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十色のパズル  作者: ささくらげ
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一話「黒いピース」1

ちょうやっべーーーーやつです。

頭がごちゃごちゃするのが嫌いなひとはお勧めしません。


こういう場に自作のオリジナル小説を掲載するのは初めてでとても緊張してます。また、機能をよく理解していないマンなのであたふたしてます。

なんだよサイコホラーヒューマンドラマって。なんなんだよ。自分が言ったんだよ。


読みやすく修正してます。

 インスタントの食品や冷凍食品などについてくる、火薬や醤油が入った小袋を、大抵の人は手が汚れたくないから上部分のほんの少し下を開けるだろう。

 そうすれば汚れも最低限、飛び散ることもない。慎重な人はしっかりハサミまで使う。

 しかし例外もいる。真ん中から開ける人間だ。

小袋を真ん中から開けると、最初はなんともないのに、中盤まで行ったところで勢いよく飛び出していく。ひっくり返したわけでも袋を押したわけでもないのに。

 当然液体であれば飛沫は飛ぶし、手が汚れる確率も格段に跳ね上がる。固形であれば散らばって、集めてもすでに食べれる物ではない。

 本当に極少数の人間が選ぶ選択肢だ。わざわざ不合理をかぶる物好きは少ない。逆に言えば、一部はいたりもする。

 少年は前者である。


 テレビのニュースなんかで、異常者が育てた子供は異常者になるとよく聞く。蛙の子は蛙、という諺から取っているのだろう。鳶が鷹を産む、なんてものもあるがこの場合は頭の出来によるものであって、生活環境に言及したこの話には沿わない。

 皮肉にも、ネグレクトを幼少時に受けた大人は愛情表現の仕方を間違えることが多いらしい。

 少年は普通の家庭だ。

 父親に母親と幼い妹、祖母。ついでに飼っている文鳥。そしてこの少年。家族関係に不和などの問題はない。


 犯罪者の過去として、動物虐待の末に動物殺害を行っていたケースが多く存在するという。

 動物虐待をする人は道徳性が欠如していると言われている。自分に養われる生き物を下に見て、自分を受け入れているはずの人々を拒絶し、社会的立場として自分より弱い思う生き物を虐げる。それはエスカレートし、いずれは自分と同じ種族である人に手を上げてしまうのだという。そうして自分が強者に成り上がることを実感していくのだろうか。

 少年は動物を好む方の人間である。

 今までのペットは大切に世話したし、寿命や病で死んでしまった彼らを惜しんで号泣した過去もある。

 社会的弱者や手助けが必要な人々には躊躇いなく手を伸ばすことができる少年だ。

 それは社会において必要とされる人間であるとは限らないが、少なくともこの少年の人望の厚さは一介の高校生とは言えないほどにある。


 感情をうまく制御できない人というのは人に理解され難いらしい。これは何も、日常にイライラを感じるだけ、などといった些細なことではない。感情を持たない生き物はいない。

 感情のままに、他人を顧みない人間のことだ。自分しか見ていない人間のことだ。米の一粒でも相手のことを思うなら、自分の周りを見るなら、自制が効くという論理の話である。

 少年は昔から周りの人間に大人びていていい子ね、と言われる子供だった。


 少年は、汚れるのにわざわざ真ん中を開ける意味がわからない。何が楽しいのだろうか、首を傾げる。


 少年は理解できない。大人になって子供に対する愛情表現の仕方がわからないならパートナーに頼ればいいのだ。パートナーが率先して育児に取り組んでいくべきだ。


 少年は不思議だ。動物虐待から殺人に変貌するのが。殺してみたい、殺したいと考えるなら動物で予行演習をするのではなく最初から人に行けばいいのではないか。満たされないとわかっているのなら、最初から満たされるように行動すればいいのだ。


 人間は自分中心に世界が回る。全ての人に全ての人が主人公の物語がある。だから全てにおいて蔑ろにしていいものはない。と、少年は思っている。


 自分は全ての人を傍観するお助けキャラのようなものだと、少年は思っている。

 人の価値観はそのそれぞれだ。理解しようと動けば、拒絶するほどではない、と少年は思っている。


 だから少年は、自分はこのままで良いのだと思っている。



「ただいま」


 鍵を回して開けて、靴を脱ぐ。帰宅の挨拶に返ってくる声はない。中から物音もしない。

 玄関には四足の大小バラバラな靴が並んでいる。20センチにも満たない靴が一足。婦人用の靴が二足。紳士用の革靴が一足。そこに茶色のローファーが整えられて仲間入りをした。すべて同じような揃え方で並んでいる。

 一軒家の広い造りになっている玄関だ。圧迫感はない。

 入ってすぐの右手側にあるドアがリビングへ繋がっているものである。左手側が洗面所や風呂場。二階がそれぞれの個室。祖母の部屋だけが階段下の一階にある。足腰が弱ると登れなくなることを配慮した部屋割りだ。

 事実、少年の祖母は二年ほど前、腰を痛めた影響から階段の移動どころか自力での歩行も難しくなってしまった。


 少年は手を洗いに、左側へ。洗ってからリビングへ行くのがこの家の決まりだ。

 道着や防具を階段下に置いて、ルールを満たす。

 そうして手ぶらな状態で、リビングのドアを開けた。ドアの隣に置いていた黒い長靴を履くことを忘れずに。

 パチリ、と音がした。


「ただいまァ」


 再度の帰宅の挨拶だ。またしても帰ってくる声は無い。母親は台所に座って凭れ、父親はソファに座っている。祖母はテレビの近くに備え付けられた介護椅子の上だ。

 まだ外は明るいというのに、カーテンは締め切られている。


 少年が彼らに顔を向けることはなかった。目も、手を向けることも。

 冷蔵庫へ一直線、パカリと開けて中のペットボトルを飲む。ふう、と一息をついて。


「あっ千佳音にご飯持って行かなきゃ。」


 ぐちゃぐちゃと鳴る足元を気にせず歩く。乾いたカサカサと言う音もする。


 冷蔵庫の上に置かれた食パンの賞味期限は明日までだった。残りは3枚。二人ならば今日中に使ってしまえるだろう。

 途中グミのような何かを踏んだ音がして下を見ると、それから赤い汁が控えめに飛び出していた。

 もうまる1日も経っているのだが、まだ液状のものが残っているのは稀である。


「なんだ、腸か」


 そろそろ片付けなきゃなあ、とぼやくその顔は暑さや寒さを嫌がるような、片付けを嫌がるような表情で、いたって平凡なものだ。恐怖も焦燥も、一欠片とて感じられない。


 食パンにマーガリンを塗り、レタスやトマトなど、手軽に入れられるものを挟み込んだサンドイッチが出来上がった。

 三角のサンドイッチが三つ。二皿あるうちの一皿に二つ。もう一皿に一つ。冷蔵庫から取り出した麦茶を二つの空のコップに注いで、それら全てを盆の上に乗せる。手は軽やかだ。

 足下に座り込んだそれが、確実に視界に入っていないかのように。


 そうして少年は、長靴を履いた足でリビングを歩き、ドアの境を跨ぐ前に脱いで、外に出て行った。この赤い部屋から出て行った。

 パチリ、ともう一度音を響かせて。

 灯りが潰える。


 三対の目は動かず、瞬きすらせず。腹を開かれ腑が飛び出した女も、股間を潰され心の臓に穴を開けた男も、喉を切り裂かれ口と両方から乾いた絵の具を撒いたかのような老婆も。

 臓腑が、血液が、床を汚している。

 乾ききった絵の具のようになった赤は、まるで一つの絵画のよう。名付けるならそう、「ホラーハウスの一室」と言うべきだろうか。


 なぜこの家で彼は生活できるのか。

 簡単だ。

 動物虐待の趣味もない、ネグレクトの経験もない、ただの変哲も無い普通の男子高校生に見えるこの少年が異常者と呼ばれる類であるからである。

 この家で息をしているのは、彼と幼い少女のみだった。



 田戸十弥、16歳。彼は間違いなく異常者である。


 例え周りの人間に「人が出来ている」と行った高評価を貰っていようとも。

 お人好しと称されるほどの人好きであっても。

 親族である妹に尊敬されるほどの人格者であっても。

 武道を嗜む武芸少年であっても。


 彼の倫理観は欠如しているわけではないのだ。他人の存在という一点。それだけにおいて、他人の人生を重要視しすぎる嫌いにあるのだった。


 矛盾しているようで、彼の中でこの考え方は完成している。

 一見倫理観の欠如があるように見えてしまう。しかし欠如、と言うよりは逸脱している、という表現が正しいのかもしれない。彼が異常者であることに一片の間違いもないのだが。


 彼はのちにこう告げる。不意打ちに驚いたような、至って普通の男子高校生がするような表情をして。


「だって俺、殺して無いですから」


 いたって不思議そうな声で。何も間違ってないといった声で。



 彼の少年は、倫理観が"逸脱"している異常者である。

こんな感じです。

お読みくださりありがとうございます。

長くは続かない予定です。

気に入っていただけたならば、次回も読んでいただけると幸いです。よろしくお願いします。

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