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銀河騒乱   作者: 村山龍香
第二章 銀河編
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episode19-1 エスカへの反逆

そして、惑星エレベーター静止衛星軌道。

「・・・エレデアスに戻って来たな。」

「ここを降りてエスカを止めるよ。・・・行き先は、一階だね。」

しかし、惑星エレベーターは途中で止まってしまう。どうやら、機械の動力が足りてないようだった。

「あれ?」

「・・・機械の電気が通ってないみたいだね。こういう時は・・・えい」

そうして、アストラが基盤をいじると、少し降りてドアが開く。

「この中継地点で電気を復旧させれば何とかなると思うよ。治してくるから、ちょっと待ってて。」

そして、休憩室に散り散りになる。ニアは、先のブレインとの戦いでのルーアの変貌と暴走が気になっていた。そう言ったものの知識がありそうなシェリルに、あの現象を訪ねる。

「シェリル、さっきのルーアのあれはなんなんだ?」

「アレ?・・・ああ、前聞いてきたのはナディアだったわね。アレはリストブレイクって現象。今の貴方達にとっては火事場の馬鹿力みたいなもんだとでも思っててくれればいいわ。・・・まだ気付いてないみたいだしね。」

「何が?」

「こっちの話よ。・・・」

そういうシェリルの目は、ナディアとナスカの方に向けられていた。まだ疑っているのだろうか。

「しかし、これが本来発展をつづけた私達の未来ねえ。実感がないわ。何年かかることかしら」

そういうシェリルをよそ眼に話は聞けたとニアはアストラの方に行く。注意深くナスカを見ていたナディアはそのニアの様子に気付かなかったが、気付いていたらきっとニアの事をひやかしていただろう。

ニアはアストラに近寄ったが、まだ終わってない様子だった。

「アストラー、まだかー?」

「もうちょっとだからちょっと待ってて・・・よし。復旧したよ。行こっか。」

そうすると、ニアの電話に電話が入る。ナディアからだった。

「はい、こちらニアー。」

『ニア!?何してるの!?』

声は息切れしていた。どうやら走りながらかけてるらしい。ただ事ではないと察知し、声を改める。

「ナディア!?どうした!?俺はアストラの様子を見に行って・・・!」

『ならイチャコラぶっこいてる場合じゃないわよ!・・・アイラの奴、やっぱりスパイだった!!エスカと連絡取ってたのの現行犯よ!!』

「何だって!?・・・わかった、すぐ行く!!アストラ、俺にダッシュで着いてこれないだろ!?背中に乗れ!」

かなり慌てた様子のニアに、アストラもただ事ではないとわかった。ニアに太腿を抱えられ、腕を首を回すとニアは一目散にアストラを背負い走り出す。惑星エレベーターに向かって、だ。

「ニア!?どうしたの、そんな慌てて!」

「・・・ナスカの奴、俺達に探りを入れてたみたいだ!!ナディア達が今、追及してる!」

「ええ!?」


「・・・で、どういうことかしら?なんで、エスカと連絡を取っていたわけ?」

「取ったら不味かったかしら?」

「不味かったから逃げたんでしょう?・・・あまり舐めたことばっかりほざくと首たたっ斬るわよ。私最初っからあんたのこと気に入らなかったからね。今更あんたを殺すことに抵抗なんてないから。・・・私、めっちゃくちゃ頭に来てるの位わかってるわよね!?」

そう言い、ナスカの首に剣を向けるナディアに冗談の色は見えない。最初に会った時、脅しにナスカに剣を向けた時と違いナディアは本気でナスカを殺す気で対峙している。綺麗事をニアの前で散々抜かした事等で相当な怒りを覚えたらしい。短気な彼女が、よくぞここまで我慢したものだ。

「・・・そうよ。私はペラルナに不時着した時からあんた達を監視してたわ。エスカ様のためにね。」

ナディアが、それを聞き壁に思い切り剣を突き刺す。恐ろしい力だった。それ程までに、彼女は怒っていた。

「・・・舐めてんの?よくもまぁいけしゃあしゃあとしてられるわね・・・!!」

そして、ニアとアストラが合流する。事あるごとに声を荒立てることの多かったナディアであるが、背中を見ただけでナディアが相当怒ってるのをニアは察知した。とりあえず落ち着かせないと話にならないと、ニアは宥めようとする。

「ナディア、落ち着けって!冷静に聞き出さねえと・・・!」

「落ち着いてなんかられないわよッ!!」

無駄な抵抗だった。その一喝にニアは一発で諦め、見ていることしかできない。

「何それ!?何がエスカ様のためよ!!ええ惑星を守りたかった志はご立派ね!!でもそれでしたことは何?ニアのお父さんは殺して!セイバーさんのお姉さんも殺して!人の心は弄んで!何が正義よ何がガイアのためよ!!あんな奴、正義でもなんでもないわ!!そんな奴の真実全部知ってもなお味方するような奴、死んじゃえばいいのよッ!!」

怒りに任せ、思いの全てを吐き散らす。その怒りに震え、ナスカ・・・いや本名アイラ=ディストニアという女を睨み付けるナディアの目は、凶悪と言えるほどに眼力を放ちアイラを見据える。

「・・・今更説得しても無駄みたいね・・・!なら・・・!!」

アイラは銃を向けるが、ナディアが力任せに手首を持っている剣で叩き切る。そして、その剣はアイラを何度も何度も切りつける。

「五月蠅いッ!!五月蠅いッ!!」

流石に止めないとまずいと感じたニアが止めに入る。アイラ=ディストニアだったそれはもう完全に息絶えており、これ以上の攻撃には何の意味もなかった。本当にキレるとここまでになるとは、流石に思ってなかったのだ。

「ナディア!もうそいつは死んでる!それ以上やっても・・・!!」

「離して!離してよッ!!」

「ナディアッ!!」

しかし、止められなかった。ナディアは最後に力任せにアイラの死体をエレベーターから蹴り落した。

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

「気が済んだか、ナディア。」

そうすると、轟音が響く。

「何だァ!?」

「・・・エレベーターのワイヤーが切れてる!!このままじゃ落ちて全員死んじゃうよ!!」

「落ち着け!・・・こういう時のためにこのエレベーターはブレーキを掛けられる・・・!!」

ニアが冷静に対処し、すぐさまブレーキがかかり落下は止まった。上空に留められ、7人全員助かる。

「・・・ナディア。」

「何よ。」

「この、大馬鹿野郎ッ!!何考えてやがる!!」

安全が確保された後今度は、ニアが怒鳴り散らす。

「何よ!あのクソ女ずっと探り入れてエスカに報告してあんたの前では綺麗事抜かして!怒って当然でしょ!?」

「怒ったことにキレてるんじゃねえよ俺は!冷静に考えてくれよ、何のために俺達はアイツと戦うんだよ!セイバーの姉さんや俺の親父の復讐のためか!違うだろ!?エレデアスの皆の自由を取り戻すためだろ!?・・・いいか。復讐したいって気持ちからは何も生まれねえんだ。ナスカを殺しちまったのは仕方がねえ。でも・・・なんのために戦ってるのかだけは忘れないでくれ。」

ニアも静まっていき、エレベーター内は沈黙に包まれる。・・・そうしてると。

ヘリコプターの音が聞こえてきた。軍部のヘリコプターであることは、すぐにわかった。

「軍部のヘリ?」

「お前ら、そこから動けねえんだろ!?乗りな!」

ヘリコプターのハッチを開け、出てきたのはセイバーだった。


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