episode11-2 捕虜
フィルノアコーポレーションに辿り着き、アストラは具体的な行動を改めて説明する。
「えーと、行動順序をまとめます。ナディアが先頭に立ちインフェニティを前線で全力で駆逐します。倒しそびれがあったらニア、ルーア、ナスカの各名が処理してください。倒れたところに僕がウイルスチップをばらまきます。・・・で、駆逐終了でこのビルは爆破します。なので、一般人が入ってしまわないように保安部の人に停止線を張っててもらいます。以上だね。僕が動けなくなるとウイルスチップが作れなくなるから三人の中の誰かは僕に着いてくれると嬉しいかな。」
「わかった。それは俺がやろう。・・・で、駆逐終了って何を合図にすればいいんだ?」
「えーっとね、インフェニティってマザーコンピューターみたいなのがあるの。それをマザーフェニティって呼ぶことにします。それを破壊してウイルスチップを入れれば全部機能が止まるはずだよ。」
「了解」
そして、建物内部に入る。ナディアが先頭に立ち、インフェニティを駆逐していく。
「邪魔よ!消えなさい!!」
「・・・マジで強いな、この人。」
「当たり前でしょ。私の階級は大将よ。エレデアス軍部のナンバー2。ウィルより偉いんだから」
こんな自由奔放な人がこんな重役でいいのか、といささか疑問に持ちつつ四人はナディアについて行き進む。その間、苦労することはほとんどなかった。ナディアの力が、大変に優れていたからである。
「ナディア、お前なんでそんな実力があるのに軍部にいるんだ?」
エレデアスでは、同じ兵士学校から軍部に行くか保安部に行くかを選ぶことができる。大抵は学力に優れるものは保安部、運動しかできないものは軍部に行くことになっている。ナディアは話を聞いていてもそこまで頭が固いようには感じず、行こうと思えば保安部でも相当な地位が得られるはずだ、と感じたからだ。それに対し、ナディアは全く迷いなく答える。
「エスカ局長があまり好きじゃないから。・・・軍部のエリートなんて大体そんなもんよ。」
それにナディアは付け加える。
「それに・・・言わせないでよバカ!」
「なんでだよ!」
勝手に赤面して勝手に怒った彼女の心境を、ニアはこの時理解できなかった。
・・・そして最上階。マザーフェニティの隣に、なぜか昨日サーヴィルに人質として取られてた女性がいた。
「あっ、ニア君だ!助けてー!!」
「誰あれ?昨日人質に取られてた子に似てない?」
「似てるっつうかそうだ。フォロウっつうんだけど俺の事が好きらしいがよくわからん。」
「彼女?」
「違う」
そう押し問答してるしてるうちにもフォロウというらしいその子はニアに必死にアピールする。
「爆破して逃げねえ?」
「あんた保安部のエリートでしょ!部下に何教えんのよ市民助けないで!」
「ちっ、仕方ねえな行くぞ!!」
そうしてナディアとニアは一斉に飛びかかる、しかし、マザーフェニティは軽く避けた。
『避けた!?』
「マザーには人工知能がついてるよ!大したことないけど普通に攻撃しただけじゃ・・・」
「ならこうか!」
ニアが今度は一人で突っ込む。当然、飛んでマザーフェニティは避ける。しかし、そこにはナディアが剣を振り下ろそうとする構えでそこにいた。
「ざーんねん♡こっちは本気よ!」
そして魔人のごとく一気に振り下ろしたその剣は、マザーフェニティを一気に打ち砕く。
「やるー♡」
「よく意図がわかったな。」
「そりゃあ普段からセイバーさんと前線で戦ってますもの。一緒に戦うやつの行動くらい見切って動かないとね。」
そしてフォロウを救出した一行は、爆弾を仕掛け階段を駆け下りた。
第一銀河のもう一つの大きな文明を持った惑星、サーヴィル。
そこでは、サーヴィルの長ノーベルジェヌンと戦艦の艦長フェクトがいた。
「・・・フェクトか。」
「はい。フェクトです。」
「エレデアスが攻めてくるかもしれん。エレデアスを倒してくれ。」
「わかりました。アストラを倒してきます。」
「いや、エレデアスを・・・」
「アストラを倒してエレデアスを壊滅状態にします。任せてください。」
「いやそれならトップのエスカとセイバーを」
「アストラってむかつきますよね。僕の機械を壊してくるし。」
「いやどうでもよくて」
「わかりました。アストラぶっ倒してエレデアスを壊滅させてきます。」
「・・・大丈夫だろうか、あれで。」
ノーベルジェヌンは、不安に駆られていた。
そしてフィルノアから脱出した6人は、保安部に戻ろうとした。・・・しかし。
「やめて!」
ルーアが、確保されていた。サーヴィルによって。
「なっ、なんだアレは!」
「フェクト!何してるの!?」
アストラはそのサーヴィルに声を荒げる。珍しかった。
「よーアストラ。さっきうちのジェルが世話になったみてえだからな。まぁこっちも捕虜をもらっとこうってことだ。じゃあな。」
そう言うと、フェクトと呼ばれたサーヴィルとルーアは消えてしまった。連れ去られたことは、すぐにわかった。
「ルーア!!」
「アストラ。あのサーヴィルのこと知ってるの?」
「う、うん。フェクトって言うの。サーヴィルでは結構力を持ってるみたいなんだけど・・・。」
「確か、サーヴィルに攻め込むのよね?」
「うん。僕は裏方だけど。」
ニアは、それに割り込んでこう言った。
「アストラ。軍部に連れてってくれ。俺も同行させてもらいたい。」
「・・・えっ?」




