表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/13

観察日記 8

―5月 ◎日―


 今日はトウヤくんとお出かけした!


 トウヤくんが私を楽しませるために色々考えてたのは知ってた、ついでにどこに行くのかも。


 だってトウヤくんったら寝言で行き先言ってたんだもん♪


 楽しみで眠れないから起きてたら聞こえてきて、面白いから聞き耳立ててたんだ♪


 それからトウヤくんが言ってた通り、デパートの猫パークに喫茶店で昼食、公園で桜を見て、最後にトウヤくんおすすめの焼き鳥屋さんで焼き鳥を買って家に帰る……


 ただ、公園で2人とも寝ちゃったのが計算外で焼き鳥屋さん行くの忘れちゃってたね?


 言おうかな? って思ったけど、今日行かなかったらまた今度誘ってくれるんじゃないかと思って黙ってた♪


 それにしても……トウヤくんは猫みたいにモフモフだったな~♪


 思わずひざ枕しちゃったけど大丈夫かな?


 また私のコレクションが増えちゃったよ!


 猫語をしゃべるトウヤくんに私の太ももにスリスリするトウヤくん……


 SDカード買わないと容量がいっぱいになってきた。


 トウヤくんは面白いからついつい撮っちゃうんだよな~、私のスマホには猫先輩とトウヤくんの写メとムービーでいっぱい!


 日向ぼっこする猫先輩に、鏡の前でポーズをとるトウヤくん……


 トウヤくんの行動はとても面白いから見てて飽きない。


 ゴールデンウィークもまだ初日……


 明日はどんなトウヤくんが見れるかな?





 またノートが置いてあった。


 しかも読みやすいように最新の所にふせんまでして……


 俺……寝言で行き先言ってたんですね。


 でもユキネさんは初めて知ったかのように振る舞って……気を使わせたかな?


 お詫びに今度はちゃんと焼き鳥屋に誘ってみよう!


 そんな事よりも……


 俺の写メやムービーって!? 昨日の他にも撮ってるって事? しかも新しいSDカードって……


 俺の行動って面白いのか?


 ……言われてみれば、最近ユキネさんと目が合う事が多くなったよな? まさか観察されてたとは……


 目が合えば微笑んでくれると思ってたけど、実際は面白いって思われてたのかな?


 ……まぁ、俺はあんまり気にしないけどな!


 ……気にしない、気にしない……


 ……鏡の前でポーズは控えよう……




「おはようトウヤくん…… うぅ……頭痛い……」


「おはようございます、ユキネさん飲み過ぎでしたよ? ほどほどって言ったじゃないですか、はいお水」


「ありがと……」


「今日は家で大人しくしてましょうね?」


「うん…… あの、トウヤくんは?」


「俺ですか? ……俺も家にいますよ」


「よかった…… それじゃあもうちょっと横になってるね?」


「分かりましたよ」


 そしてユキネさんが寝てる間にリビングの掃除でもしようかな。


「シュッとして~♪ ふふん、ふふん♪」


 歌を歌いながら窓を拭いていると


 ピロリ~ン


 ハッと振り返るとドアの隙間からスマホを片手にこちらを見るユキネさんと目が合う。


「ユキネさん!?」


「任務失敗!」


 バタンとユキネさんの部屋のドアが閉まり、何事もなかったように……


「ユキネさん……」


 またムービー撮ってたな? いつもああやって隠し撮りしてるのか?


 しばらく大人しく掃除しているとパタンと音がして、振り向くとユキネさんの部屋の前にノートが!


 これは見ろって事か? またふせんが付いてて、New!! と書いてある。


 親切なのかなんなのか…… これで分かったのは、ユキネさんは明らかに俺に見せるためにノートを置いてたって事だ。


 そしてノートを開き見てみると……



 ―5月 ◎日―


 トウヤくん……歌が下手!


 シュッとして~♪ ふふん、ふふん♪


 名曲が台無しだよ! お腹から声を出して!


 ふふん、の所はリズミカルに!


 これに注意すれば……


 君もスターだよ!


 P・S


 お腹空いた……





 ユキネさん…… 名曲って、適当に歌ってたのをそんな真剣なコメントしなくても……


 別に歌手になるわけじゃないんだし、そんな事言われても……


 何か軽く食べれる物を用意するか……



「ユキネさん? ご飯作りましたよ」


 ユキネさんの部屋をノックすると、ドアが少し開き


「山」


「へっ?」


「山!」


「……えっと、川?」


「猫」


「ね、猫!?」


「さては……トウヤくんのニセモノだね? くせ者! えいえいえ~い!」


 ドアの隙間から手を出しパンチしてくるユキネさん、しかも猫パンチ……


「じゃあご飯いらないんですね?」


「……いる、トウヤくんのイジワル……」


「はいはい、じゃあテーブルにありますから部屋から出てきて下さいね」


「……はい、は1回、えい、は3回……」


 あれ3回って決まってたんですか……


「冷めるから早く出てきて下さいね」


「うん」


 そして部屋から出てきたユキネさんは俺の用意した温かいそばをチュルチュルと美味しそうに食べる。


 そんなユキネさんを見ながら軽くため息をつく俺だった。




 


 

ブックマーク、評価よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ