episode7-1 世界に見捨てられた国
家に戻ったシェリルはルサナにまたしばらく出ていくと今度はちゃんといい、マルクセングへと向かう。
マルクセングの船貸屋で船を借り、一人ルレノへと向かう。その間、不思議とスキンの事は何一つとして考えることはなかった。考えていたのは、クレイバーのことばかり。
(クレイバー、なんで貴方は一人で抱え込むの?私はこれだけ貴方の事を想っている。少しくらい心を打ち明けてくれたって・・・。)
結局、どんな建前を立てたとしたってシェリルはクレイバーの事が気になって仕方がないのだ。もし彼女が彼に何一つとして想いを寄せていなかったとしたならば、きっとファルク達と共にMZB本社へ向かっていただろう。冷静になって考えてみればそっちの方がMZBを止めることにのみ関すればいいに決まっているのだから。それほどまでに、クレイバーという男の存在は彼女の中で大きくなっていた。
そうこう考えてるうちに、ルレノキングダムに着いた。
「これがルレノキングダム・・・。差し詰めこの雨は滅ぼされた国の涙って奴かしら?・・・嫌な雨ね」
そう呟き、船から出るなり盗賊に囲まれた。しかし、シェリルはわずかな魔力のみで全員を戦闘不能に追い込む。
もう、彼女には生半可な実力では勝てない。それほどまでの魔力を魔硝石からの魔力の蓄積、日々の鍛錬で養っていた。
「貴方達には用はないわ・・・そこをどいてちょうだい。」
盗賊達の攻撃をわずかな魔力のみでかわし、王宮に残っている宝にも目をくれず。
クレイバーを、彼女は探し続けた。そして、ルレノ王宮だったものの最上階。
クレイバーとマーティは、そこにいた。