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観察日記 6

「にゃ! にゃにゃにゃ~ん?」


「…………」


「にゃ~にゃ、にゃにゃにゃ~んにゃ!」


「……ユキネさん?」


「にゃにゃ~ん!」


「ユキネさん!?」


「にゃ! もー! トウヤくんがおっきな声出すから先輩達逃げちゃったでしょ?」


「……いや、にゃーにゃーって何してるのかなって……」


「私が後輩なんだから挨拶するのは当たり前でしょ?」


「挨拶してたんですか…… しかもユキネさんが後輩なんですね……」


「あ~あ、トウヤくんのせいで猫先輩の機嫌が悪くなった~! ちゃんと謝んないと」


「……ごめんなさい」


「それじゃあ伝わらない! ちゃんと猫語で!」


「何ですかそれ?」


「私がさっき話してたでしょ?」


「にゃーにゃー言ってたあれですか?」


「バカにしてるの!? 先輩達に聞かれたら……にゃんこ拳の餌食だよ!? 早く謝って!」


「にゃにゃにゃ……」


「もっと大きな声で! それに気持ちも込めて!」


「はぁ…… にゃにゃにゃにゃ~ん!」


 ピロリ~ン♪


「なっ!? ユキネさん、何写メ撮ってるんですか!?」


「写メじゃないよ? ムービーだよ?」


「尚更ダメですよ! 消して下さい!」


「……ヤダ」


「ユキネさん!」


「ヤダヤダヤ~ダ! えいえいえ~い!」


「あっ、イテッ! 暴力反対!」


「大丈夫、峰打ちだから」


「峰打ちって何ですか!?」


「ふっ…… またつまらぬ物をにゃにゃ~んしてしまった……」


「……」


 そんな俺達のやり取りを周りの人にクスクス笑われる。


 ここはデパートにある特設会場で、ゴールデンウィーク期間に猫パークがオープンするとテレビのCMでやっていたので、丁度いいと思い、最初の行き先はここと決めていたのだが……


 さすがにゴールデンウィークの初日、たくさん人は来てるし、その中での俺達のやり取り……

 さすがに目立つよな……


「ユキネさん…… 結構周りに見られてるんで……」


「トウヤくんが先輩をバカにするからだよ?」


「いや、絶対違うと思うんですけど」


「じゃあトウヤくんの猫語が下手だから笑われたんだよ」


「それこそ違うと思います!」


「証拠は私のスマホに入ってる、だから私の勝ち♪」


「これ勝負だったんですか!?」


「これでトウヤくんは0勝3敗…… あと1回負けたら私の日本一!」


「日本シリーズかなんかですか!? っていうか、俺はいつ負けてたんですか!?」


「トウヤくん! 私は絶対手を抜かないからね? 正々堂々勝負だよ!」


「……いつから勝負してたんですか?」


「ん~? ルームシェアを始めてから?」


「そうですか……」


 本当にユキネさんは不思議だ……あまり深く考えるとユキネワールドに迷いこんでしまいそうだから、ここらで諦めよう……


「あっ! トウヤくん! あの猫先輩トウヤくんに似てる!」


 ユキネさん本人はいたって自由…… ユキネさんは楽しそうにしてるし、まっ、いいか♪


「どの猫ですか?」


「あの茶色のしましまの猫先輩だよ! 目がクリクリってして可愛いところが似てる!」


「あれですか……」


「モフモフってしてるとこも似てる! 写メ撮ってこよ♪」


 いつもクールなユキネさんがニコニコしながら猫に近付く。


 楽しんでくれて何よりだが……


 あの猫、俺に似てるか?




「あ~! 楽しかった♪ トウヤくん、連れて来てくれてありがとう!」


「ユキネさんが楽しそうだったので、俺も良かったですよ♪」


「楽しかったし勉強になった! ……これでまた1つ私は強くなれた!」


「そうですか、良かったですね」


「む~! トウヤくん、やっぱりバカにしてるでしょ? にゃんこ拳の奥義が炸裂しちゃうよ?」


「バカにしてませんよ! どうツッコんでいいか分からないだけです」


「ふ~ん、それじゃあ……えい!」


「な! 何してるんですか!」


「これはにゃんこ拳の奥義の1つ…… 頭ドッスンだよ!」


 ……頭ドッスンって、他の人から見たら俺に頭をすり付けてるだけにしか見えないような気が……


「……それは何なんですか?」


「まさか! トウヤくんには奥義も効かないなんて! ……恐ろしい子」


「はぁ…… じゃあそろそろ行きますよ?」


「あっ! トウヤくん待ってよ!」


 俺が先に行こうとすると慌てて駆け寄ってきたユキネさん。


「次はどこ行くの?」


「じゃあ次は…… その前に昼ごはんにしますか?」


「うん! どこで食べる?」


「ここの近くに俺がよく行く喫茶店があるんですよ、そこランチも美味しいんで行きませんか?」


「トウヤくんのおすすめなら喜んで行くよ」


「それじゃあ行きますか」



 そしていつも行く喫茶店に入る。


「マスター、こんにちは!」


「ああ! いらっしゃいませ♪ お好きな席へどうぞ」


 今日はランチ時だけど空いてるな!


 たまにいるあの色黒の女の子の店員さんもいないし……


「オシャレで雰囲気が良くて落ち着く感じだね♪」


「はい、最近はたまにしか来ないんですけど、ゆっくりコーヒーを飲みながら過ごすのもいいですよ♪」


「私も気に入ったからまた連れて来てね♪」


「分かりましたよ♪」


 そしてユキネさんはナポリタン、俺はオムライスを注文して、料理が来るのを待つ。


「ふ~! 可愛かったな~♪」


「思ってたよりもいっぱいいましたね!」


「うん! ふれあいコーナーもあったし、私は満足♪」


「喜んでもらえて良かったですよ♪」


 ご機嫌なユキネさんを見て、俺も笑顔になる。


 そうしてる内に料理が来たので、いただく事にした。


「美味しい!」


「うん、こっちもやっぱり美味しい」


「トウヤくん、オムライス一口ちょうだい?」


「はい、いいですよ♪」


「ありがとう、うん、これも美味しい! ナポリタンも食べる?」


「それじゃあもらいますね、うん美味しいですね♪」


 そしておしゃべりしながら食べ終わった俺達は、食後のコーヒーを飲みゆっくり休んだ後、次の目的地に向かう事にした。

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