第二話 爆発と石
(奴も僕と同じように、殴ることで発動する能力!どういう原理かはわからないけど、奴に殴られた箇所は石にされてしまう!心臓や頭を殴られたらどうなるかはわからない、最悪僕が死んでしまうかもしれない…)
頭や心臓が石にされる…、つまり脳や心臓が止まる…。表面だけ石になるのか、それとも中身…臓器も石にされるのか…
理由や原理はとにかく、これ以上攻撃を受けるわけにはいかない。少なくともリュウは本能でそう感じている。
「……」
リュウは殴られた頬を触る。頬は石になっているが、口の中に異常はない。石にできるのは表面だけかもしれないが…
(僕の能力は殴ることでその部分を爆発させられるが、殴った力で爆発の威力は変わる。もし、奴も殴った力で威力や効果が違ってくるなら?僕の体の内側も石にされかねない!)
「やる気かよぉ?喧嘩もしたことねぇシロートがよぉ?」
リュウは構えるが、トンスの指摘通り喧嘩などしたことないリュウは腰が引けていた。
「……お前の言う通り、僕は喧嘩なんてしたことない。でも」
リュウは右手の握り拳を前に出した。
「自分の力を試せる絶好の相手が出てきたって思ってる。」
「こ、この野郎~!ぶっ殺す!!!」
トンスはリュウに向かって走り出した。右ストレートを放つ、リュウはしゃがんだ。
(思った通り、こいつは挑発に乗りやすい!だから動きは単調になる、真っ先に頭を狙ってきたのがその証拠だ!)
リュウは右手でトンスの顎をアッパーで殴った!
「グガッ!」
リュウは素早くトンスから距離を置き、トンスは顎を押さえながらリュウを睨む。
「これであいこだ。」
「はぁ?互いに顔に一発入れたことがかよぉ?」
(そうか、顎の下だから数字が見えないんだ…これはチャンスかもしれない。)
トンスはリュウの能力がわかっていない、リュウの能力は殴った物を任意のタイミングで爆発させられる能力。トンスは気付かない内に、顎に爆弾を着けられていたのだ。
「喧嘩慣れしてねぇテメェのパンチなんざ効きやしねぇんだよ!」
~その頃、村の入り口~
「ここに、まだどこにも所属してない能力者がいるんだな?」
「ああ。でも急いだ方がいい、誰かと戦ってるみたいだ。」
「戦ってる?」
「急ぐぞ!場所は?」
(顎に爆弾は仕掛けられたが、威力がわからない…。顎で数字が隠れてるし、人間にやったのは始めてなんだ…。でも!)
「諦めて石像になっちまいな!」
トンスはリュウに向かって走り出したが…
ボンッ!
「あがっ!?」
こちらに向かって走り出してきた所を、リュウは顎に仕掛けた爆弾を爆発させた。トンスは驚き、顎を抑えだす。リュウは驚いている隙に、リュウはトンスに向かって走りだし再び拳を叩き込んだ!
(奴がまだ体勢を整えてる隙に、更に攻撃を撃ち込む!体に思いっきり撃ち込まないと、奴は倒せない!)
「爆発か、テメェの能力は!爆発を仕掛ける能力だったんだな!」
(当然能力はバレる、だが細かいところまでは当然わからないはずだ!その前に、仕留めるんだ!)
リュウは殴った。喧嘩なんてしたことないが、力の限り殴った。トンスは途中まで防御していたが、リュウの力が大したことないのに気付き、パンチで反撃してきた!
「テメェバカか?俺が殴った物は石になっちまうって、まだわかってねぇのか?殴り合いなら俺が有利なんだよ!」
トンスが言う通り、リュウの体は殴られて体の一部が石になりつつあった。
(お、重い!この石は本物だ…でも、中までは石にできないんだこいつ…石のできるのは殴った部分だけか、あるいは表面だけ…でも……)
「な、なんだ?なんだその笑みは!?」
「もう関係ない!」
バァン!!
「がぁ!?」
次の瞬間、トンスの左半身が爆発を起こし倒れた。大爆発を起こした部分は吹き飛んだわけではなく、火傷したような跡になっていた。
(か、勝ったのか…?)
リュウの体から石になってる部分はなくなった。能力がきれたたいうことは、トンスが気絶したのかあるいは…
(だ、ダメだ…もう…立て…な…い……)
リュウはトンスを倒したという安心感と、緊張から解放されたからか少しずつ意識が薄れて行った………