すれ違う影
赤子の泣き声を乗せた風が、中宮殿の土塀を越えて世間へと流れていった。
粛宗の第一王子誕生を記念し、市場は祝祭ムードで湧き立っていた。人々は互いの背を叩き合い、慶賀の挨拶を交わし、餅を分け合い、王室の慶事を自分のことのように喜んだ。市場のあちこちに響き渡る歓声は、民心がどこを向いているかを明確に示していた。
しかし、祝杯の笑い声が高まるにつれ、風はより深い闇の中で燃え上がる不安を察知した。
風は宮廷の内側、固く閉ざされた門の中で開かれた西人たちの会合を通り過ぎていった。遅い午後、明るく差し込む日差しの下に集まった彼らの顔には、微塵の光も宿っていなかった。固く結ばれた唇と震える指先には、冷たい決意が宿っていた。紙に滲んだ墨のように重い影が、部屋の中を圧迫した。
「殿下が、中殿張氏の生んだ子を世子に封じる意向を明らかにされたと聞いた。朝廷がひっくり返ったそうだ。」
「あの子が世子になれば、張氏は即ち世子の母后となる。廃妃ママの復位を推し進めたところで、何の意味があろうか。閔氏一族の道は完全に閉ざされることになる。」
低く割れる声が、煤けた煙のように天井を這い回った。沈黙に包まれた部屋の中、大臣たちは血の気のない顔で互いの顔色を窺った。その時、固い沈黙を破り、宋時烈が重々しい咳払いをしてから、冷たく口を開いた。
「我々は大義名分を掴む。大義名分こそが我々の命であり、その大義名分とは即ち、国の骨格を守ることに他ならない。どうせこのように死ぬも、あのように死ぬも同じこと。一度きりの人生、志を曲げる理由がどこにあろう。」
淡々とした彼の言葉が、石のように部屋に落ちた。一部の者は血の気のない顔で互いを見つめ、不安そうに手を震わせ、他の一部はいっそ死を覚悟したかのように固い決意を固めた。
「我が一族の全てを賭けて、**友庵先生**の仰ることに従います。」
「金寿恒大監と閔維重大監も志を曲げなかったというのだから、我々も退くことはできません。このまま退けば、我々は歴史の罪人となるでしょう!」
鬱憤を噛み殺すように吐き出される声ごとに、風は冷たく震えながら部屋をかすめた。
門の外に流れ出た風は、すぐに表情を変えた。風は再び、別の会合へと流れ込んだ。
広い庭の上、昼から酒杯が交わされ、筆先は長く祝辞を書き連ねた。肌寒かった西人の屋敷とは違い、ここは火のように熱かった。南人たちの家は幕を払い、大きく開かれた門を通じて笑いと勢いを噴き出させていた。
「王室の長子、これ以上何を言う必要がありましょうか?中殿ママが産んだ嫡子ではありませんか!」
「その通り!万古の大義に従わない理由がどこにあろう!大義名分はすでに我々に移ってきたのだ!」
豪快な笑い声と共に酒杯がぶつかった。許積と尹鑴ら南人の巨頭たちは声を高め、張希載もまた彼らの間に交じって静かに笑みを浮かべていた。
「長きにわたり待ち望んだ瞬間ではありませんか、大監!殿下の決心に天が応えられたのです!」
「張大監、おめでとう。中殿ママの血筋は結局そなただけではないか。」
「ハハ、何を仰います。全て殿下の福というものですよ。」
謙遜の仕草の裏で、酒を一気に飲み干す彼の口元に微かな笑みがよぎった。全てが順風のように流れているように見えたが、希載の眼差しはいかなる瞬間も曇らなかった。彼は酒杯を傾けるふりをして頭を下げ、大臣たちの靴先に付いた小さな土埃までも見逃さずに観察した。
場の雰囲気がさらに熟していく瞬間、ギーという音と共に裏手の離れ座敷の扉がそっと開いた。許積の弟、許堅が用心深く身を低くして出てきた。彼の足取りは揺れ、きょろきょろと見回す視線は不安げに震えていた。まるで酔いの中の秘密を隠そうとするかのように、彼は外へと歩みを進めた。
その瞬間、彼の後ろ姿の上にもう一つの影が差した。希載だった。
つい先ほどまで笑みを振りまいていた顔は消え、彼の眼差しは鋭く細められていた。
「あの者がこぼした足跡一筋たりとも見逃すな。影さえも気づかれてはならぬ。」
希載の密やかな囁きに、黒い服を着た部下は虚空に染み込むように消えた。彼が消えた場所を見つめる希載の目に、冷たく光る光が宿った。
風はその眼差しをかすめながら、間もなくさらに大きな火の手が上がることを予感した。




