隣人さんとの出会い
家族の混乱はとりあえず収まった。
なんせ、オタク一家である、満場一致で異世界に転生したとの意見に落ち着き、それじゃこのモフモフな姿を堪能するとこからはじめましょう!
と、それぞれが己のモフモフを堪能しはじめたのだった。
どのくらい堪能しただろうか?いつの間にか、それぞれが別の家族の耳や尻尾を触ってみたりしている。
「「タカにぃに、くすぐったいのぉ」」妹達の声に、兄達が俺に鋭い眼差しを向けていた。
ヤバい、これ以上、妹達を独り占めしてモフモフしたらヤラれる!
パッと妹達を離し、外に行ってこようと思い立ち「ぁ、俺、外見てくる!」ややカタコト気味になってしまったが、兄達へ伝えると外へと出てみた。
家の周りは、同じような家が数軒ある。
なんともファンタジーな見た目で、よく有る俺TUEEEE転生アニメで見たことのあるような、中世ぽい雰囲気をもった木造の家々だった。
あれ、これまだ俺ワンチャンあるんじゃね?って一瞬思ってしまう世界観だ。
まぁ、この状況楽しんだもの勝ちだろうし、俺TUEEEEもハーレムも無くても、元の世界に戻れないのなら楽しく過ごせるよう努力は惜しまないんだけどな。
にしてもだ、家は数軒あるが他の獣人が居る気配が全くない。
これは、どういう事なんだろうか。
ガサガサ…
気配は感じないのに、"何かが居る"そう思った瞬間、隣の家との境に生えているヒザ位の高さのある草が揺れた。
ガサガサ…ガサガサ…
音の鳴った方を見つめると、そこには俺たちとは見た目の違うタイプの獣人が居た。
「お前誰だ!そこは、だいぶ前から空き家のはずだ!どこからきたんだ!」
どう説明したものかと考えていたところに両親が来た。
「はじめまして、異世界転生して来ました、木村です」
えぇぇぇー、父さんその自己紹介はないでしょ!!って驚いてたが相手もなんのその!
「異世界から!それはそれは大変だったでしょうに。一家で来られたのですか?」
なに普通に会話しちゃってるの?やっぱり異世界何でもご都合主義なの?ねぇ?