人魚姫
掲載日:2019/05/08
私は貴方が好きでした。
この身を変えてでも貴方と一緒にいたかった。
歩くたびに痛む脚でさえ愛おしく思えたの。
声がでなくても、もう泳げなくても
貴方は私に夢を与えてくれました。
魂をもつ人間の貴方はどこまでも美しく憧れでした。
もう一度、名前を呼んでほしかった
もう一度、頭を撫でてほしかった
もう一度、私だけをみてほしかった
私に この ナイフ は 握れないわ
私は、貴方を 思うだけでも 幸せだった あの頃に―
私は、泡になり 海に還るだけよ
貴方に出会う前に 戻るだけよ
涙なんてみせないわ
涙なんて流れていないわ
この瞳から溢れ出すものは 貴方への最後の愛よ
どうか幸せで
私の愛した人




