苦い後味
深い夜、灯火一つだけが微かに光る部屋の中。温かい茶を一口飲むと、昼間の騒乱が少しずつ鎮まるように感じた。
全てが計画通りになった。西人たちは私の手のひらの上で最後の悪あがきをし、彼らの最も強力な最後の武器は今、私の手に入った。連判状。その名前だけでも重々しい書物を開くと、一字一字刻まれた西人大臣たちの名前が私に向かって光を放つように見えた。
得意満面な笑みを浮かべながら、名前をざっと見下ろしていった。
宋時烈、金寿恒、金萬重……
随分と書いたな。並大抵の西人は皆入っているな。
最後まで目を通していると、手が止まった。
あれ……?
二度、三度見直しても、その名前は見えなかった。金萬重。彼の名前がなかった。
「ハハ……」
先日、廃妃がこっそり抜け出して金萬重に会ったことが思い出された。明らかに何かあるとは思っていたが、連判状に彼の名前がないとは思いもしなかった。
皆が命を懸けて連判状に署名するとき、彼は名を連ねなかった……
だとしたら……連判状が最後の手段ではないということか。
鳥肌が立った。この連判状で全てを終わらせたと思ったのに。これ以外に何か他のものが中殿ママを狙っているという考えに、恐ろしいほどの虚脱感さえ覚えた。勝利は甘いはずなのに、後味が悪く、苦い感覚だけが残った。
「誰かいるか。」
私の呼びかけに、影のように従う部下二人が現れた。
「今すぐ金萬重について調べよ。彼が何をしているのか、どこへ行くのか、誰に会うのか、一つも漏らさず一挙手一投足を監視し、報告せよ。」
部下が去り、飲んでいた茶碗が目に入った。先日、王子ママに会うために中宮殿に立ち寄った日、玉貞と交わした会話が思い出された。
「兄上、今回のことはそう簡単には終わらないでしょう。」
彼女はいつも理性的だったが、その日はひときわ不安な気色を隠せなかった。普段とは違い、わずかに上気したような彼女の姿に、飲んでいた茶碗を置いた。
「私が憂慮しているのは、廃妃の次の一手です。」
彼女の言葉に、一瞬戸惑った。近頃、彼女が不安そうに見えることはあったが、今日はひどく深刻だった。玉貞を見て、ふっと笑った。
「次の一手だと?中殿ママ、あまりにも先走りすぎではありませんか。すでに全てを失った廃妃が、どうして次を持ちうるというのですか。」
彼女はしばらく王子を見つめてから、硬い表情で私を見つめた。
「兄上らしくありません。兄上がもし崩壊させる立場であったなら、いつ事を進めますか。」
彼女の言葉に交じった冷笑に、一瞬ぞっとした。彼女の目はいつにも増して鋭く、初めて得体の知れない恐れを読み取った。動揺した気持ちを抑え、微笑みを浮かべて彼女に頭を下げた。
「恐れ入ります、ママ。」
彼女は首を振り、困ったような顔を見せた。
しばらくためらってから、何かを決心したような顔で私を真っ直ぐに見つめた。
「いかなる状況でも、兄上の安否をお考えください。私は私の運命が定めた道を行くでしょうが、兄上はそうなられてはなりません。」
心から心配がこもった彼女の言葉に、私の眼差しは揺れた。彼女が私を心から心配しているという事実に驚きながらも、彼女の言葉に込められた別の意味を探ろうと努めた。
間違いなく何かある……これ以上話してくれないということか。
我に返った。目の前の茶碗は、すでに冷たく冷え切っていた。喉を通る冷めた茶から、後味の悪い苦い感覚がした。
完璧な勝利が、もしかすると巨大な罠の入り口かもしれないというぞっとする予感。その予感を必死で振り払おうとしたが、背中に感じる冷たい寒気だけは拭い去ることができなかった。
さて……では、どうするのが良いだろうか。




