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朝鮮に落ちた女子大生、致命的な王に囚われる  作者: エモい姉さん
第二章 破局の始まり、そして深まる心
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垂れ込める影



何日も何日も、眠れない夜が続いた。


ホ・ジョク大監が急いで私を訪ねてきた、あの夜が頭から離れなかった。昨晩、暗い書斎に座り、ホ大監は冷たい声で宮廷の状況を知らせてくれた。


「チャン大監、このままでは淑儀様はもちろんのこと、我ら南人ナミンたちまで皆、危険に陥るでしょう。宮廷内の動きが尋常ではないのです。」


彼の眼差しもまた、一瞬揺らいだ。チャン淑儀の「不妊説」が宮廷内外に広まっているという言葉に、心臓がドクン、と落ちるようだった。


どうしてこんな下品な噂が……。


まさかという疑いが頭をもたげたが、ホ・ジョク大監の表情はいつになく真剣だった。大監は、その噂がなんと西人ソインたちが内医院ネイウォンの診断を根拠にしているとまで付け加えた。口にするのも吐き気がするような中傷だった。


その時からだった。南人たちが大挙して登用された後、しばらく宮廷の外に留まって一息つこうとしていた計画を打ち切り、身支度を整えて再び宮廷へと向かった。足取りは重かったが、心は火のように燃え上がっていた。このまま黙ってはいられなかった。


入宮するとすぐに、宮廷内の雰囲気は明らかに変わっていた。


普段は淑儀様を褒めたたえていた女官たちのささやきの中に、今は微妙な嫉妬と疑わしい囁きが混じっていた。相変わらず私を見る女官たちの視線は奇妙で熱かったが…。


何か目に見えない糸が宮廷内を絡め取っているかのような、不穏な感覚が彼の感覚を呼び覚ました。宦官たちや臣下たちの視線もまた、得体の知れない気配を帯びていた。


宮廷内を静かに探り、噂の根源と、その波紋を追跡した。彼らが主張する「内医院の診断」という名分は、簡単に反論するのが難しかった。しかし、何かがおかしいと感じ、そのまま就善堂へと向かった。


久しぶりに入った就善堂は、相変わらず春のような初々しさと、濃い梅の香りを漂わせていた。


私を見たキム尚宮はすぐに頭を下げると、すぐにオクジョンに私の訪問を知らせた。


「お通しなさい。」


続いて聞こえてきたオクジョンの声に、妙なデジャヴを感じた。


ゆっくりと入った部屋の中には、花よりも美しい妹が座っていた。


「お兄様、いらっしゃいましたか。」


久しぶりの訪問だからか、


喜んではいるようだったが、


相変わらず少し生意気な眼差しに、思わず笑いがこぼれた。


「臣下チャン・ヒジェ、淑儀様にお目にかかります。」


礼を整えて静かに席に座った。


淑儀様の容貌は以前よりもずっと良くなっていた。顔色は晴れやかで、肌には活気がみなぎっていた。到底、噂の「病」や「不妊」とはかけ離れていた。


むしろ以前よりもずっと健康で…


どこか柔らかく穏やかになった気配が感じられた。


特に、就善堂の女官たちの顔に浮かんでいる微妙な喜びと、その中に隠された慎重さが尋常ではなかった。彼女たちは淑儀様を扱う際、いつもよりさらに細かく、慎重だった。


何かあるな。


直感が頭をよぎった。


久しぶりに再会し、あれこれと話したが、私の目はオクジョンの顔だけでなく、彼女を取り巻くキム尚宮と女官たちの微妙な動きも見逃さなかった。キム尚宮はいつもより気を使っているような表情でオクジョンの隣を守り、女官たちは彼女に対する態度に慎重さが歴然としていた。


そうして彼らの反応と、妙なデジャヴを感じさせるオクジョンを見ていると、自然と視線がオクジョンの下腹部へと向かった。絹のチョゴリの下に隠されたライン。会話中にも何度か妹の手がそちらに向かうのが感じられ、妙に目がそちらに引きつけられた。


「マダム……もしかして……懐妊されたのではございませんか?」


言葉が終わった途端、オクジョンの顔から笑顔が一瞬にして消えた。隣に立っていたキム尚宮も、驚いたカエルのような目で私を見つめた。


二人の眼差しが揺らぎ、表情が固まる様子は、隠すことのできない当惑そのものだった。


「あ…その…その……まだ確信はできませんが……内医院で用心するようにと言われて……。」


「な…内医院と仰いましたか?」


私の問いに、そばにいたキム尚宮が話を続けた。


「先日、淑儀様が継続的にめまいをされて、内医院で診察を受けられたところ、活脈ファルメクが診られるとのお言葉がございました。しかし、殿下がこのことを口外せぬようおっしゃいまして……。」


やはり……そうだったか。


ホ・ジョク大監から聞いた大殿での殿下の様子は、


私が予想していたのとは全く違う反応だった。


その間に妹への気持ちが冷めたのかと思ったが、やはり何かあったのだな。


では、この噂の根源がどこなのか、誰がこんな陰謀を企んだのか……きちんと探らねばなるまい。


「お兄様に隠すつもりではございませんでした。」


私が黙って静かに座っていると、オクジョンは私の反応に当惑しているようだった。


「あ、いいえ、淑儀様。殿下の命令があったのであれば、


私にも当然話してはいけません。」


恭しい私の反応に、


かえってオクジョンがさらに戸惑ったような口調で言った。


「普段通りにしてください、お兄様。」


……何だろうな……。


妹よ……一体私はお前にとって、どんな人間なんだ?

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