Last episode 3 ブラックホールにて
そして、セラフィスノはアラフォースが作り出したブラックホールの元に近づく。
「これ以上近づくと吸い込まれちゃうね。・・・帰りに同時転送可能な人数は7人までだよ。行きは何人でも転送できるけど8人以上送るともしもの時取り残されちゃう人が出てきちゃうから全員の安全のためにはニアとセイバーで7人まで絞り込む必要があるよ。」
「俺様はこいつらのことよくわからんからな。俺様は確定で行くとしてニア、あと5人はお前が選んでくれ。」
そして、セイバーにメンバー選出を任されたニアがメンバーを選ぶ。
「まずは取りあえず文句言いたいだろう奴ら・・・もうここで3人だな。シェリル、ゼフィリア、フェクト。お前らは来てくれ。あとはルーア。お前は来てくれ。・・・最後の一人はこの中で一番強いナディアだな。残りのメンバーは待機しててくれ。」
そうして、ニアに選ばれた5人は武器を取りに割り当てられた部屋に戻る。ニアは最初から武器を持っていたために、コックピットで待つ。そのニアに、アストラは声をかける。
「ニア。」
「なんだ、アストラ。」
「これ、使ってほしいな」
そしてアストラが渡したのは一丁の拳銃だった。その拳銃は武器として使うには小さいもので、撃つために使うものではないことはニアにはすぐわかった。
「この拳銃、撃つためのものじゃねえよな?どう使うんだ?」
「銃剣につける銃だよー。防具としての役割もあって盾にもなるんだ。・・・絶対、生きて帰って来てね。約束だよ。」
「・・・おう!」
そして、武器を持った皆がコックピットに戻ってくる。
「お二方、イチャついてる場合じゃねえぞ!行くぞ!」
・・・そして、ブラックホール。アラフォースは、やはりそこにいた。
「エレデアスに支配された現宇宙。貴方方はそれを当然と思い込み、星々に進化の抑制や統制を行ってきました。」
ニア達を認識したアラフォースは話し始める。初めて会った時と同一人物とは思えない、曇った眼をしていた。
「でも思考の統制や進化の抑制はエスカが勝手にやったことだろ。どうエレデアスが関係するんだよ。」
「確かに思考制御はエスカフローラの独断で行われた行為です。しかし、次元移動はどうでしょうか?次元移動による弊害の全てがエスカフローラには結びつかないのですよ。次元移動によりやってきたエレデアスが存在する限りガイアはエレデアスに永遠に追従することが確定してしまうのですよ。どれ程にガイアが発展したところでガイアは未来のガイア、エレデアスに追いつくことはできません。」
言いたいことが、ニアにはいまいちよくわからなかった。しかし、ナディアは意味を理解したのか意見する。
「成程ね。確かにあんたの言う通り、ガイアがどう発展したところでエレデアスの科学技術になんかいたちごっこで追いつけるわけもないんだから勝てるはずがないわね。でも科学技術で勝てないってんなら別の技術で戦えばいいんじゃないの?」
「御もっともです。だから私はエレデアスと戦っているのですよ。このままエレデアスによる統治を止めなければ銀河は永遠にエレデアスに追従するのは自明の理でしょう。それとも、サーヴィルにつけと?結局配下に成り下がることには変わりありませんね。」
「で、それがこれと」
「そうです。私が宇宙をリセットしエレデアスの暴走を止めましょう。次元移動によって現れたものが消えることにより銀河は正しい姿を取り戻すのです。」
しかし、セイバーにはそれでもわからない疑問点があった。
「んなことしてどうなるってんだ。そうしてエレデアスを消したところで新しく次元移動を行う発展を遂げたガイアが現れるだけだろう。」
しかし、アラフォースにとってはどうでもいいらしい。エレデアスを消すことを目的としてるのだから、ガイアがどう発展しようと関係はないらしい。
「それの何が問題だというのです。外的要因が存在しなければ過去と同じことを繰り返すとしても、未来を感知することはできません。知ることのできない未来の運命など、当人には何の意味もありません。結局何を言ったところで貴方達は事故の生存のために現宇宙を犠牲にしているのが現実です。認めたらどうですか?」
「確かにそうかもな。だが、そうだとしても手前がやってることも同じだろう?」
「ええ、そうですね。私が行動してる理由は他ならぬガイアのためですよ。今ここにあるガイアのため・・・。」
そして、シェリルが言い放つ。彼女こそが、真に今ガイアの頂点に立つ人間なのだから。
「そんなことをしたところで、ガイアのためにはならないわよ。」
「貴女ならそう言うと思っていましたよ。ですが、考えたことがありますか?エレデアスに魔法文化を奪われなかったガイアというものを。エレデアスは星民から魔法を奪い、ガイアから魔法を奪った。統治のために魔法を蔑ろにしたのですよ。尤も、一部の人間が独占していたこともあったようですが。しかし状況は変わりました。ガイアではグローレンス家が滅び、エレデアスではエスカフローラが死にました。これで、ガイアを魔法文化の惑星に戻すことができます。」
到底、シェリルにとって納得できる話ではなかった。彼女がMZBに反逆を起こしたのは、こんなことのためではなかった。シェリルは魔硝石を集めるため、クレイバーやセレンの復讐のためにダクトナーレを倒そうと大勢の人を殺めてきた。しかし全て、彼女なりにガイアのことを考えてきたからやってきたのだ。目の前の男のために手を汚してきたのではない。
「ふざけないで。私はガイアのために皆のために代わりに罪を背負ってきたの。あんた一人のそんな舐めた考えのためなんかで地獄に落ちるのはごめんだわ。」
「私はそう言った時代に生きてきました。古き良き時代に。」
そして、蚊帳の外にされたナルグディのゼフィリアとサーヴィルのフェクトも口々に言う。彼らもまた、全く関係がないのに巻き込まれるのだから当然だろう。
「それでナルグドも巻き込もうというのか!そなたはナルグドのことも考えているのか!?」
「近くにあったから巻き込んでしまっただけです。文句なら接近させたフェクトに言いなさい。」
「・・・ナルグドの疫はドラゴンではなくそなただったようだな。」
「で、肝心のサーヴィルはどうする気なんだい?」
「エレデアスを壊滅させた後、当然攻撃しますが。」
「そうかい。じゃあ仲良くはなれそうにねえな。ゼフィリアさんよ、こんな奴に巻き込ませるつもりはなかったんだ、すまねえな。」
そして、一連の話を聞いていたルーアがアラフォースを切り捨てる。
「結局、貴方のやっていることは私怨と私欲によるもの。自らの手で歴史を変えたいと思っている愚かな人間。」
「今は亡き、エスカフローラの陰口ですか。」
彼女は、エスカフローラを肯定しない。しかし、彼女は思っていた。曲がりなりにも彼は平和を求め、民のために動いていたと。方法は間違っていても、その思いだけは本物であったことを。
「エスカフローラは、エレデアスや銀河の平和のためにやっていただけマシ。貴方は滅びしか与えない。」
そして、再びニアが口を開く。
「アラフォース。確かにお前はすげえ頭と知恵を持った人間だよ。その気になりゃエレデアスを滅ぼす魔術くらい使えるんだろうさ。だがな、俺はエレデアスを滅ぼすわけにはいかねえんだ。ゼフィリア、フェクト、シェリル、ナディア、セイバー、ルーア、クレイバー、トキファ、ウィル、ジェル・・・それにアストラ。皆を守らなきゃいけない。それにな、親父もエスカもエレデアスを滅ぼすことだけは考えていなかった。皆曲がりなりにもエレデアスのことを考えていたんだ。」
「しかし、ガイアのことなどは考えてもいなかった。」
「ああ、それはそうだ。それは認める。しかし、それは全てを否定する理由にはならないだろう。そんなんじゃ分かり合えねえだろ。」
「貴方達を理解する気等、到底ありませんので。」
その言葉を聞き、七人は臨戦態勢に入る。アラフォースも、身の丈ほどある長い鎌を取り出している。魔力をはっきりと認識できるようになったニアとルーア、それに魔力に敏感なシェリルは酔いそうになる程の濃密な魔力が滲み出ていた。しかし、ニアはしっかりとアラフォースを見据える。
「・・・そうかい。なら、覚悟はできてんだろうな?」
「それはこちらの台詞です。死になさい。」




