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銀河騒乱   作者: 村山龍香
第一章 ガイア編
1/63

prologue

ここはスキンエンパイア、デーロック議事堂。

最上階の国家司令官室に、桃色の髪の女が駆け込んできた。

「クロム!大変よ!」

クロムと呼ばれた緑髪の男が、机の上に置かれていた書類から目を離し眼鏡を机に置き桃色の髪の女に目を向ける。かなり焦った様子の彼女に、火急の連絡であることは容易に想像がついた。

「どうしたセレン。皇帝に何か動きでもあったか?」

「いや、侵入者よ。何者かが魔硝石管理室に向かって進んでるわ。」

「そうか。魔硝石管理室の映像を流せ。あとは館内の兵士を直ちに魔硝石管理室に向かわせろ。」

「兵士達は向かわせたわ。映像ね、ちょっと待ってて。」

そう言い、セレンと呼ばれた女がテレビにプラグを繋ぎ魔硝石管理室の映像が映し出される。そこには、赤髪の女が写っていた。

「ふーん、スキンエンパイアでも意外とちゃんと魔硝石を管理してるんだね。でもそれだけ。肝心な警備はガタガタ。」

赤髪の女はそう言い、部屋に置いてある魔硝石と呼ばれる石に向かい歩を進める。しかし、すんなりとはいかなかった。後ろから警備にあたっている斧を持った大男たちが来たからである。

「動くな!確保させてもらうぞ!」

後ろから響いた怒号に、赤髪の女は振り返る。自分の倍はあろうかという体格の兵士達を前にしても、女はまるでたじろぐ様子はなかった。

「なんだ、ただの雑魚か・・・あんた達に用はない。邪魔をしないでもらいたいね。」

「動くなと言っている!」

「わかったよ。一発で片づけてやるから。本来こんな所で使う力じゃないんだけど・・・面倒だし仕方ないね。」

嫌に落ち着いているその女の様子に、クロムは疑問を覚えた。銃を持っているであろうことは簡単に予想がついたが、生身の女が一人で対抗できるとは、到底思えない。

「あの落ち着きはなんだ・・・?生身の女一人で対抗できる連中ではないぞ?」

そのクロムの疑問に、女は一発で語らずしてその余裕の解答を見せる。斧を構え襲い掛かる兵士たちを僅かな詠唱と共に放たれた漆黒の剣で貫き屠った。大男達は、わずかな抵抗さえも許されず一撃の下倒れる。

一切息を切らせた様子もなく、女はその倒れた大男たちを見下げる。

「やっぱり魔硝石って便利だね。こんなに簡単に始末できるなんて。」

一方で、司令官室にいる二人は驚きを隠せない。

「シャドウサーベル!?あの女魔硝石を持っているの!?」

「犯人は魔硝石を使えるのか!?ということは奴の目的は我々の持つ魔硝石か!」

「残りの兵士たちも急いで向かわせるわ。これは手遅れになったらまずいわね。」

「ああ、急いでくれ。魔硝石を奪われるようなことはあってはならない。」

そして、兵士達が大勢魔硝石管理室に押し寄せる。しかし、赤髪の女は一切顔色を変えることはない。そして、表情を一切変えることを無く同じようにシャドウサーベルと呼ばれたその魔術を放ち、無慈悲に打ち倒していく。

「しつけぇんだよ大したこともねぇくせに。・・・さて。これが次元石か。成程ね。確かにこれは暗黒石に似た光だ・・・でもね。それだけのものに興味はない。さよなら。」

そして、赤髪の女は次元石と呼んだその石にライフルを突きつけ・・・石を狙撃した。その石は、跡形もなく木端微塵に崩れ去る。

「次元石を破壊した!?こんなことがあるのか!?この女の目的は一体何なのだ!?」

そして、次元石を破壊した赤髪の女はそのまま立ち去ろうとする。しかし、そのまま立ち去ることはできなかった。セレンが、そこにはいた。

「ちょっと貴女?まさか、ここから無事に出れるなんて考えてないでしょうね?」

「考えてるに決まってるじゃん。何アホなこと聞いてんの?」

そのまま立ち去ろうとする女の腕を掴み、セレンがそのまま背負い投げを決めようとかかる。赤髪の女はそれを寸でのところで体勢を変えて回避し、そのままシャドウサーベルを放つ。セレンはそれを避け、赤髪の女に火の玉を浴びせかける。スキンエンパイアが管理する魔硝石、火炎石によって使えるようになる魔術だ。

「セレン!退け!」

セレンが装着したヘッドセットからクロムの声が聞こえた。

「なんでよ!ここで捕まえないと・・・!」

「落ち着けセレン。相手は暗黒石を持っている。火炎石では勝ち目はない!」

「・・・クッ!」

クロムの指示もあり、セレンは引き下がる。赤髪の女は、それを見て走り去っていった。


「クロム!?どうして・・・」

「早まるな。お前を失うわけにはいかないのだ。・・・しかし、これはまずいな。至急捜査本部を立ち上げる。セレン、本部の指揮は任せたぞ。あの女を何としても捕えるのだ。」


そして、次元石が破壊されて一週間後。犯人と思しき女がコールルピックで捕らえられた。

逮捕した女とのDNAの照合、事情聴取が行われ、多少の話の食い違いは見られたもののDNA、指紋、顔等が99.9999%の合致をしたことにより間違いなくこの女が犯人であるとセレンは断定。しかし、セレンにとって気がかりなことがあった。その女は、事情聴取、裁判において一貫してこう主張している。

「私はやっていない。人違いだ。暗黒石など持っていない。」

そして、その発言をしている時、どの噓発見器を使用しても全く反応しないのだ。しかし、証拠も上がっており、セレンも気のせいだ、機械の故障だと流し証拠を覆すには至らず最終判決としてその女には死刑が言い渡された。

被告人の名はシェリル=コンスタンティウスと言った。

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