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観察日記 5

 ―5月 □日―


 トウヤくんとおでかけ! ふんす!


 どこに連れてってくれるのかな~?


 猫カフェ! 猫先輩がいっぱい!


 動物園! 虎師匠……お久しぶりです!


 桜が今満開って、ニュースで言ってたな~♪


 トウヤくんはどこに行きたいのかな~?


 



 朝方、早く目が覚めてトイレに向かおうとしたらユキネさんの部屋の前に例のノートが……


 これ、落としたんじゃなくて置いてるよな?

 もしかして、俺に見せてるの?


 そして昨日書かれたページを読み……


 ユキネさん、猫科の動物が好きなんだな。

 猫先輩に虎師匠? なんだそれ?


 まさか……にゃんこ拳って……

 いや、まさかな…… そんな子供みたいな……


 でもユキネさんならあり得そう。


 猫か~、あっ! そう言えば…… そして帰りに…… よし!


 


「おはようトウヤくん……」


「おはようございます、ユキネさん!」


「う~ん、早いねトウヤくん……むにゃむにゃ……」


「ユキネさんは眠そうですね?」


「興奮して…… いや、あんまり眠れなかったの……むにゃ~!」


「そうですか、コーヒー飲みます?」


「うん、もらおうかな?」


「ちょっと待ってて下さいね!」


 そしてコーヒーを淹れてる間、チラッとユキネさんを見てみると……


 コックリコックリと船をこいでる……


 コーヒーを淹れ、ユキネさんに持ってくと、


 あっ! 危ない! ユキネがテーブルに頭をぶつけそうだ!


 慌ててコーヒーを置き、テーブルとユキネさんの頭の間に手を入れる。


「大丈夫ですか!?」


「ふぇ!? ……トウヤくん、どうしたの?」


「居眠りして、テーブルに頭をぶつけそうになってましたよ!」


「えっ? ……ありがと、……トウヤくんの手……プニプニ……肉球みたい♪ 触らせて!」


「えっ!? いいですけど……」


「外側はゴツゴツして男らしいけど、内側はプニプニ……面白い!」


「え、えっと……」


「ふむふむ…… このプニプニでショックを和らげて…… なるほど……」


 いまいちわからないが、ユキネさんがなんか納得してる。


「これで私のおでこをキャッチ……プニプニキャッチ、略してプッチ……ふふ♪ トウヤくんのプッチ……」


 ユキネさん? ……すっかりユキネワールドから帰還なさらないな……


「ユキネさん、今日はよろしくお願いします」


 するとユキネさんは、ハッとした顔をしてこっちを向き


「そうだった! 用意しなきゃ!」


 そしてユキネさんは俺の手を離し、急いで自分の部屋に戻っていった。


 ……俺も準備するか


 俺は着替えて、ちょっと髪をセットするくらいだから、準備といってもすぐ終わってしまった。


 もちろん焼肉と英語で書いたTシャツは着てない。

 もうあれを外に着ていく勇気はない!


 ユキネさんは準備に時間がかかってるのかまだ出てこない。

 女の人だからしょうがないよな~、化粧もしなきゃいけないし。


 家ではスッピンのユキネさん、別にスッピンでも充分綺麗だと思うんだけど、そこは男の俺が言ってもダメかな~?


 そんな事を考えてるとユキネさんの部屋のドアが開きユキネさんが出てきた。


 ばっちり化粧をしたユキネさん。

 やっぱり大人な女性で素敵だな~!


「ユキネさん、とっても綺麗ですよ!」


「トウヤくん、ありがと♪ お出かけだから張り切っちゃった!」


 スーツ姿のユキネさんはよく似合ってるが、私服姿のユキネさんもいいな! 


「それじゃあ、行きますか?」


「うん! レッツゴー♪」


 今日のユキネさんはテンション高めだな! お出かけするのを喜んでくれてるんだな?

 それだけで誘ってよかったよ!


 家のカギを閉め、外に出ると大家さんが外の掃除をしていた。


「あら~♪ 2人でお出かけ? 仲良いわね~! やっぱりデートかしら?」


「えっ!?」


「こんにちは大家さん、ゴールデンウィーク暇だって言ったらトウヤくんが誘ってくれたんです!」


「あらあら♪ ユキネちゃん、良かったわね♪」


「はい♪ それじゃあ私達行きますね♪」


「失礼します……」


「行ってらっしゃい、ふふふ~♪」


 大家さんはユキネさんよりも年上だが、若い女性なんだが、ユキネさんとは気が合うのか、とても仲が良い。

 たまにユキネさんは大家さんの家に遊びにいってるみたいだし……


 そしてユキネさんと並んで歩いて目的地に向かっている。


 今日は天気がいいし、目的地もそんなに遠くないから散歩にもなるし、それに……


「あっ! トウヤくん、こんな所に美味しそうな食べ物やさんがあるよ!」


「本当ですね! 今度来てみますか?」


「いいの!?」


「そりゃいつも料理作ってもらってますから! 俺が奢るんで今度来ましょう」


「……やった! トウヤくんとまたお出かけ♪」


「俺で良ければいつでも付き合いますよ」


「本当!? あっ! ここの居酒屋来た事ある? 前に会社の飲み会で来たんだけど、料理が美味しかったよ! ……ただ気を使って疲れたからあまり楽しくなかったけど……」


「そうなんですか? 料理上手のユキネさんが美味しいって言うなら来てみたいな~!」


「じゃあ、ここも今度行こう?」


「いいんですか? ……でもユキネさん、お酒はほどほどですよ?」


「えぇ~!? せっかくトウヤくんと来るのに~? トウヤくんとだったら気を使わなくて楽だから、楽しく飲めると思ったのに~!」


「……潰れない程度にして下さいよ?」


「……トウヤくんのケチ、潰れたら近いんだし、おんぶして連れて帰ってよ!」


「ダメです! ほどほどでないと、体にも悪いですよ?」


「……トウヤくん、年下なのにうちのママみたいな事言って……」


「何ですか?」


「何でもな~い! えいえいえ~い!」


「な、にゃんこ拳はやめて下さい!」


「……やっぱりトウヤくんには効かない! プッチで吸収してるの!?」


「何言ってるんですか…… あっ! もうすぐ着きますよ!」


「あ! もしかして……」


 そして俺達は最初の目的地に着いた。

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