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狂獣の華  作者: 鳳隼人
第一章結界修復作戦
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第4話 目が覚める

「ん"、ん"?」

「お、目が覚めましたか」


隼人が目を覚ますと知らない部屋でベットの上で眠っていた。

起き上がって周りを見渡すと先ほどまでパソコンと向き合っていたであろう眼鏡を掛けた好青年が座ってこっちを見ていた。


「あんたは……」

「初めまして。僕の名前は美濃部太一です。今真白さんと美春さんを呼びますのでそのまま安静にしておてください」


美濃部は隼人に安静にしているように言い、デバイスを使って真白と美春に隼人が起きたことを連絡する。


「隼人君ーー!!」


美濃部からの連絡を受け真白が走って部屋に入ってきてそのまま寝ている隼人に抱き着く。


「起きましたか!」


真白の後に続いて美春も部屋に入ってくる。


「いてて…いきなり抱き着くとか少しは落ち着け」

「ああごめんなさい!」

「なにがあったか覚えていますか?」


真白はすぐに隼人から離れる。

意識がしっかりとしてきた隼人は美春に言われた通りに一度今まであったことを思い出そうとする。


「確か、夜の影狼から逃げきってそれから」

「それから美春さんに見つけてもらって私たちは開拓組合、黄昏の空の本部に帰還したんだよ」


俺の朧気な記憶を真白が補足してくれる。


「隼人さん改めて我々の自己紹介といきませんか?お互いに急なことで混乱しておられるでしょうから一度お互いに整理しましょう」


美濃部が冷静にそう提案した。それに3人とも頷いた。


「では、改めまして今我々がいるのは現在日ノ本に存在する7つの開拓組合の一つ、黄昏の空の本部です。隼人さんは黄昏の空についてどれぐらい知っていますか?」

「関東地方を担当する開拓組合ってぐらいだな。後は7つの組合の中でもっとも実戦的な組織ってぐらいだ」


開拓組合はいろいろと機密情報を持っている為一般メディアにはある程度公開しても別に痛手にならない情報しか公開してない。


「それである程度あっております。では次に我々の自己紹介といきましょう。私は第46小隊サポーター美濃部太一です」

「同じく第46小隊戦闘員桜花美春です」

「そして私が隊長を務めている白銀真白です」


改めて3人が自己紹介をする。隼人もそれに返すように自己紹介をする。


「雨宮隼人、高2、そこの真白とは幼馴染だ」


シンプルかつ短い紹介。他の人から見ればかなりぶっきら棒な自己紹介だが、実際それぐらいしか言うこともないのが本音だ。


「それでは隼人さん。今貴方が置かれている状況についてご説明致します」


この3人の中で恐らく一番話しが上手いと思われる美濃部が隼人に現状を説明する。


「先程真白さんから説明があったように隼人さんは真白さんと共に領獣、夜の影狼から逃げ切り、その逃走先で美春さんと合流。そのまま保護と言う形で本部に連れて来られました」

「隼人さんそれから四日も眠ってたんですよ?」

「四日も……!?」


美春の発言に驚く隼人。だが同時に納得した。

だから真白があんなに心配してたのか。

隼人がそっと真白の方を見るとそれに気づいた真白は少し頬を赤らめた。


「続きよろしいですか?」


ほのぼのとした雰囲気になったが申し訳なさそうに美濃部がそう聞いてきた。


「あ、ああ頼む」

「では、隼人さんが眠っている間身体的精神的に異常はないと確認できました」


それを聞いてまずは一安心する隼人。


「それに伴いまして勝手ながら隼人さんの紋章について少しですが調べさせていただきました」

「紋章?」

「そう。隼人君の左手にできたそれよ」


真白に言われて自分の左手を見ると確かに身に覚えのない紋章が刻まれていた。


「紋章については後ほど説明するとしまして。隼人さんが気になっているのは今後のご自分の所在でしょう」

「まあそうだな」


なんとなく流れ的に普通の対応がくるなど考えていない。自分が今後どうなるのか気になるのは誰であろうと考えるだろう。


「結論から言いますと隼人さんには黄昏の空に入団していただくことになりました」


結論を言われてもあまり驚かなかった。予想通りと言えば予想通りの結論だったな。


「あまり驚かないのですね?」

「妥当な判断だろう」


誰だって貴重な戦力を手放したくない。年々人口自体が減少しそれに伴って開拓者の人口も減っている。人材確保にはどの世も苦労する。


「理解があって助かります」

「それで俺はこれからなにをすれば」


そう聞こうとした時、部屋の扉が開いて誰かが入ってきた。


「よう、こいつが例の奴か?」


入って来た女性はそう言いがなら隼人の肩を組んで観察するように隼人の身体を見まわしてくる。


「誰だ、あんた」


直接拒否することは無いが隼人は女性を睨みつける。いきなり馴れ馴れしい。だが何故だろう。俺の本能がこの人に対して反発を起こしている。


「おいおいそんな睨みつけんなよ。まぁそんな目が出来るなら良かった」

「どういう意味だ」


物事を軽く捉えていそうな口の軽さ。だが毎回何か含みのある言い草。そして俺はどうしてか彼女その言葉に嫌気がさした。

二人の会話を聞く3人はまずいまずいとビクビクと震えている。

そして女性は頬を上げ言った。


「姉が死んだのに元気そうだな」

「・・・・・・ッ!?」


隼人は反射的に肩にかかる腕を振り払おうと腕を回すと隼人の手に炎と共に刀が現れる。

女性はそれに瞬時に反応して隼人の握る刀を奪いそのまま隼人を投げ飛ばした。


「・・・カッ!?」

「隼人君!」


真っ先に真白が伸ばされた隼人に駆け寄る。

そして隼人を投げ飛ばした当の本人は隼人そっちのけで落ちた刀を拾う。


「なるほど、確かに紋章と能力に些か乖離があるみたいだな。……うん?」


隼人の刀を見ているとふと床に落ちている本が見えた。

女性はそれを拾ってみる。


「これがこいつのマキナか?だが、開かないな!」


女性が必死に本を開けようとするが本はびくともしない。


「うお!?」


本が燃え、それと同時に持っていた刀も燃えた。二つの炎は隼人の紋章に吸い込まれていった。


「なんだこれ……」


突然現れた刀にそれが燃えて自分の手に吸い込まれていった。誰だって困惑する展開だ。


「今の刀が隼人君のマキナ?」

「いえいえ、紋章には本とペンが書かれているんですから団長が開けられなかった本じゃないんですか?」


真白と美春がさっきの工程を見て隼人のマキナについて考察する。


「今のところ正確には分からないが調べて行けば分かるさ。私はこれから仕事でね。邪魔したな」


女性ははははと笑って部屋から出て行った。


「なんだったんだあの人は?」

「あの人は我らが黄昏の空の団長、黄金威咲(こがねいさき)さんです」

「あの人がこの団の・・・団長か・・・」


なんとも豪胆というかフランクな人だ。それにしてもなんつう馬鹿力だ。内蔵が口から飛び出るかと思ったぜ。


「隼人君!こっちはとっても冷や冷やしたんだからね!」

「そうですよ!うちの団長だったからよかったものの他の団の団長だったら処罰ものですよ!」

「悪かったって」

「まあまあお二人とも、隼人さんもここに来たばかりあのです。団長のことを知らなくてもしょうがないでしょう。今日は一旦解散しましょう。隼人さんは当分ここで生活してもらいますが大丈夫ですか?」

「ああ平気だ」

「ではこれにて一度解散と言うことで」


この場は一旦解散となった。

言うことも聞かず凶器を取り出したやつには鉄拳制裁!!


真白「もう少し穏便に済ませてもよかったんでは……」

黄金威「馬鹿な男の子にはこれが一番手っ取り早いのよ」

真白「………」

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