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家族を救うためならなんだってしてやる! 〜娘の体で異世界へ〜  作者: スノーマン
2、人の思いは強い力となる。故に根性論は間違いではなく、科学的に証明されたのがプラシーボである
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6、人の思いは強い力となる。故に根性論は間違いではなく、科学的に証明されたのがプラシーボである

ログハウスからの周りはすぐに木で囲まれており、一方踏み出せはそこは腐葉土が敷き詰められた森だった。最後の時、屋内にいたせいだろう。靴を履いておらず、当然スキンヘッドが子ども用の靴を持っているわけもなく、俺は裸足で森へと踏み出している。足裏に伝わる感覚が気持ち悪い。絶対虫踏んでるよ、何匹かは。今日以上に最悪だと感じる日はきっと来ないだろう。……フラグにならないことを祈ろう。


既に歩き出して30分程経っている。その間スキンヘッドから、ある程度の必要なことは聞けた。

今向かっている街の名前は「ジャパン」らしい。俺やスキンヘッドと同じ元日本人が、200年ほど前に開拓し興した街とのこと。そのため大体の住人は、この国の共通語と日本語の2カ国(?)語を話せるのだとか。

同じ理由で英語が通じる「ステーツ」という街もあるとのことで、日本人以外の尖兵はそちらに送られるらしい。


人族の国は「ニュールクイース」という一国のみ。大陸の西側役20%が支配地で、東側の南が魔族、北が龍族の支配地となっている。といっても、人族以外は国家があるわけではなく、ナワバリのようなものらしい。積極的に支配地を広げようとしているのも基本は人族だけのようで、個体が新たなナワバリを求めてきたり、食糧難で人里を襲うといった事が稀にあると言った程度。魔族、龍族共に尖兵はいるらしいが、寿命が長いこともあり、支配地を広げるために行動を起こすのは数十年に一度くらいだとか。


獣族は支配地を持たないが、大陸のどこにでもいる。というか獣だけあって知性はなく、種族でまとまっているわけではない。「自然の一部」としてどの種族からも放置されている。つまりただの動物。

獣族の尖兵は大陸の南西、一応人族の支配地となっている「獣人諸島」と呼ばれる場所で優雅に暮らしているらしい。獣人は昔、獣族の尖兵と異種交配のスキルを持った人族との間に生まれた子ども達とその子孫とのこと。人族の街で暮らしている獣人もいるらしく、差別などは特に無いらしい。


で、精神体は人族のもの以外であれば吸収していいとのこと。つまり畜産農家になれば、無理して魔族に挑まずに済むのではないか?と思ったが、俺は教会の所属となり、聖戦に駆り出されることが決まっているらしい。マッドの意思で。

そんなもんしらねぇ無視してやると思ったが、俺の事は天啓として国に伝わっている(期待されている)し、辞退は神の威信を損ねる行為として天罰が下るらしい。具体的には死ぬ。とてもシンプル。分かりやすくて助かるわクソが。


まぁ、家畜動物から得られる精神体の量は微々たるものらしいから効率は良く無いらしい。

俺の事情を話したわけでは無いのに、なんで効率なんて言葉が出てきたのかと思えば、人族は精神体を消耗することで 奇跡の使用が可能らしい。奇跡には強化や回復などの戦闘で有用なものが多いとのことで、俺らのような尖兵は定期的な精神体の補給手段を持つことは必須との事。畜産農家を試した奴もいたとのことだ。


つまりは、強い多種族を殺すために弱い多種族を殺し精神体を吸収する。吸収した精神体を使って強い多種族を殺してもっと強い多種族に挑む、という無限ループの完成である。神がマッドすぎる。これからも躊躇なくマッドと呼ばせてもらおう。


実はもう1つの精神体獲得手段がある。神を信じない目利きのある人族を、改心という名の悪堕ちさせることである。1人改心させればそいつの信仰によって奉納される精神体の半分が貰えるらしい。元営業マンの俺としてはそれもありな気がするが、自分が信じていない商品を売る自信はない。というか国教であるため、信仰していないのは邪教徒とか、絶望を抱えた人間くらいなものらしいから早々出会わないだろう。

目利きのある人族とはなんだったのか。お詫び申しあげたい。


「まぁ大まかにはそんなところだ。あとは徐々におぼえていけばいい。ちなみにジャパンの尖兵はお前で5人目だ。残りの3人とはこのあと顔合わせしてもらうが、研修後に出た疑問はそいつらに聞け」


まるで話は終わりだと言わんばかりに、ため息をつきタバコに火をつける。

なんだこいつ。こんな美少女の相手を嫌がるとか同性愛者の方なのか?辛抱たまらなくなってここで襲われるよりはマシだが、うちの娘を蔑ろにされるのはムカつく。全力で誘惑してやろう。


「ロリコン誘拐魔のおにーさん、わたしぃ、足が疲れちゃったぁ。だっこちてぇ?」


上目遣いとモジモジのダブルスキルを付けての攻撃!相手は落ちる!

……はずが、無言でタバコの煙を吹きかけられました。解せぬ。ごっっほげっほ。


「そんなツッコミどころ満載なセリフと凶悪な笑みで俺を騙せると思ったってんなら、戦争するしかねぇよなぁ?」


なんてこった。10歳児にあるまじき知性と、この体の表情筋を使いこなせなかったことが敗因か。つまり俺が負けたわけであって、娘が負けたわけでは無い。面子は保たれたので良しとしてやろう。


「いえいえ、滅相もない。ただのブラックジョークですわおほほほほ」


高貴な感じで誤魔化しておいた。正直なところ、30分近く裸足で森を歩いているのに全然痛くない。硬いものを踏んだ時に僅かに痛むがその程度だ。【不完全な不死】のお陰かね。

…もしそうなら、精神体消耗してんのか?勿体無いなぁ。というか使いすぎていきなり死んだりしないよな?大丈夫だよな?


「よし着いたな。じゃぁ試験をするから頑張ってくれや」

「は?ここまだ森の中じゃ……」

「実践に勝る経験はなしってなぁ?」


そういうとハゲは、手近な木から木へ三角飛びを繰り返し登っていく。ナイスパルクール。格好いいのは認めるが俺は放置なのか。どうすればいいんだ。


「ほれ。ボケっとしてると食われるぞ?」


その声と同時に、狼と思わしき獣が飛びかかってきた。

風邪が治りません。次回更新は遅れるかも。

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