殿下の御意に従います
深夜、宮廷内は深い沈黙に包まれていた。
風に舞う花びらのように、感情は揺れ続けた。心臓が制御不能に高鳴った。
一歩、二歩、
就善堂が近づくほど、心の中の波がさらに荒くなった。重大な決定を前にして、王としての冷徹な理性と、愛する女性と子、そして現実と王という地位の重さまで…。煩雑な心に頭がずきずきと痛み出した。
いつの間にか目に入る就善堂の方をぼんやりと見つめていたその時、重厚な建物の戸を越えて、爛漫と美しい梅の木の下に静かに座っているオクジョンの姿が見えた。
まるで初めて会った時のように、そよぐ梅の花びらの下の彼女の姿。ほのかな月明かりが照らし、きらめく彼女の輝きは、まさにこの世界のものではないかのように感じられた。
雪のように降る花びらに手を伸ばして掴み、子供のように微笑む彼女の穏やかに見える顔を見た瞬間、私の心の中の苦悩が一瞬で静まるようだった。
守るべき人、
大切な人、
たった一人の私の女性。
彼女に向けた盲目的な愛情が、煮えたぎる心に火をつけた。
しばらくそうして子供のようににっこりと笑う彼女を見て、まるで子供を愛おしむ父のように思えて、苦笑が漏れた。
ちょうどその時、キム尚宮が姿を現し、何か厳粛な顔で話しかけると、彼女の顔はたちまちしゅんとした子犬のように伏せられた。その姿がまたあまりにも可愛らしく、思わず失笑が漏れた。
「オクジョン。」
気配のない声に、オクジョンは驚いたように首を回して私を見つめた。そして、やがて三日月のような美しい目元で微笑み、私の方へ歩いてきた。彼女の眼差しから、私への深い心配と愛情を感じることができた。
「そこにいるのだ、朕が行く。そんなに急いで動くでない。」
私の言葉に、一瞬立ち止まった彼女が、再び恥ずかしそうな微笑みを浮かべて立ち止まった。
彼女にたどり着くと、何も言わずに私の手をきゅっと握った。手に何か握らされたようで、手を開いてみると、先ほど彼女が掴んだ梅の花びらが可愛らしく置かれていた。
「殿下に一番最初にお渡ししたかったのです。」
彼女の温かい温もりが、私の冷たい心に染み渡った。
ただ幸せになりたかった。
温かいそなたの腕の中で、一日の仕事の内容を分かち合いながら語り合い、一緒に美しいものを見て良い話だけを聞き、そうして大切なそなたの幸せな姿を守り、私の胸に永遠に閉じ込めておきたかったのに…。
彼女の微笑みを見ると、申し訳ない気持ちが先に立って胸を締め付けた。
「そなたに、ただ申し訳なく思う。」
思いがけない言葉に、彼女は一瞬目を見開き、それから私に身を寄せてきた。私の胸に潜り込んできて顔を擦り付けた。パズルのピースが合うように、私の胸にすっぽりと収まった彼女の体温を感じると、自然と冷たい心の雪が溶けていくように感じられた。
「わたくしは今、誰よりも幸せでございます。
殿下の御心がわたくしにあり、わたくしの心が殿下にあるのですから、
これもまた幸せではございませんか。」
電気が走るような感覚が、胸の一角から始まり全身に広がった。腕の中に抱きしめた大切な彼女を優しく包み込んだ。
おそらくチャン大監を通じて、すべての内容を聞いたのだろう。
本当に賢明で芯の強い女性ではないか…。
そして、やがて胸から少し離れて目を合わせ、言葉を続けた。
「いかなるお言葉を命じられようと、わたくしは殿下の御意に従います。」
オクジョンの声は、穏やかでほのかなものだったが、その中には揺るぎない信頼が込められていた。私への確固たる心、そして一緒ならどんなことも乗り越えるという強い意志だった。
一瞬、悟った。廃位は単なる政争の結果ではない。私と彼女が共に歩まなければならない運命の始まりだった。
オクジョンの言葉に、私の心の中の苦悩はついに終止符を打った。彼女の温かい温もりが、私の不安な心を包み込むようだった。
彼女の息遣いが私の胸に届く間、すべての複雑な感情を整理し、たった一つの結論に達した。もうこれ以上、退く場所はなかった。
月明かりの下に広がる、ほのかな彼女の体香が鼻先をかすめた。
耐えがたいほど押し寄せる渇望に、彼女の唇を探し求めた。
愛おしい、
耐えられないほどに。
微笑むたびに三日月のように曲がる、あの愛らしい目元まで。
闇が深く覆いかぶさる宮廷。しかし、私の心は夜空の星のように冷たく、固い決意で輝いていた。
もう決断を下す時だった。
そなたの傍で、
そなたと共に、
人生を生きるために。