初恋
兄上が帰った後も、殿下は私のそばを離れようとしなかった。毎晩のように中宮殿を訪れ、王子と時間を過ごすのが常だった。最初はそうだろうと思っていたが、時間が経つにつれて少し心配にもなった。
出産前は安定期に少し熱い夜を過ごしたが、やはり懐妊中だったので制限的だったし、今やもう何ヶ月間我慢しているのか数えるのも難しいほどなのに、殿下は大丈夫なのだろうかと思った。
いや、それより王がこれでいいのだろうか?側室を何人も持ち、子どもをソーセージのようにずらりと持たねばならないのではないか?
ああ、もちろん私だけを愛してくれるのは嬉しいが……。
眠っている王子を愛おしそうな目で見つめていた彼が、私の視線に気づいたのか、顔を上げて私を見た。目がすっかり弓なりに曲がり半月になってしまった彼が、狂おしいほど愛おしかった。
「あの……殿下は、側室は必要ではございませんか?」
私の言葉が意外だったのか、一瞬動きが止まった彼が、驚くほど冷たい表情を浮かべた。
あ……その表情、承恩尚宮になる前の晩に見た、あの顔だ……
まずいことに触れてしまったのだろうか……
硬い表情でさっと立ち上がり私に近づいた彼が、私の前にどかっと座った。
「突然どういうことだ。」
弁解を求めるかのように無理に口角を上げた彼の姿を見て感じた。どうやら私が失言をしたようだった。
「いえ……私は……他意はございません。ただ……殿下が大変お疲れかと……。」
しばらくふくれっ面をしていた彼が、相変わらず冷たい目で私を見つめた。そして、息遣いが届くほど顔を近づけてきて、毎回私を困らせた白く細長い指で帯紐をなでた。
「私がどれほどお前を求めているか知っていて、そんなことを言うのか。」
ポツリ、ポツリと途切れる彼の声に、心臓がバクバクと打ち始めた。まるで初めて彼に抱かれた時のように、顔が真っ赤に火照った。
「毎晩、何度となく夜明けまで放してやらなかった私を知っていて、他の女を抱くのを見たいというのか。」
一瞬、余計な口を利いたのではないかと後悔が押し寄せた。ただ心配で投げかけた言葉だったのに、殿下の前では全てが重みを持つ。軽い言葉一つにもあのように真剣に反応する彼を見ると、私の心の片隅がくすぐられるように温かくなったかと思えば、すぐに不安が頭をもたげた。
ああ、この人はいつも私を全てだと考えているのだ。
この気持ちが運命に逆らって、最後まで行くことができるだろうか……
心臓がドキッとして重く鼓動した。もちろん知っていた。彼の愛は、最初から今まで一貫していた。しかし、運命は絶えず自分の道へと私を押し込んでいた。
あの人が出てくる時期が近づいていることを予期していたので、ほんの少しは彼の反応を見たかった気持ちもあったのだ。崔淑嬪。彼女に会ったのだろうかという思いに。おそらく、閔氏の廃位後に彼女と会ったと記憶しているため、私が望まなくても運命がそちらへ動くだろうという不安と焦燥が絶えず私を苦しめていたからだ。彼女の登場が、張玉貞時代の没落の始まりとなるため、今私がどこまで来ているのか知りたかったのだ。
「なぜ、お前は時々そんなに寂しそうな顔をするのだ。」
突然口づけをしながら話す殿下の言葉に、当惑した。
「私がそんな表情をしましたか。」
「そうだ。お前が怪我をして以来、いつも今にもどこかへ去ってしまいそうな、そんな雰囲気を出していた。不安になるほどにな。」
ああ……そうだったのか。
未来を知ってそれを受け入れるというのは、本当に難しいことだったのだから。その考えを思い浮かべるたびに胸が痛んだが、それを殿下も感じておられたのだ……
「恐縮です、殿下。ただ悪い考えが少しよぎっただけです。」
しばらく私をじっと見つめていた彼が、私を強く抱きしめた。広々とした彼の胸に抱かれると、不安だった心が少しは落ち着いた。
「玉貞、私にとって女はお前だけだ。お前は私から逃れられない。死んでもお前は私の女だ。だから、いかなる場合でも去るつもりはするな。」
そうだ。
死んでも殿下の女。
たぶん、私はあなたの手で死んだとしても、あなたを恨まないだろう。それはあなたのためではなく、運命のせいだろうから。だから、あの女に会って私を捨てることになっても、恨まないだろう。あなたを愛すると決めたのは、私の意志なのだから。
夜はますます深まっていった。障子越しに染み込む風は冷たくかすめたが、彼の胸は熱く私を抱きとめていた。
この場所で死んで現世に戻ったとしても、彼と共にした全ての瞬間だけは忘れたくなかった。
彼に初めて許したこの心は、永遠に消えることはないだろう。




