月明かりの下
暗い夜、冷たく冷え切った心のように冷たい風が荒々しく吹き荒れる日、粛宗は用心深く重い足取りを移し、足早に宮廷を出た。
彼は立ち止まりたかった。あるいは、立ち止まりたくない心を隠したかったのかもしれない。
名分は整い、西人全員を締め付ける証拠さえも彼の手中にあった。それにもかかわらず、彼は確認したかった。このまま捨てても良いのかを。
微行(王の外出)に出た彼の傍らには、希載も同行していた。王の微行に外戚が同行するのは極めて異例なことだった。
彼の足取りは重く、冷たかった。
そうして到着したある私邸の前で、彼は顔を上げた。閔維重の私邸……ここが、この戦いの最後を飾る場所だった。
「だ……大監様!!て……殿下が……殿下がお越しになりました!」
執事の当惑した叫びに、閔維重が裸足のまま飛び出してきた。この遅い時間に、他の者でもない殿下が直接行幸されるとは……最近戻らない執事の動向を把握しにくいことから、良いことではないのは明らかだった。
外へ飛び出してきた彼の目に映ったのは、月明かりに照らされた端麗な若い王と、その側近であり外戚、そして芸者(妓生)の兄のような顔で自分を脅迫していた張希載だった。
しばらく呆然とした様子で立っていた彼が、急いで頭を下げて礼を尽くした。
「主上殿下、玉体ご清祥でございますか。」
彼の挨拶が気に入らないというように、顔を背けている粛宗を、裸足のまま駆け下りて迎え入れるように愛しの座敷へと入っていった。
庭に残された希載は、しばらく月明かりを見つめながらため息をついた。
いっそ殺してしまえば済むことなのに……殿下はあまりにもお優しい……。
彼は首を振った。**教旨**を下せば終わる話なのに、なぜこの場所まで行幸したのか理解できなかった。
空には今にも降り注ぎそうに美しい星々が散りばめられ、眩しいほど明るい月が彼を見つめていた。
淡々とした顔で空を見上げていた彼が、人の気配を感じて振り返った。そこには、彼が注視していた棘のある花、**廃妃閔氏**がいた。
二人は一瞬息をのんだように立ち止まり、互いを見つめ合った。
先に正気を取り戻したのは希載だった。彼は急いで礼をとり、頭を下げた。そして、ソウィもためらいながら着物の乱れを整えた。
「殿下にお目通りに来られたのですか。」
そうだった。粛宗がここにいるという言葉に、無我夢中で飛び出してきた。自分に一片の感情さえ持たない彼に会おうと、狂ったように走り出てきたのだ。髪は乱れ、着物さえも乱れていた。
彼女は希載の微笑みを見て正気を取り戻した。自分の境遇がどのような状況か、どれほど悲惨か。まるで自分を侮辱するように見える視線は、彼女をどん底まで落としめるようだった。
「妹の権力を笠に着て殿下の目に留まった狐の子を見るようだな。お前がいつまで殿下を意のままに操れると思っている?」
棘のある彼女の言葉に、目が丸くなった彼はやがて失笑を漏らした。
「なぜそんなに刺々しくなられるのですか、ママ。私はただ評判の良くない遊び人に過ぎません。私がいくら羽ばたいたところで、それが鳥だと見なされるでしょうか。私はただ噛みつく獲物を探す、オオカミの子と変わらない人間でございます。」
予想もしなかった希載の言葉に、毒気がたっぷり回っていた彼女の目つきが、戸惑うように緩んだ。
ただ憎悪と怒りで生きていた彼女の胸に、熱い矢が刺さるように感じ、憐れな彼の目を見て自分が失言をしたとさえ思った。
「お辛いでしょう。私も同じです。妹がママのせいで苦しんでいると聞いたときは、さらに辛かった。花のようなあなたも、棘によって痛みを感じるとは知りませんでした。」
彼の鋭い目つきと刺のある言葉が慰めのように感じられるとは思いもしなかった。月明かりは冷ややかに降り注ぎ、二人を照らしていた。
廃妃閔氏と張希載。一方は捨てられた国母であり、もう一方は中宮の兄。決して同じ場所に立てない二人が、同じ月明かりの下に立っていた。
初めて宮廷で顔を合わせた時、彼らの眼差しは刀の切っ先のように鋭かった。閔氏の唇から流れ出た言葉は毒のある嘲笑であり、希載もまた皮肉で応酬した。
互いに向けた最初の言葉は侮辱だったが、今の二人は言葉にできない別の感情がこみ上げていた。希載の短い言葉の端々に妙に滲む孤独が、ソウィの胸を刺すように突き刺さった。
彼は明らかに中宮の味方についた敵だった。しかし、彼女の目に映る希載の影は、権力を失い、生きる場所を奪われた者だけが知る自分の寂しさと似ていた。
なぜ……?
ソウィの眼差しが揺れた。一瞬でも彼女は、自分が吐き出した毒舌が、かえって自分自身を狙っていることに気づいた。彼女が意地で支えていた壁にひびが入った。何かが胸の中で崩れ落ちるように感じた。
彼の目から孤独と悲しみを読み取ると、彼もまた自分と変わらないのだと感じた。
彼女は身震いしながら頭を下げたが、ついに喉元までせり上がった言葉は出てこなかった。彼の眼差しに映る自分自身があまりにも無残に見えたからだ。
自尊心で耐えようとした息遣いが乱れ、その隙間に長年押し込めていた恐れが染み込んできた。彼は敵なのだから、彼は自分を打ち破る敵なのだから。
彼女の心を読んだかのように、一瞬立ち止まった彼が、再び美しい微笑みを浮かべた。
「恨めしいですか。ママが当然持つべき地位を、卑しい女などに奪われたことが悔しいですか。ですが、忘れないでください。その地位は私の妹が奪ったものではなく、ママが自ら手放した場所です。」
彼の鋭い言葉に、彼女の目に涙が溜まった。彼の言葉は間違っていなかった。口実を提供したのは自分自身だった。その恨みを外に向かわせようと努力しただけで、自分の失策であることには変わりがなかった。それゆえに、なおさら彼女はその場所に戻りたいと思った。再び機会を得ればうまくやれるという思いと、失った名誉を再び取り戻せるという思いで。
「月明かりが美しいです、ママ。」
希載の低い声が静寂を切り裂いた。ソウィは本能のように顔を上げて夜空を見上げた。花を刺繍したように広がる美しい星々と、冷たく流れ落ちる月明かりは、彼女が私邸に追いやられてから初めて感じる平穏だった。
一瞬でも恨みも野心も忘れさせる瞬間だった。
しかし、その平穏は決して長くは続かなかった。二人の間に流れる空気は、月明かりのように冷たく、炎のように危険だった。彼らは敵であり、互いの破滅に向かって進まねばならない運命だった。
それにもかかわらず、一瞬交差した眼差しは、まるでずっと昔から知っていた人の目のように馴染み深く迫ってきた。
これほど余裕をもって空を見上げられることが、改めて感じられた。冷たく吹きつける風とは異なり、胸からは熱い何かがこみ上げてきた。
致命的なほど美しい男。彼女の敵同然である現中殿の唯一の肉親である兄。
彼女は背を向けた。
何も言えなかった。
彼にも、
そして自分自身にも。




