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お産ってこういうものだったのね

暖かく降り注ぐ秋の陽射しが戸を叩いた。朝食を済ませて少し気だるさを感じて横になっていた私は、数日前からチクチクと痛み始めたお腹に、少しずつ緊張を覚え始めていた。


この間、膨らむだけ膨らんだお腹のせいで、横向きに寝ても不快、仰向けに寝ても不快。座っていると腰が張り、立っていると足が痺れて……。


ねえ、出産するときだけ大変だって言ったじゃない。


妊娠がこれほど大変だなんて、私がどうして知っていたっていうのよ。


子どもを宿してから、母に会いたいという気持ちが切に募ったが、それでも毎日を共にする殿下のおかげで、少しはしっかりと気持ちを保つことができていた。


初めて感じた時は感激するばかりだった胎動は、子どもが生まれる時期が近づいたせいか、今やほとんどUFCの格闘技レベルに変わっていた。蹴られるたびに全身が響き、ひどい時には痛みさえ感じる。それでも元気だということが何よりだと思い、必死に耐えていた。


今日は、どこかいつもと違う痛みの強さが感じられた。


「中殿ママ、今日も散歩に出かけられませんと。


お体を動かされなければ、坊ちゃまも出てこられるのが早くなると申します。」


キム尚宮の支えを受けて立ち上がった私は、膨らんだお腹を抱え、用心深く歩き始めた。


「お腹で足元が見えないわ……。」


「小人が支えさせていただきます。」


キム尚宮の手を握り、慎重に一歩一歩踏み出した。ところが、普段とは違い、足を踏み出した途端、下腹が引き裂かれるような激痛が波のように押し寄せてきた。


「うっ……」


瞬間的に体勢を保てず、そのまま広縁に座り込んだ。支えていたキム尚宮の顔が真っ青になった。


「ママ!大丈夫でございますか!」


波のように押し寄せる苦痛に何も言えず、**震える手で腹を掴んだ。**息をするたびに体が容赦なく震え上がった。


想像もしていなかった苦痛だった。


いや、ちょっと待って。


まだ始まったばかりなのに、こんなにまで痛いの……?


前世で出産を経験したことはないが、できちゃった結婚をした友人が話してくれた出産エピソードを、真剣に聞いていたことが今になって夢にも思わぬ助けになるとは。


いや、待って……助けになっているのかしら……?


「汽車がお腹の上を通り過ぎるようだ」、「鼻の穴からスイカが出てくるようだ」、**「まさに死ぬ直前に子どもが出てくる」**と言った言葉を……。


当時は微笑んで聞き流していたのに、考えてみれば、ここは無痛分娩の注射もないし、帝王切開も……ないじゃない!


ガクガクと震える体は、まさにサシバのししばのきのようだった。


規則的な陣痛がだんだん短くなりながら分娩室に入ったと言っていたが、どう考えてもこれは陣痛に違いない。


キム尚宮は私の顔色を窺うと、やがて正気に戻り、慌てて周囲の女官たちに叫んだ。


「何をしている!直ちに内医院に駆けつけ、ママのご容態を伝えよ!早く!」


彼女の鋭い声に、女官たちは恐れおののいて四方八方に散らばった。中宮殿はあっという間に緊張と混乱が入り混じった。頭の中が真っ白になっていくのを感じた。


キム尚宮の支えを受けて部屋の中に入った私は、しばらく立って陣痛を全身で耐えた。


「くっ……キム尚宮……痛すぎる……。」


手を握ってくれているキム尚宮の手は震え、汗ばんでいた。


「中殿ママ、私が傍におります。どうか気を失わないでください。」


この世界で母も同然のキム尚宮の慰めに心が少しは落ち着いたが、絶え間なく襲ってくる産みの苦しみは、相変わらず死ぬほどだった。


楽しまなきゃ……楽しまなきゃ……うっ……う……


良いことを考えるのよ、良い……くっ……お母さん……


しばらくして、急いで駆けつけた御医オイと医女たちが部屋の中に押し入ってきた。御医は私の手首を掴んで脈を診ると、顔を硬くした。


「一刻を争う!急いで準備せよ!」


御医の言葉が落ちるやいなや、医女たちが慌ただしく動き始めた。熱い湯を沸かし、清潔な絹の布を持ってきて、部屋の中には医女だけが残った。慣例上、男は部屋に入ることができなかった。


下腹が引き裂かれるように締め付けられ、息が詰まった。


「ううっ……」


呻き声が自然と漏れた。全身が震え、布団を握った手までサシバの木のように震えた。


いや……これが始まりなの?


もう死にそうなんだけど?


友人が英雄譚のように語っていた出産体験談を思い出し、わけもなく涙が滲んだ。あの時はただ笑い飛ばしたのに、今は血の涙が出るほど共感できる。


いや、スイカが鼻から出てくる方が、むしろマシだわ……お願い!


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