episode0-1 脱獄
「とっとと入れ!!」
乱暴な声がスキンエンパイアが誇る究極の牢獄、ブラッドエンプレスに響いた。
死刑囚シェリル=コンスタンティウスを部屋に叩き込み、鍵がかけられた。
彼女の罪状はスキンエンパイアの保持する国宝、次元石の破壊。
「なあ、最近皇帝人使い荒くないか?最近給料も下がってるし。」
「こんなとこでそんな話するなよ。ラドン監獄長が来たらどうするんだよ。」
看守と思しきシェリルを叩き込んだ男達が世間話を始める。そこでシェリルは自分には聞き覚えのない単語が沢山聞こえてきた。監獄長が来るほどの大罪。三日後に死刑。そして一番の聞き慣れない単語。
それは・・・魔硝石。というかそもそも、自分がなぜ捕まったのかすら、シェリルは理解していない。
それはそうだろう。突然スキンエンパイアの兵士達がコールルピックでシェリルを見つけるなり声をかけ乱暴にシェリルを連れ去ったのだから。
「ここから出して。私は冤罪よ」
ようやくシェリルが口を開いた。自分はそのままいては三日後には言われもない罪で死ぬ。納得できるはずがないだろう。
「ふん、何を言ってやがる。指紋も髪もばっちりDNAが一致したんだ。それにお前、うちの兵士何人殺したと思ってる?あれだけの人数に簡単に対抗できるってことは相当な計画犯罪だろう。それらについてどうやって言い訳する気だ?」
「おかしいとは思わないの?そんな死刑に処されるような罪を犯した自覚があるなら、自分の知ってる場所とは言え堂々と散歩なんかできないわよ。居直りだとしても、どこかしらに不自然な所が出る」
「とは言っても証拠がだな・・・。」
こいつは何を言っているんだと思っていた矢先。一発の銃声が響いた。
「・・・誰だ!」
看守が後ろを振り向いた時、そこには緑色の髪で青色のダウンジャケットを来た男がいた。
「名乗りたかぁねえがいいだろう。天才技術者のファルク=デスロイド様だ」
「・・・誰だ?」
「ああそうかここはスキンだったな。マルクセングじゃそこそこ知られてるんだが」
マルクセングからわざわざ来たらしいそのファルクと言う男は銃を使って二人の男を銃で足を狙い行動できなくした。
「こんなところに無断で入ってる時点で俺も立派な犯罪者なんだけどな。殺すのは趣味じゃねえから生かしておいてはやる。・・・さて、目的はこの奥だ。」
そう言い、シェリルがいる牢屋を通り抜けようとしたその男にシェリルは声をかける。目的は知らないが自分を助け出すことに対してのデメリットのない人間が侵入し、目の前に鍵を持った兵士が気絶して倒れている。脱出するのに、これほどの好機はない。
「待って、そこの侵入者さん。」
「なんだ」
ファルクは足を止めた。ある程度は会話が聞こえていたのだろうか。
「私をここから出して。何か目的があって入ってきたんでしょう。できることなら手伝うから」
シェリルはそう言って出してもらうように頼んだ。どうせもう犯罪者なのだから、助けて手伝うとまで言えば、出してくれるだろう。
「・・・俺はある女性を救出しに来た。救出の援助をしてくれるなら出してやる。武器なら持ってるし使えそうなやつをやろう。言うまでもねぇが出してもらうだけしてもらってトンズラここうとしたら牢屋に戻すからな」
「わかった。多分そのひっくり返ってる兵士がここの鍵は持ってる」
「解錠技術くらいは心得てるからそんなもん要らん。・・・よっと。」
そう言ってファルクは扉の鍵を鍵も使わずに簡単そうに解錠し、扉を開いた。そして出てきたシェリルにファルクはボウガンを渡す。
「銃の心得なんてどうせないだろ。それなら力がなくても使えるからな。」
「ありがとう。私の名前はシェリル=コンスタンティウスよ」
「そうか。・・・シェリル、俺が助けようとしている女の名前はリメルだ。金髪のショートヘアだ。間違えるなよ。あれだけ堂々と名乗ったから聞こえてるとは思うが俺の名前はファルク。ファルク=デスロイドだ。」
そう言って互いに違う目的を持ちつつも協力を図る二人は、牢獄の奥を目指し進み始めた。