母さんはアイドル?
帰りはラクラク帰還魔法♪
って事で、帰ってきました。自宅前です。
え?何これ??ウチの前、なんか凄い人が多いんですけど…(汗
どうしちゃったの???てか、めっちゃ注目されてるし、なんなんだよ〜。
俺の突然の出現に一瞬にして大勢の人の視線が俺へと向く。
誰かが「息子さんだ!イリニアちゃんの」と、叫んだ。
その声で皆が一斉に俺に向かって声をかけてくる。
「イリニアちゃんに合わせてくれ〜」
「イリニアちゃんのサインをもらって欲しいの、一生のお願いっ」
「イリニアちゃんにこれを!!プレゼントです、渡して下さい!」
庭にまでは侵入してこない彼らを横目に、俺は後ずさりし家の中へと入った。
家に入ってすぐのところには、めちゃくちゃ可愛いコスしたままの姿で放心状態の母さんと、頭を抱えて悩んでいる父さんがいた。
「なんの騒ぎだよ、これ」
「あ、あぁカルドか、すまんな・・・。今日も母さんが買った洋服に少し手直しして、魔法少女マジカル♡ベリーの衣装風にして広場に行ったんだが、そしたらなんか一気に人だかりが出来て、皆母さんのファンになったって言うんだ、で数時間後には熱狂的な人らも出てきて、母さん誘拐されそうになってな。俺がすぐに助けだしたんだが、母さんは帰ってからずっとあの状態だし、家の外はファンで溢れかえってるしで、どうしたらいいんだ。」
「に、兄さん達は?」
「あぁ、アニーナ、レニーナの2人も母さんに劣らず負けずに可愛いじゃないか?だから万が一にも危険があるといけないから、ハルドとラルドに奥の部屋で守ってもらっている」
「わかった。俺はそっち見てくるから、父さんはこれからの事を考えて、あと母さんを正気に戻してやってよ。父さんが抱きしめてやったり、母さんの好きな事してやりゃ少しは放心状態から覚めるだろう?」
「あぁ、そうだな」
トントン
「兄さん俺だけど、アニーナとレニーナは大丈夫か?」
「おう。ちょっと待ってろよ、今開けるわ」
ガチャりと鍵の音がし、ドアが開いた。
「「カルにぃ〜、良かったの、カルにぃだけ居なくてどうにかなっちゃったかと思ったの」」
わんわん泣きながら、妹達が続ける。
「「怖かったの、みんなママに好きだって言うの、どんどん迫ってきてママも泣いちゃって、どうしたら良いかわかんなくて、ハルにぃが来て助けてくれなかったら、私たちもママみたいに連れていかれたかもしれないの」」
「母さんは父さんが助けたから大丈夫だよ、安心して俺も帰ってきたし兄さん達も居るよ、みんなでアニーナとレニーナと母さんを守るからね」
優しく伝えると、俺が戻ってきたことで緊張の糸が切れたのだろう、2人は兄さん達の膝の上でスヤスヤと寝息を立てだした。
「ふぅ、やっと落ち着いたかな。カルドが戻らないから、アニーナもレニーナもずっと心配してて、泣いてたんだ。
怖い思いもしたのもあったし、不安がMAXだったんだろうな」
「そうか、こんな状態になってるって知らなくて悪かったな、俺今日はずっとミーファさんと2人で狩りしてたから」
「なっ、2人でだと??」
ハルドが物凄い勢いで俺の胸ぐらに掴みかかってきた。
おいおいレニーナが落ちる!と思ったが、そこはしっかりとレニーナが膝から落ちてしまわないように、片手が支えて片手で俺の胸ぐらを掴んでいた。
「お前、俺がミーファさんに想い寄せてるのわかってるだろ?」
「な、なんだよ?本を買うための資金作りの狩場を俺のレベルに合わせて教えてもらってるだけだぞ?やましいことなんてねぇよっ」
「本当か?」
「あぁ、俺3次元と恋愛とか興味無いしな」
「今のこの状態俺らが2次元みたいなもんだろ?」
「そうか?俺は普通に3次元って認識だな。だからか?2次元の嫁だけいればいいって思うわ。そのためにも本が欲しい!今はその一心で、ミーファさんにお願いして狩場を教えてもらってるだけだよ」
「お前ブレねぇなー。もしそういう本が無かったら、どうするんだよ?お前の言うとこの2次元嫁も探せれねーぞ?」
「いや、心の中に鮮明に嫁は存在してるから大丈夫だ。本が無かったらせめても紙を買って自分で嫁描いて愛でるわ!!」
「じゃぁ、ミーファさんには絶対手出すなよ?俺がぜってぇ落とすから!」
「わ、わかったよ。その前にこの状況をどうにかしないと、俺は明日からの狩りにも行けないし、家族も怖い思いしたままだ。それに兄さんもミーファさんにアタックしにいけないな」
「そうだな…どうしたもんかな」