咲き誇る毒花(どくか)
いつも温かかった就善堂に、冷たい冷気が漂った。その冷気が何とも感じられないほど、オクジョンの表情は冷え切っていた。
彼女の顔から血の気が引いていくのを見て、私は少し躊躇した。殿下にすべてを告げる前に、それでも一度はオクジョンの意中を尋ねなければならなかった。どうであれ、彼女のことだったのだから。
懐妊が確実となった今、お子様の健康も心配だったが、この程度は彼女も知るべき真実だと判断した。
ソン医官の口から出たすべてを、一つ残らず伝えた。
中殿ミン氏が、自身の不妊を隠すためにオクジョンの不妊説を広めたこと。
ミン・ユジュンが直接オクジョンの湯薬に手を加え、懐妊を妨げる薬草を混ぜるよう指示したことまで。
「それが…すべて事実だというのですか?」
冷たく凍りついた彼女の瞳が揺れた。そのか弱く美しい顔に、苦痛と共に次第に冷たい冷気が広がっていくのを見て、妙なデジャヴを感じた。唇をぐっと噛み締め、必死に感情を抑え込んでいるようだった。
私も驚いたんだ、お前ならなおさらだろう。
しかし、お前は知らなければならない。
この宮廷内の争いが何を意味するのかを。
オクジョンはまるで夢から覚めた人のように、虚ろな眼差しで虚空を見つめた。そして、やがてゆっくりと視線が私に向いた。そして、彼女の唇が静かに開かれた。
「お兄様、ミン・ユジュン大監がわたくしの湯薬に関与した話は、まだ殿下に申し上げないでください。」
予想外の言葉だった。ミン氏一族を一気に破滅させる最も強力なカードだった。
当惑を隠せず、聞き返した。
「なぜそのようなことを?ミン氏一族を一瞬で終わらせる機会ではないか?」
オクジョンはかすかに微笑んでみせた。その微笑みは、限りなく冷ややかに感じられた。
「重要なことには、タイミングというものがあるのではないでしょうか。
すでに中殿様の件だけでも、殿下は衝撃を受けられるはずです。
ですから、そのカードはわたくしにくださいませ。
わたくしと関係していたことですので、わたくしが必要な時に使いたいのです。
この険しい宮廷で、命を繋ぐ糸の一つは掴んでいなければならないではありませんか。」
彼女の眼差しは揺るぎなかった。
このすべての事実を聞いても、これほどまでに強固で冷静に笑えるという事実に、湧き上がる笑みを隠すことができなかった。
驚きと共に、血が沸騰するような戦慄が走った。
やはり私の妹だな。
「承知いたしました、マダム。そのようにいたします。」
頭を下げ、彼女の命を受けた。これ以上満足なことはなかった。ミン・ユジュンに向けられた刃は、もはや私ではなく、私の妹の手に握られることになったのだ。
私はためらうことなく体を返し、便殿へと歩みを進めた。
もう殿下の時間、そして私たちの時間が始まるはずだった。
お兄様が出て行って、しばらくの間、ぼんやりと座っていた。
私が、それほどまでに憎かったのだろうか。
それとも、ただ歴史通りに流れているだけなのだろうか。
単純な政争ではなかった。
ドラマでしか見たことのない宮廷の暗闘が、
実際は相手が死ななければ終わらない、生死をかけた戦いだということを知ると、鳥肌が立った。
下腹部がじんわりと固まるようだった。
そうだ、まだ何も終わっていない。
殿下を信じてじっとしているのも良いだろうが…
私は私の戦いをしなければならなかったのだ。
ミン・ユジュン大監は知っているだろう。
お兄様がカードを持っているということを。
だからこそ、さらに急ぐ必要はなかった。
私たちが持っているカードをすべて明かす必要はないのだから。
不安にさせて、相手を干からびさせるのも面白いだろう。
それが権力の頂点にいた人間であれば、なおさら。
もしかしたら、自分が生き残るために自ら中殿様を差し出すかもしれない。
そんな考えにまで至り、ふと我に返った。
待てよ…
そういえば、あの兄と私は同じ血筋じゃないか。
もしかしてチャン・オクジョンも…イカレた素質があるんじゃないだろうか。
そうでなければ、これが面白く感じられるわけがないじゃない…。
妙な違和感に、虚しい笑みがこぼれ落ちた。
赤ちゃん…こんなことは学んじゃいけないわよ…