母さんはアイドル おしまい
家に入るなり俺は父さんに向かって怒鳴る。
「父さん、なんで放り投げ出したんだよ!俺、殺されるかとおもったじゃねーか!」
「うん、生きてるしいいだろ。母さんなら大事に大事に抱きかかえて逃げるのも苦にならんかったが、カルドだったしな途中で嫌になってきた。最後ほんの少しくらいカルドにも役にたってもらうかなって放ってみたわ」ガハハっと豪快に笑いながら言う。
「役にたつも何も、もう家に入るだけだったじゃねーかよ!」
怒りが収まらないが、父さんに力では敵わないし、あまりしつこく言うとまた放り投げだされかねないので、ここいらでやめておいた。
さて新居だが、とても大きかった。
入口に入ってすぐは、飲食スペース。その奥に、ステージがあり飲食スペースからも見ることが可能だが基本はステージ前の何も無い空間が立見席で、ステージを見るのにはメインの席なのだろう。
飲食スペースは、2人席が4席、4人席が2席、6人席が2席、それから厨房と隣接したカウンター席が6席分あった。
そして2階には、シングルの部屋が6部屋と、ダブル2部屋に、大部屋(雑魚寝するようなベットの無い部屋)1部屋、それに男女別の大浴場があった。
あとトイレは各部屋についているので、前の家や前世であったような朝のトイレ争奪戦は起こらないので安心した。
俺ら男3兄弟は、シングル部屋をそれぞれ1部屋づつ、父さん母さんでダブル1部屋、妹達でダブル1部屋と割り振り、残るシングル3部屋中1部屋は物置に、2部屋は客間にすることにし、大部屋は家族で集まる居間的な場所として利用することになった。
そして、家の中を見て回ってる間に、前の家で待機している間に考えたルールを街長に認定してもらったミーファさんが戻って来てくれた。
「これで、安心して生活できますね!」
「ミーファさん、今回は色々とありがとうございました、金銭面でもご迷惑をおかけしました、すみません。早目に返せるようにしますので、しばらくは借りでお願いします」
父さんがミーファさんにそう言うと、
「大丈夫ですよ、カルド君から今後の狩り手伝いの報酬として、モンスタードロップ品を全部頂ける事になっているのでレア品がでれば今回の費用も差し引き0って事になります」
ミーファさんはこう言ってくれたが、絶対足りてないような・・・、あの宝石1コとレア皮何個で同等なんだろ?あと新居の家賃も初月分は払ってくれてあるってことだったし、俺の狩りの手伝いでの報酬でもあるのだから、差し引き0になるって事は無いはずだ。
狩り再開したらレアドロップ沢山でて、ミーファさんにいっぱい渡せると良いなぁ。
さて、認定されたルールだが
1,イリニアを肉体的面、精神的面、共に傷つけることはしない。
2,劇場以外の場所で会っても、触れたり追いかけ回さない。
3,劇場上では、みんなのアイドル。ファン同士仲良く見守って下さい。
4,劇場で良い席をとるたに、近隣にご迷惑のかかる外での待機はしない。
5,上記ルール以外でも、劇場で言われた注意事項は必ず守る。
他にも色々と細かく候補を木の板に削り書き出した物を持って認定申請に行ってもらったのだが、認定されたのはこの5つだけだったようだ。
ミーファさんが「却下されることを考え、沢山の案を持っていった方がいいよ」って言ってくれたので、ダメ元で本当に細かく色々と考えて持っていってもらったが半分以上が却下されていた。
却下された案の板は、その場で破棄(燃やされる)され、認定された案の板には、街長だけが使えるという魔法で、認定された消えない証がつけられていた。
ルール認定された板は、店前の掲示板みたいになっている所にはめ込む事で、この店のルールだと掲げ皆に納得した上で来店してもらう仕組みのようだ。
店に来ない人でも、店の前を通った時に見えるので、ルールとして確認してもらいやすい。
そして、母さんのコスプレお披露目会はワンドリンク付きで、1公演(衣装を3回ほど替えてのトークショーみたいな感じ)1人1リクスという、ドリンク代としてはちょっと割高だが、ステージを見るには格安で設定した。
母さんも楽しみながら3日にいっぺんの公演を続け、お陰様?で毎回満席で家賃以上の収入を得ることが出来たので、2ヶ月後には父さん母さんからミーファさんにお礼のプレゼント(特性衣装とアクセサリー)と、かかったであろう費用は渡してくれた。
そして母さんのアイドル性も更に上がっていったのであった。
3月1日から今日まで毎日更新してきましたが、明日から子供が入院するため今週は更新出来そうもありません。
来週になれば、更新できると思いますので、しばしお待ちください。