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彼の心が私に届くとき



突然押し寄せてきた殿下の奇襲訪問に、魂が抜けたようだった。


もちろん予想していなかったわけではないが、兄上と話していた水を堰き止めることに関する文書を探すのに夢中になっていたせいで、殿下が入ってきたことに気づかなかった。


明白な私の過ちだった。この国朝鮮では、中殿であっても女性が政務に関与することは禁じられていたため、殿下が知ればどうなるか分からず隠そうとしていたのだが、こんなに早くバレるとは夢にも思わなかった。


兄上が明後日、星湖ソンホ先生に会いに行くと言っていたのに……明日までに仕上げておかなければ、兄上を通して渡すことができない。


隠そうとする私の姿が寂しかったのか、執拗に食い込んでくる殿下の息遣いを耐えながら持ちこたえていた。彼に話せないのは……もしかしたら彼の心を失うのではないかという恐れからだった。


「まだ話すつもりはないのか。」


いたずらっぽく上がった彼の口角に、顔を覆った。顔に触れた冷たい指先がかすかに震えた。


一瞬の油断をついて、私をひょいと抱き上げた彼が、寝台に私を横たえた。


ああ……百日まで待つと言ったのに……


このような拷問は、心臓に良くありません、殿下……


急に食い込んできた彼の唇に、目を閉じた。久しぶりに感じる感覚のせいだろうか、下腹部がチクリと痺れた。ゆったりと動く余裕のある手つきに、頭の中がおかしくなりそうだった。


「そなたの敏感な部分は私が全て知っているというのに……数えきれないほど夜な夜な私に抱かれたのを忘れたのか。」


耳元に突き刺さる彼の声に、きつく閉じていた目を開けた。彼の眼差しは相変わらず愛らしいというように微笑みを浮かべながら私を見つめていた。


あなたという人は本当に……


波のように押し寄せる込み上げる感情に、下唇を噛みしめた。私を見つめていた殿下の首を引き寄せた。深く絡みついてくる息遣いを感じながら、絡みついてくる手つきを感じた。


戸惑っているように感じられたが、それも長くは続かなかった。もしかしたらさらに火をつけたのかもしれないが。


ためらっていた彼が、唇にチュッと音が鳴るようにキスをすると、体を起こした。そしてすぐに私を起き上がらせ、微笑んだ。


「このままでは、またそなたを苦しめてしまいそうだ……真昼間からな。」


大切なものを扱うような彼の指先を感じながら、再び胸がジーンと鳴り響いた。


私を見つめる彼の視線には、固い信頼と愛が滲み出ていた。


彼を信じられなかったのか、それとも運命を信じられなかったのか……


ためらいながら、私は後ろに隠していた絵と本をごそごそと整理し、膳の上に置いた。


私の姿に「そうだろうと思った」というように、彼の目が見えなくなるほど曲がり、半月形になった。


私が最も愛する微笑み。その微笑みなら、命までも捧げられるような気がした。


「つまり、水を堰き止める方法を考えていたというのか。」


粛宗の当惑したような口調に、彼女は深く頭を下げた。


彼女が差し出した本と絵をざっと見渡し、虚脱した笑みを浮かべた。


「殿下が兄上を戸曹判書に内定されたというお話を聞き……民の助けになることはないかと思い探していたところ……考えがそこまで及んで兄上と話を交わしました。女の身でこのようなことをして申し訳ございません、殿下。」


朝鮮の歴史において、外的な事柄を女性が扱うことはなかったため、彼女は自分がしている行動が粛宗を欺く行動かもしれないと考え、再び意気消沈した。


彼はやや驚いた目で彼女と絵を交互に見ながら口を開いた。


「それでこの絵は何だ。」


しばらくためらっていた彼女は、用心深く口を開いた。


「現在の朝鮮の技術では大きな堤堰を造るのは難しいように思え、文献を通して次善の策を探してみました。ひとまず、現在の堤堰とせきの強度を強化し、階段式に設計すれば、今よりもっと効率的に制御できるかと思い……そして、また周辺の小さな河川や渓谷の方に小規模な堤堰を造って農業に活用できるようにすればどうかと……絵に描いてみました。」


後ろに行くほど****小さくなる声が、彼女の心境を代弁していた。ひょっとしてこの一言が彼女と尹を危うくするのではないかという思いに、全身が凍りつくように硬直した。


粛宗は長い間その絵と彼女が書き残した文を見つめていた。その微妙な表情に、玉貞の胸がドキドキと鳴り始めた。


失敗したのではないか、** 괜히 이야기したのではないか……長引く静寂の中で、数万の考えが頭をかすめた**。


頭を下げている彼女を見つめる粛宗の視線が鋭く煌めいた。


これは女性の知識ではない。


そして、並大抵の朝鮮の学者たちも、これほどの考えはしなかった……。


以前の疫病事件の時も、粛宗は彼女が並外れた人物ではないかと思っていた――その彼の考えが確信に変わる瞬間だった。


彼は微笑んだ。そして、今にも泣き出しそうな表情の彼女に近づいた。


「見れば見るほど、聡明で愛らしい女性ではないか。これほど賢明だとは……」


思いがけない粛宗の言葉に、半分閉じかけていた彼女の目が、うさぎのようにぱっと開いた。


そんな彼女が可愛いというように見つめていた粛宗が再び口を開いた。


「この件は私がチャン大監と話してみよう。だから今後、再び一度でも進上を断るようなことがあれば、幾日でも部屋に閉じ込め、何も考えられないようにするだろう。分かったな。」


耳たぶまで赤くなった彼女が彼を見つめた。相変わらず愛らしいというその微笑みに、不安だった心が少しずつ穏やかになっていった。


「怒らないのですか、殿下。」


「国母として民のことを思うのが、どうして怒るべきことだというのか。そなたが誰であろうと、どんな姿であろうと、再び愛すると言った私の言葉を、もう忘れたのか。」


ああ……


彼女の胸が再び込み上げた。女官だった頃、真夜中の庭に呼び出して言ったその言葉を、まだ忘れずにいた。


賜薬ではなく愛に死ぬことになりそうだと感じたあの日が、再びパノラマのように鮮明に脳裏をかすめると、不安感にこらえていた涙がポロリとこぼれた。


突然の彼女の涙に、彼が近づき目に口を近づけ、再び囁いた。


「泣くのは寝台の上だけにしろと言ったではないか。」


粛宗の視線は、不安に揺れていた彼女をしっかりと捉えて離さないように堅固で温かかった。


外の冷たい風とは対照的なその温もりが、彼女の胸を溶かした。


永遠に彼の胸に留まりたいという欲望をぐっと抑え、今は何も考えずに彼の胸に抱きつきたい気持ちだけだった。


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