい表情で庭に立った。
「罪人 閔維重は御命を承れ!」
都承旨の断固とした声が家中に響き渡った。
彼は板の間から用心深く降り、床に敷かれた敷物にひざまずいた。閔維重が席に着くと、教旨を広げた都承旨が教旨を朗読し始めた。
「罪人 閔維重は、国本である王子の世子冊封を妨害し、国母である中殿の位を謀害し、宗廟社稷を乱すという大逆不道の罪を犯した。よって、賜死を命じる。」
閔維重は静かに席から立ち上がり、宮廷に向かって拝礼した。最後に粛宗に捧げる挨拶だった。
拝礼を終え、顔を上げて空を見上げると、血よりも濃い夕焼けが頭上に広がっていた。
何一つ持って行くことのできない人生のために愚かなことをした臣を、お許しくださいませ、殿下。
用心深く都承旨の前にひざまずいた。彼は震える手で杯を受け取った。熱い涙が彼の頬を伝って流れ落ちたが、彼の表情は相変わらず超然としていた。
しばらく杯を見つめていた彼は、ためらうことなく杯に注がれた黒い賜薬を全て飲み干した。やがて杯が冷たい石の床にぶつかり、「チリン」という音が響いた。
彼の体は瞬く間に硬直し、全身をねじ曲げ始めた。血を吐きながら倒れる彼の姿の上で、家族たちの慟哭の声が天を裂くように響き渡った。
紅い夕焼けが広がった空が、最後に彼の目に入った。最後に見たこの世の空は美しかった。
こんなに美しい空を見たのはどれくらいぶりだろうか……
なぜ今まではそうすることができなかったのだろうか。
目にたまった涙が頬を伝って床に落ち、赤く充血した彼の目の上にまぶたが覆いかぶさった。
都承旨は微動だにせずその姿を見守っていたが、頭を下げて礼を表すと、後ろも振り返らずその場を去った。
家の中には倒れた閔維重の亡骸と、その上に降り注ぐ家族たちの泣き声だけが残った。
王の権威と法度の下、一時代の巨木が無残に倒れていった。




