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中宮殿の影



分かっていた。


宮廷内に流れる空気とざわめき、そして冷たい静寂が漂う中宮殿。時折吹きつける春風に乗ってくるのは、もはや季節の温もりではなかった。それはまるで刃のような鋭い殺気であり、その殺気は徐々に中宮殿へと絞り込み、締め付けてきていた。


尚宮たちの顔には青ざめた気配が歴然としており、私を扱う女官たちの身のこなしは非常に用心深かった。そしてもう一つ、**内禁衛ネグミ**の兵士たちの影が、普段よりもずっと濃く中宮殿の回廊を満たしていた。彼らは私の目と合わせようとしなかったが、彼らの視線が込めている無言の警告を私は感じ取ることができた。王の命令なしには一歩たりとも動けないという、見えない足枷。


よくも誰が私を、


この国の国母である私を、このように扱うのか。


内命婦ネミョンブの首長であり、王室の紀綱を正す者が私なのに、


この何という不敬か。


私のプライドが、恐怖を踏みにじって立ち上がった。


しかし、足元から這い上がってくる冷気が、心臓まで染み込むのを防ぐ術はなかった。


そうよ……最初から私が王妃の座に座る代わりに、


彼女オクジョンを宮廷に入れると約束したのではなかったか。


冷たい虚無感が心をいっぱいに満たした。


恋人ジョンイン……ではなかったわよね。


心を……期待してはいけないのよね。


最後に訪ねてきた彼の姿を思い出した。ほんの一瞬感じることができた暖かい温もり、その一瞬だけでも心を揺さぶったその人。哀しいことに、そのすべてが真実ではないと分かっていながらも、胸がときめいた。


政治的利害関係で結ばれた約束、徹底した取引。


淑儀チュクイは……そんな微笑みを毎日見て暮らしているのだろうか。


得体の知れない空虚な脱力感に、口の中に苦い感覚さえ漂った。


だが、今重要なのはそれではない。


驪陽府院君ヨヤンブウォングン大監に人を遣わしたか?」


震える私の声に、一瞬ひるんだパク尚宮が頭を下げて答えた。


「大監にはすでに伝令を送りました、ママ。」


彼女の声までも深い震えが感じられた。


そうだ、


叔父様は必ずすべてを解決してくださるだろう。


いつもそうしてくださったように。


私を見捨てることはできないはず……


叔父様は西人派の確固たる柱であり、私の防波堤ではなかったか。こんな些細なことに、私が揺れるわけにはいかない。


そうやって自らをさとしていた矢先だった。


遠くからざわめきが聞こえてきた。不吉な予感に、心臓がドスンと落ちた。間もなく、中宮殿の一人の女官が、真っ青な顔で駆け込んできた。


「ママ!中殿ママ!中宮殿の女官の一部が今、**義禁府(ウィグムブ/司法機関)**に引き立てられました!」


瞬間、意識が遠のいた。手に握っていた茶碗がガラガラと音を立てて床に落ちた。鋭い破片が四方に飛び散り、足元に散らばった。床に落ちた茶碗のように、私の心も粉々に砕け散るようだった。


恐怖が喉を締め付けた。歯を食いしばり、震える手を隠そうと努力した。


「ソン医官は元々、淑儀チャン氏の入れ知恵を受けた者。


彼らの奸計かんけいに違いない。叔父様が……ミン・ユジュン大監が


すぐにこのすべてを明らかにするはずだ。」


私の口から出た言葉は、風前の灯のように危うかった。希望を語るほど、私の内の絶望感は、さらに深さを知れぬほど沈んでいった。足元に散らばった茶碗の破片が、まるで壊れた私の心のように鋭く光った。


叔父様。どうか……どうか私をお救いください。


私がこの場所で、この恐怖の中で崩れ落ちないように……お願い。


冷たい夜の空気の中で、震える灯りのように不安げに揺れていた。


中宮殿は、そうして深い闇の中へと吸い込まれていった。


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