そして月明かりの下
深い夜、かなりの温風が吹く気候の中、
就善堂(チソンダン/オクジョンの居室)の空気は暖かく、心地よかった。すべての風波が収まったかのように、そよぐ春風が殿閣を満たした。
ほのかな灯りの下、粛宗はオクジョンの髪を優しく撫でながら、静かに彼女を胸に抱きしめた。
「今日は何をして過ごしたのだ、オクジョンよ。」
彼はオクジョンの頬を愛撫しながら、優しく囁いた。オクジョンは彼の胸に顔をうずめ、彼の心臓の音を聞いた。
「一日中、キム尚宮にいじめられていました、殿下。」
オクジョンの不満げな声に、粛宗は「ふっ」と軽く笑い声を漏らした。キム尚宮にいじめられているオクジョンの姿が、目の前に描かれるようだった。最近続いた宮廷内の風波のため、彼女が気に病むのではないか、ひょっとして心を痛めるのではないかと、キム尚宮に前もって言い含め、オクジョンが他のことに干渉できないように指示していたが、それが忠実に守られたというわけだ。
「殿下、これを見てください。
刺繍をしてみたのですが……どうやっても腕が上がらず、残念です。
今日はチョン女官がこれを見て、『花がとても美しい』と言ってくれました……。」
頬を膨らませ、洗いざらい話す彼女を見ながら、すべての心配事や悩みが洗い流される気分になる彼だった。
純粋に自分を見つめるまっすぐなその眼差し、その茶褐色の瞳の中に深く込められた信頼が感じられるたびに、愛おしいという感情が喉元までこみ上げ、オクジョンの話を聞いている最中に、彼女をぎゅっと抱きしめたり、口づけをしたりすることが増えた。もちろん、そうするたびに首をもたげる欲望を鎮めるのに苦労したが、愛らしい彼女を胸に抱いているだけで、胸がいっぱいになった。
粛宗は深い微笑みを浮かべながら、彼女が差し出した刺繍を覗き込み、やがて愛おしそうに彼女をじっと見つめながら言った。
「とても可愛らしい鳥ではないか。」
粛宗の言葉に、膨れていたオクジョンの表情がぱっと明るくなった。
「やはり殿下は分かってくださると思いました!」
幸せそうな彼女の頬を撫でてから、そっと彼女の腹に手を置いた。彼女は粛宗の胸にさらに深く潜り込んだ。彼が吐き出す暖かい息遣いと心臓の鼓動が、彼女のすべての不安感を鎮めた。
これまでミン・ユジュンの張り詰めた緊張、中殿の圧迫の中で不安を感じていた彼女の心は、粛宗の懐でのみ安堵と幸福を見出すことができた。
もうすべて大丈夫だろう。この男が、自分と子どものためにすべてを賭けたのだから。
夜は更けていったが、二人の間には一握りの闇も入り込む隙はなかった。
しばらくの甘い沈黙が流れた後、粛宗はふと、まるで思い出したくない記憶を取り出すように、低い声で口を開いた。
「昨日、ミン大監が私を訪ねてきた。」
オクジョンは彼の胸に抱かれたまま、その声を聞いた。ミン・ユジュンという名前に、彼女の体がごく微かに硬直したことを粛宗は気づかなかった。
「驚くべきことに……廃位について異議を唱えなかった。
むしろ、自分のすべての官職を辞したいと、辞職の上疏まで上げてきたのだ。」
粛宗の声には、理解できないというように訝しさが滲んでいた。
「あのように簡単に退くような者ではないのに。どうにも……心の片隅が落ち着かない。」
粛宗の言葉を聞いた瞬間、オクジョンは目を閉じた。記憶は素早く数日前、ミン・ユジュンと対面した瞬間に戻った。ぶるぶると震えながら拳を握りしめていた彼の姿が浮かんだ。
しばらく考えに沈んだ彼女の顔には、微かな微笑みが浮かんだ。自分との対面一つだけで意を曲げるほどの人物ではなかった。
数日前にヒジェが訪ねてきたとき、ミン・ユジュンに会ってきたという話を
何気なく漏らしていたのを思い出した。
『お兄様が何か言われたのね……』
彼女の兄は本当に恐ろしい人だった。もしかすると自分が知りたくない何かが交わされたのかもしれないと考え、一瞬首を横に振った彼女は、さらに彼の胸に深く潜り込んだ。
ミン・ユジュンと中殿についてはもう考えたくなかった。
「妾が果たして中殿になっても大丈夫でしょうか……。」
オクジョンは努めて話題を変え、小さく囁いた。
深く潜り込む彼女の顎をそっと持ち上げた。
「そんなことは言うな。
最初から私の中殿は、そなただけだったのだから。」
彼はもう一度、彼女の耳元で愛を囁き、
彼女は軽やかに訪れる彼の唇を甘く受け入れた。
すべての騒音が収まった夜、
彼らの愛は月明かりの下で、さらに深まっていた。