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百日までどうして待てるというのか



忌々しい大殿会議が長引いたせいで、昼食の進上の時間が遅れた。


玉貞はもう食べただろうか。


もしかして、大殿会議の内容を聞いただろうか?


会いたかった。


彼女の姿を思い浮かべるだけで、胸が高鳴った。なぜか分からない高揚した気持ちに、足取りはどんどん速くなった。


生まれて初めて愛した人、死んでも愛する人。張玉貞という女性に出会えたことが、一生一代の幸運に感じられるほどだった。これほどまでに誰かに夢中になるとは、想像もしていなかった。


子供を産むと気持ちが冷めると聞いたが、誰がそんな根拠のないことを言ったのか、見当もつかない。むしろ以前よりも燃え上がっているように思うのだが。


中宮殿に到着すると、ほのかな梅の香りが鼻先を包み込むようだった。彼女の体臭が感じられるような気がして、幸福だとさえ感じた。


ゆっくりと階段を上ると、中宮殿から膳を持って出てくる水剌間スラッカンの女官たちが見えた。膳を一通り見ると、一口もつけていないように見えたので、彼女たちに尋ねた。


「中殿は昼の進上を受けなかったというのか?」


「も……申し訳ございません、殿下。中殿ママがご体調が優れないとのことで、膳を下げていたところでございます。」


彼女たちの言葉に、私の頭がハッと反応した。以前、彼女が気を失った時を思い出した。


体調が優れないとは。


まさか、また無理をしているというのか。


慌てる気持ちで急いで中に入ると、キム尚宮が恭しい顔で礼を尽くした。


「玉貞が体調が優れないとは本当か。」


私の問いに戸惑った様子のキム尚宮は、もごもごと言葉をまともに続けることができなかった。彼女の疑わしい反応に我を忘れた私は、即座に戸を開けて中に入った。


もしかして横になっているのか。


御医様は呼んだのか。


体力管理をしっかりするようにあれほど頼んだのに、またこんなことが……。


急いで飛び込んだ中宮殿で彼女の姿と向かい合ったが、


……どこも悪くないではないか?


何にそんなに没頭しているのか、夢中になって本を見て、何かを照らし合わせているような姿が見え、私が来たことさえ気づかないほど集中していた。


そういえば、こんな状況は何度かあったな……。


静かに彼女に近づくと、何の絵か分からないものを描きながら、本を見て何かを呟いていた。


「コンクリートがないから……石と石灰を利用して構造物を強化して……川の本流ではなく支流と河川を活用してみるのが……」


意味不明な言葉を呟きながら絵を描く彼女の姿をじっと見つめた。尹が病にかかって以来、さらにやつれた様子だった。ただでさえか細い彼女の手首が、さらに細く見えた。


「進上を断るほど急ぎの用だというのか。」


突然聞こえた声に、顔を上げた彼女は私と目が合うと、慌てて広げてあった絵と本を閉じて背中に隠した。


「殿下、この時間にどうして……」


何かを露骨に隠そうとする彼女の行動に、気分が妙になった。


釈然としないというか……不快な感じ?


「私に言えないことなのか?」


私の反応に戸惑った様子で目を大きく見開き、しばらくもごもごしていた彼女は、用心深く首を縦に振った。


初めて見る彼女の行動は、寂しさを通り越し、得体の知れない嫉妬心まで引き起こした。玉貞を信じられないわけではないが、すねてしまうのはどうしようもなかった。ほんの一瞬でも彼女の関心が他の場所に行っているという事実が嫌だった。


こんなことを考えている私がまるで狂人のようだが……。


彼女に近づき、戸惑う彼女を抱き寄せた。ただでさえ軽かったのに、子供を産んでからもなかなか食べないのを心配していた。彼女は相変わらず羽根のように軽かった。


ぴったりと収まる彼女の愛らしさに、大殿での出来事もついさっきの出来事も全て忘れてしまうほど、揺れていた心が穏やかに落ち着いた。


普段とは違い、顔さえ上げられない彼女を見て微笑んだ。


これは……単なるすねる程度で済む話ではないようだ。


弓の弦のように美しく弧を描いた腰の線と背筋をそっと撫で上げ、力を込めて掴めば折れてしまいそうなか細い首筋に唇を近づけた。


ビクッとしながら腰に腕を回してくる彼女の腕が感じられた。


首筋を舐め、その線に沿って耳たぶまで唇を持っていくと、彼女の口から甘い嬌声が漏れ出した。


「まだ話すつもりはないのか。」


耳元で囁く私を、恨めしさと切なさが入り混じった眼差しで見つめる彼女。その目が狂おしいほど可愛らしく感じられる私が、心底狂っているように思えた。


毎晩、あの瞳に可愛らしく結ばれる甘い涙が再び思い出された。


ああ……百日まで我慢すると決めたのに、本当に……。


彼女の前での私は、どうしてこうも別人になってしまうのだろうか。彫刻のように細かく砕かれた理性さえも打ち崩すほど、彼女は私にとってそれ自体が完全な世界だった。


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