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追放&復讐編Story8:出発

俺は、ふかふかのベッドで目が覚めた。周りを見渡すと、そこは見慣れたアパートの一室・・・ではなく、それよりも豪華な装飾品やアンティークが所狭しと並んでいる部屋だった。窓からは光が差し込み小鳥のさえずりが聞こえてきた。


 「異世界か・・・魔法もスキルも使えないからまだ実感が湧かないな。」


 少し、ぼーっとしているとドアを叩く音がした。


 「諸星さん。朝食の準備ができましたよ。」


 「あ、ハイ。今行きます!」


 俺は、急いで用意されていた寝巻から作業着に着替えて、ボーイに案内されるがまま食堂へと向かった。


 料理は、きつね色に焼けたパン、少し焦げ目がついた骨付き肉、ひよこ豆が浮いている緑色のスープが各席に用意されてあった。中央には、ハーブの香りを漂わせた植物が花瓶に植えられていてそれが食欲をそそった。


 すでに着席しているセラフィーナさんは、俺を見るなり気まずそうに料理を口に運んでいた。やはり昨日の対応がまずかったのかな?


 「あの・・・俺の席は?」


 「セラフィーナさんの隣が開いていますのでそちらに・・・。」


 俺は、セラフィーナさんの隣に座って軽く挨拶をした。


 「お、おはよう・・・。」


 「・・・おはよお。」

 

 顔は、最初にあったころのようなどす黒い表情ではないものの、その表情には疲れが見えていた。


 俺は、椅子に座って頂きますをして用意されてあったパンを口にした。


 きつね色のパンは硬さがフランスパンに近くて味はほんのりと甘かった。


 「美味い。」


 気のせいか、仏頂面だったセラフィーナさんが少し笑顔になったような気がした。


 「あら、お行儀がいい坊やね。魔導学校は初等科に入学するのかしら?」


 向かいの席に座っている年配の女性が話しかけてきた。俺はいきなり坊やと言われて吹き出してしまった。


 「ブフ!ぼ、坊やじゃないですよーおばあさん!」


 〈確かに背が低くて顔が幼いせいで、元の世界でもたびたび高校生と間違われることがあるから慣れているけど・・・。〉


 ただ、落ち込んでいたセラフィーナさんは、横で笑いを必死で抑えていたので良しとしよう。


 その後、俺とおばあさんのやり取りをきっかけに徐々に場が和み、にぎやかな朝食に戻っていった。


 「おばあさんはどこかから旅行で来たのですか?差し支えなければ教えてくれますか?」


 「旅行じゃなくて商売よ、あたしは行商人。オスマニア法国の白海からとれる塩をスタンス商会に買ってもらうために、二十歳のころから50年間この帝都と塩の取れる白海を行き来しているの。そのためにここをいつも休憩地点として利用させてもらっているわ。」


 「50年もですか!?」


 セラフィーナの言葉に婆さんはゆっくりと頷いた。


 「いつも、ご利用ありがとうございます。」


 「けどねえ、最近魔王が復活したでしょ?それでやめちゃう冒険者たちが増えてねえ。昔はこれよりも豪華な食事が出ていたんだけど・・・。」


 「ハイ、我々一同も何とか維持しようといろいろやりくりはしているのですが・・・とうとう食費に回すお金も無くなってしまいまして・・・。」


 確かに、あたりを改めて見渡すと席について食事をしているのは、俺とセラフィーナと行商人の婆さんだけだった。


 朝食を終えると俺とセラフィーナさんは、それぞれの部屋で身支度を整えてロビーで合流した。


 「したくできた?」


 そう言うセラフィーナさんは、今朝のお疲れモードなどなかったようにすっきりとした雰囲気を醸し出しており、水色のポンチョと藍色を基調としたセミロングのスカートが風にひらひらとあおられて色っぽかった。


 「ばっちりです!」


 俺は、一見見慣れない服を着た異国の者に見えなくもないが、ズボンのベルトと一体化している腰の鞘に収まったミスリルの剣と、ベルトで固定してある背中の盾があるので辛うじて冒険者に見えるだろう。


 「さて!魔王を倒しに行くにはまず冒険者になって経験を積まなくちゃね。」


 「ああ!」


 支度ができたところで、俺たちは四人に見送られながら冒険者ギルドへと歩を進めた。


 「夕飯までには帰っておいで坊や!」


 「だから坊やじゃないですって!おばあさん!!」


 「フフフフ。」


 セラフィーナは、こちらを見ながら笑いを堪えているのを俺に見られて慌てて前を向いた。


 「何?」


 「べ、別に~。」


 「またねー!」


 「「またのご利用をお待ちしております。」」


 秋人とセラフィーナは、宿泊客と従業員に見送られながら冒険者ギルドを目指した。


 その様子を陰で見ていた全身を覆う黒いフードをかぶった怪しげな髭もじゃ男が不敵な笑みを浮かべていた。その傍には、同じフードをかぶった女性が立っていた。女性はフードから空色の長いサラサラの髪が出ていて目は前髪に隠れていて、表情をうかがい知ることはできない。


 「やはり奴らは冒険者になるか・・・計画は続行ですねサンドロ隊長。」


 「そのようだな、まあ続けるかどうかは依頼主次第だ。とりあえずルドヴィーコに報告へ向かうぞ。今回の依頼は払いがいい。だが、その分リスクも盗賊団壊滅とかなりでかい。失敗は許されんぞ・・・。」


 「了解。」


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