最終日
翌日からは、毎日モンスターを狩る日々に突入した。
特に問題もなく、毎日戦闘をしていくと、慣れてくるもので、10日目には1体6分ほどで倒せるようになっていた。
コンスタントに倒せるようになったので、どちらかと言えばモンスターを探す時間の方が長い時もあるくらいだ。
森の中もスイスイと走れるようになった。
障害物もジャンプ力があるので、とくに問題ないし、かなり順調だ。
食材屋のオッサンとも仲良くなった。
毎日俺が25頭前後持ってくるのと、他にも同時期に多頭持ち込むヤツが現れたらしく、徐々に買取価格が下がってきた。
この世界でもやはり需要と供給があるので、毎日毎日沢山持ち込めば安くなってしまう。
今までは毎日平均80頭くらいの買取数だったのが、今は毎日250頭くらいになっているそうだ。
なので一頭2リクスだった買取価格も、今や一頭1リクス2000ルクスまで下がっている。
俺としては、戦闘感覚を叩き込んでいる副産物なので、別に困るわけじゃないが、これを生業にしてその日暮らし程度の稼ぎで生きてる人らにとっては、ちょっとした痛手のようだ。
2週間まで残りの4日だし、4日分は家の食材として貯蔵しておこうかな。
燻製にしたり、塩漬けにしておけば、長期保存がきくと食材屋のオッサンに教えてもらったし、明日からは全部保存食に加工してみよう。
今日までで、金も少しは貯まった。
いつまでもミーファさんの四次元ポケット(アイテム保存袋)を借りている訳にもいかないので、自分のを買ってみたり、毎日夕飯は露店でご飯食べたり、妹達達にアクセサリーを買ってあげたりと少し・・・いや予定以上に使ってしまった分もあるが、約200リクス貯まっていた。
当面の目標の1ラクスまでは、残り9800リクスもあるが、でも無駄使いしていなければ10日で500リクスは稼げていたので、そう考えたら思っていたよりも早く集まりそうではあるな。
そんな風に気軽に考えていたが、需要と供給って本当に・・・、この後1週間後に一頭7000ルクスにまで落ち込み、街中がモンスター肉料理の格安SALEで溢れかえるなんて思ってもみなかったのだ。
誰だよ、1日で500頭も売ったっていうバカは!!
家にも、俺が狩ってきたモンスターを長期保存できるように加工した肉で溢れかえってるし、いくら好きって言ってもそろそろ皆も飽きてきたぽいな。
まぁ加工した肉は、1年前後大丈夫って話しだし、それまでには家の加工肉は消費し終わるだろう。
その後の4日間も無事に終わったのだが、モンスター自体のポップが遅くなってきたのか?それとも500頭も売ったって言うやつが、ポップするそばから狩ってるのか?最終日には、中々エンカウントする事が出来なく、順調とは言い難い最終日だった。
それでもどうにか最終日を迎え、目標数を狩ったので、ミーファさんの所へ報告へ行く。
「こんにちは、ミーファさん」
「はいはいはーい」
「最終日もどうにか終わりました!次の段階教えてください。」
「はい、お疲れ様でした。と・こ・ろ・でっ!ここ最近のモンスター肉暴落問題は、カルド君のせい?」
ちょっと鋭い目で、ミーファさんが言う。
「違いますよー。俺以外にも狩ってる人が居たらしくて、食材屋さんのオッサンの話では、日に日に持ち込み量が多くなってるって話しらしいですよ」
「そうなんだ、本当困るわよねぇ、暗黙のルールじゃないけど1人で持ち込むのは、30頭前後までって感じだったのにねぇ。だから、カルド君にも30頭を目標に狩りさせたのに!食材屋さんは商売だから、持ち込みがあれば、それも大量で安く買取出来るなら買取っちゃうから、街の皆で暗黙のルールって感じにしていたのに、まったくもぉ〜」
かなりのお怒りモード声でミーファさんが教えてくれた。
そうだったんだ。知らずに50頭近く売っちゃった日が1日だけあったよ…うん、内緒にしておこう。
それにしても誰なんだろう、俺みたいに転生してきたばかりでルール知らずに狩りして売ってたヤツなら、知らなかったんだし許してあげて欲しいな。
でも1度も狩場で遭遇する事が無かったし、近くで戦闘してる音もほとんど聞いた事無かったんだけど、どこで狩りしてたんだろうな?謎だ。