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観察日記 2

「あの~? ここ、俺の家なんですけど……」


「何言ってるの? ここは私の家……」


 それが俺とユキネさんの出会い。


 同じ日、同じ時間に引っ越し業者。

 こんな偶然あるんだな~、と思ってたら行き先まで同じ……


 慌てて管理業者に電話したら……


「誠に申し訳ありません! 新人の手違いで……」


 訳が分からない…… 新人のせいにして、会社自体の間違いだろ!?


 ……と思ったが、ここで行き先を失うと……


 ユキネさんの方が先に契約してたみたいだし……

 引っ越しの手伝いをするために作業着で来ちゃったけど、服を探すの大変だな~、とか現実逃避をしていると


「彼の荷物も入れてください」


「えっ!?」


「話は後で……」


 そして荷物の運び込みが終わり、その時初対面だったユキネさんと2人きりに。


「……災難だったね? こんなの聞いた事ないよ」


「はい…… すいません、すぐ住む所を探すんで……」


 ガックリと項垂れる俺を見て、ユキネさんはしばらく黙りこんで、そして口を開いた。


「ルームシェア……する?」


「はい?」


「これも……何かの縁、それに……行き先がないと困るんでしょ?」


「……」


 たしかに…… 実家には帰れないし、明日から仕事がある。

 ただ…… こんな綺麗な女の人と1つ屋根の下ってマズイんじゃ……


「ただし、ルールは必要だけど」


 そしてユキネさんはそのルールを言った。


 1、 家賃は半分

 2、 リビング、キッチン、トイレ、風呂は共同。 お互いの部屋は1つずつでそれぞれお互いの部屋は立ち入り禁止。

 3、 お互い異性を連れ込まない

 4、 身の危険を感じたらすぐ追い出す(ユキネさん限定)

 5、 掃除などは分担、もしくは当番制

 6、 その他、細かいルールはその時に応じて相談


 そんな事をいきなり言われて戸惑う俺に、ユキネさんはクールな表情で


「とりあえず新しく住むところが見つかるまででもいいけど」


 たしかに今追い出されたら……


「あの……あなたはそれでいいんですか? 仮にも俺は男ですよ?」


「大丈夫、私はにゃんこ拳の使い手、あなたなんか指先1つで……ちゅるちゅるよ!」


「ち、ちゅるちゅる!?」


「そう、ちゅるちゅる……」


 ちゅるちゅるって何? その前に、にゃんこ拳って? なんか弱そう……

 

「あなたが悪い事をしなければ大丈夫、だからそう怯えないで?」


 いや…… 怯えてないよ? ただ混乱してるだけだよ? 住むところよりにゃんこ拳で頭がいっぱい……


「それで、どうする?」


「……じゃあ、お願いします……」


 そして俺とユキネさんの同居生活は始まり……






「ユキネさん、お風呂沸きましたよ?」


「分かった、じゃあお先に…… トウヤくん、覗いたらダメだよ?」


「わ、分かってますよ!」


 何故出会いを思い出したかというと、

 今日、管理業者の人が俺達に謝罪に来たからだ。

 

 住み始めて1週間以上たって、今頃謝りに来たって遅いだろ?

 そう文句を言ったら、敷金礼金はいらないし、2ヶ月間は家賃無料と言われたので、俺もユキネさんもその条件で納得し、謝罪を受け入れる事にした。


 そして、リビングでぼんやりテレビを見ながらこの1週間を振り返っていると……


「お風呂空いたよ」


「はい、分か……っユキネさん!?」


 ユキネさんは風呂上がりで薄着の格好で俺の前に立っていたのだが……


 あれは……ブラジャーをしてないんじゃ……

 うっすらと……


「ち、ちょっと! その格好、どうにかならないですか!?」


「……寝る時はいつもこうなんだけど?」


「それでも! 自分の部屋に帰ってからにして下さい!」


「……別にいいじゃない、家なんだし……」


 そうブツブツ言いながらも部屋に戻り上着を羽織るユキネさん。


 俺は逃げるように風呂に入り、赤くなった顔を触る。


 ユキネさんは無防備すぎるよ……

 まあ、俺を男として見てないんだろうな……


 それにしても……ユキネさんはスタイルがいいんだな。

 着痩せするタイプというか、あの胸……

 大きいとは思ってたけど、ガードがないと更に……


 っていけないいけない! ルームシェアさせてもらってるんだ! そんな目で見たら……



 翌日、朝起きるとユキネさんはもう出かけていなかった。


 かわりにあのノートがまた……

 そっと手に取り中身を見ると……


 ―4月○○日―


 トウヤくんはお風呂上がりの姿を見て、なんか怒ってた!


 うちのママみたいにガミガミ……


 私の家なんだからだらしなくてもいいでしょ?


 でもトウヤくんが私を見る目、嫌いじゃない。


 ただ、胸見すぎ! 


 これからはほどほどに!





 バレてた!? 今度から気を付けよう……


 ただユキネさんのこの日記…… なんか変だな?


 ……まあ勝手に見てる俺が言う事じゃないな。


 そう思い、日記を元に戻して、俺は仕事に行くことにした。

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