王太子日記。
こういうパターンもありかなって。
ほんの少しだけ修正しました。5/18
評価、ブックマークなどありがとうございます!
本当に咽び泣いてます。
〇月×日
今日から観察日記を始める。
父上がやれというので仕方なくだ。はぁ。
面倒くさいなぁ。
観察対象は私の婚約者になったとかいう女だ。
まだ私も相手も幼いけれど私は王太子で、それは公爵令嬢。婚約は仕方あるまい。
公爵が渋っていたようだが父上が頷かせた。
やれやれ。困ったものだ。
これは公爵家をこの国から逃さない為の物なのに。
△月□日
今日あの娘に会った。正式に。
見かけたことはあったけど、話したのはこれで初めてだ。
なんというか……理解不能だ。
見た目はそこそこだが、中身がおかしい。
いけめんだのしょただのいいながら歩いてると思ったら、
私に会った瞬間、
「おお神よ…どうしてこの可愛い無表情系しょたが、
私の死亡ふらぐだと仰せに…」
とかなんとか言いながら倒れた。
そこの義弟よ、私は何もしていない。
●月☆日
あの公爵家から謝罪が届いた。
謝るのはいいから説明してもらえないか。
そこから何度かパーティーに出たが、会うことはなかった。
そういえばデビュタントはまだだったらしい。
それなら当然だ。
この手紙にあるパーティーで前回のことを聞こう。
もうちょっと挨拶にきてもいいものだと思うのだが…。
★月◎日
今日はデビュタントだ。
一応私は男だからきちんとエスコートしなければなるまい。
はぁ。元々こういった行事は気が重くなるが、
どこかずれた婚約者を見ていれば良いか。
これも書かなければいけないし。
★月◎日つづき。
さっきも話したが、私はあの娘のデビュタントへ行った。
直前まで体調不良だったらしいが、今はずるずると義弟とメイドに引き摺られている。
うん…奇抜な登場だな。
私と揃いの黒のドレスに金髪が映えている。
なかなか良いと思うぞ。
うーん…だが目はガーネットのようだから、
臙脂だとか濃い紫だとかも似合いそうだな。
そういった感じのことを言ったら
「な…なんなの、このいけしょた………
は!だ、だめよアメリーナ、情を移してはならない、移してはならない、移してはならない…」
移して貰わないと困るんだが。
そうか、アメリーナ、なんて名前だったか。
婚約者なんだし、名前で呼び合うべきだろう。
……王命で今度から定期的に来て貰おう。
なんて考えてたら義弟が回収していった。
◇月■日
私から話を聞いた父上はやっとか!儂はその言葉をずっと待ってたんだぞ!と言われた。
知ったことか。
まあ…そのせいか、月に1回という願が、週に1回に変わっていた。
増える分にはいいか。
△月▲日
アメリーナがやってきた。
うーん?毎度体調不良を訴えるが、仮病だろう?
そんな嫌われるようなことをした覚えがないのだが…。
面と向かうと、彼女は気まずげに目をそらす。
………。容姿は悪くないと思うのだがな…。己惚れだっただろうか。
そんな彼女はだいぶ年上の騎士団長に
「やだ…息子より断然いけめんじゃない…
これが大人の魅力…!もっと無精髭を生やしても良いのよ…!」
とかなんとか言っていた。
年上の方が好きなのか?いや、違うな。
この女、基本人の長所…特に顔と声しか見ていない。
これが公爵令嬢で本当に大丈夫か…。
△月▽日
まどろっこしかったので、リーナに何故私からそんなに離れたがるのか聞いてみた。
……。そんな目で見ても質問は取り下げないぞ。
「で、殿下は13になったら運命の相手と出会って、愛し合い、15で結婚するのですわ…たぶん」
たぶん?
でも今の私とお前は11だぞ?まだだいぶ先の話だと思う。
……運命の相手?誰だそれは。
「そう、そしてわたくしはひろいんを苛めに苛め倒し…そんなえねるぎっしゅになれるかしら…とにかく!学園の卒業パーティーで婚約破棄される運命なのですわ!でぃすてぃにー!」
え?何を世迷い言を言ってるんだこいつは。
私には少しも理解できない…。
だが、理解しなければ距離は離れたままなのだろう……とりあえず、話を聞くか。
「そう……そう、だから殿下は。殿下はひろいんと結ばれるの……きっと玉の輿が1番、1番転生したら選びたくなるはず、だから。それか逆はーれむ…ああ、嫌だわ。情を、移さないと。そう、決めたはずなのに…」
見ていられないな。
一応婚約しているから、抱き寄せても大丈夫だな?
ああ…落ち着け。
何だか私まで不安になるだろう。
泣くんじゃない、ここにいるから。
王太子の胸だぞ?無駄にするんじゃない。
そのまま、リーナは眠ってしまった。
▽月×日
そういえば、あのあと、
「ねえ殿下!今後ぷるふわ巨乳庇護欲をそそる薄ピンク系色彩の乙女を見かけたら、わたくしに仰って下さい!ふ、ふふ。こうなったらはーれむるーとなんて行かせないわ。殿下のみを愛していただかなくては!」
と言われた。
あまり、淑女が巨乳などと言う物ではないぞ。それにその慎ましい胸も嫌いじゃない…というか、育てればいい話だしな。うん。
何を勘違いしたか知らないが、私はお前のことをそこそこ気に入ってるんだぞ?
今更出て来られても王妃教育に耐えられないと思うのは私だけかな…。
⊿月※日
久しぶりに公爵邸で、リーナに会った。
まあ、お互い忙しかったからな。
……それで?その隣の男は?
はあ、辺境伯の息子?潰してやろうか。
王太子妃になるんだぞ、その娘は。お前、身分を弁えろよ?
いつもは王城で会ってばかりだったからな…。
たまにはこちらで会わないと不味いかもしれない。
義弟は飼い馴らしたようだが、全く。
躾のなってない犬?羽虫か?とにかく多いこと。
リーナが女性らしく…いや、なってないな。
貞淑とはかけ離れているがより魅力的になってきている。
少し抑えていただきたい。
◆月◎日
リーナは今日も馬鹿だ。
すぐに騒動を起こすし、警戒心はないし、人を誑し込むし…。勘弁してほしい。
この前だって幼女趣味…もう幼女ではないのだったか?まあとにかく誘拐されそうになっていたし。
王妃になるんだから前倒しでもう、隠密をつけてもいいんじゃないか?
お前達がリーナから色々貰って大事にしてるのを知ってるんだからな。
★月■日
リーナが魔力暴走を起こしたらしい…というかはしゃぎすぎてリーナ自身でも止められなくなったというかなんというか…。
聞いた瞬間走り出していた。自分でもこんな速さで走れたのかとびっくりした。
ふぅ…。まあ、大丈夫そうで何よりだった。
というかベッドに寝てすらいなかった。
本当に肝が冷えた。……少し心配を返して欲しい。
確かに庭があんなに融け落ちた森…?穴だらけになるほど魔法を使えばそうなるだろう。
というかよく切れなかったな、魔力。
説教をしたらしゅんとしていた。
これもお前のためだ、許せ。
●月§日
やっぱり、リーナは馬鹿だ。
あの魔力暴走の日から、
わたくしは妃に相応しくないでしょう?とか
どうせ婚約破棄なさるなら今の方がよろしいわとか。
はぁ。
お前以外に興味はない。
#月*日
今日は学園の入学式だ。
私は新入生代表でリーナから離れなければならないが…。
義弟よ、きちんと守れよ。
うん、通じたようだ。
〃月†日
最近リーナがおかしい。
いやおかしいのは元々なんだが。
時々物陰からこちらを見て、
「やっぱり逆ハーね、これは…」
とか、
「くっ…殿下、貴方の隠密は流石隠しキャラ、物凄く格好いいわ…」
とかなんとかいっていた。
逆ハーというのは、女が複数の男に群れられている状態、キャラは…まあ人なのだと。
隠しとはどういうことか分からないが。
惚れるのはやめておけよ、まだ手放したくはないからな…良い人材というのは中々見つかるものではない。
というか陰から見るくらいなら出てくれば良いのに。
¶月‡日
なんかぶつかってきたり、目の前でわざとらしく落とし物をしたり、生徒会に無理矢理ねじ込んで入ってきた女がやかましい。
これがリーナの言ってた奴なのだろうけど…
ぷるふわ?庇護欲をそそる?馬鹿言うな。
魅了の魔法を使いながら男どもに囲まれて嬉しそうな女がそんなわけないだろうが。
義弟よ、感謝しろよ?私がその魔道具を送らなければお前も餌食だったぞ。
そして女。
リーナに苛められたとかなんとか言ってるが、
あいつにそんな度胸も頭もないし、その時間は、私を陰から見ていたぞ?
リーナに言わせればストーキングと言うらしいがな。
〓月♭日
あの女がリーナに近づいている。
やめてほしいんだが…。
リーナが意気投合して、この子はわたくしの親友ですとかなんとかいうから邪魔はしないが…。
その間に女の取り巻き連中に、魔道具を渡しておく。
次代の権力者だろうが。この程度では困る。
皆泣いていた。あの気持ちは嘘だったのかと。
………リーナの話を聞かずに対策できていなければ、私もこうなっていたのだろうか。
お前達、男だろう…とは思うが、少し怖い。
∮月∥日
リーナがあからさまに私を避けている。
どうしてだ?
「殿下はようやく覚悟を決められたのですね!
これでわたくしも安心ですわ!」
とか言っている…。
しかも逃げられた。どういうことなんだ…。
ストーキング?もしてないみたいだし。
すればいいのに?
^月∑日
今日は卒業記念パーティーだ。
リーナをエスコートしようと思ったのだが、彼女はここにいない。
代わりにあの女をエスコートするよう言われた。は?何故。
未来の妻がいた。
一輪の薔薇のようで、凄く、美しい。
凛とした表情も相まって、その黒と深紅のドレスがよく似合っている。
見立て通りだったな。
そう思っていたら、こちらをぎゅいん!と向いて、
「ジルヴェスター・ラインカルナ殿下!貴方との婚約、破棄させていただきますわ!」
……は?
ちょっとごめん、よく意味が分からないんだけど。
聞き間違いかな?
「とりあえず落ち着いて。どういうことなんだい?」
「調べはついておりますわ殿下!
殿下はその可愛らしいサターニア様に恋をなされたのでしょう!
それで、余りに好きすぎるあまり、ばっどえんどのやんでれ…いえ、めんへらの本性が…ごほん。
とにかく!サターニア様に無理矢理交際を迫ったり、手を繋ぐよう強要なさったりしたのでしょう!?
早く言って下さればわたくしももっとはやくに身を引きましたのに!」
つまり、どういうことだ?
「それはないぞ、リーナ。お前だって見ていたはずだろう?私が何時そんなことをしたと言うんだ?」
「半年ほど前かららしいですわ!ね、サターニア様!」
「え。えぇ…そうなのですわ、ここまでしなければアメリーナ様が納得なさらないから、と言って…」
……。
勝手に話を進めないでもらえるか。
「そんなことは一切ないと、国に誓えるが…。
それで?そのサターニアとかいう女に私が何時何処で何のために何をしたって?」
周りがたじろぐ。あぁ…私は怒っているのか。
「殿下はわたくしに、」
「お前には聞いてない。そもそも、名前を聞いたのも初めてなのに、どうやって口説くと?」
「そんなわけありませんわ!だってわたくし見たんですもの!殿下がサターニア様と仲睦まじくされているところを!」
はぁ?
この女狐と、私が?
リーナ風に言うならテラあり得ないと言う奴だ。
「とりあえず私の話を聞いて貰っても良いか、リーナ。」
「はいどうぞ!睦言を好きなだけ囁いて下さいませ!」
言ったな?
「では、存分に。
リーナ。私はお前を愛している。
きちんと口にしたことはなかったか?
私はお前以外に嫁を迎える気はない、関係を持つつもりもない。興味もない。
分かるか?お前がいるからこそ、私はこの国をより良くしていこうと思える。
お前が支えてくれるなら、傍にいてくれるならと。
…それに、その娘の魅了は私には効いていない。それだってお前のおかげだ。
感謝している。その幻惑を見せた魔術師も当たりはついている。
だから私がお前以外に惚れることはない。
そもそも愛していなければそれこそとっくに婚約破棄している。
はぁ。何時から一緒にいると思ってる…。
少し予定より早くなってしまうが…リーナ。
お前みたいなのを御しきれるのは私だけだ。
私にも、お前だけだ。
だから、私と結婚してほしい。」
何秒か経って、
リーナの目が丸く、こぼれ落ちそうになる。
ひとみに薄らと膜が張り、ぽろぽろ泣き出している。だ、大丈夫か?
駆け寄ろうとすると、微かな声。
「わ、わたくしで…本当に、よろしいの…?
後悔なさるわよ…?」
良くなきゃプロポーズしないだろう…本当に馬鹿だな。
「後悔などしない。これは私自身が決めたことだ。王太子だぞ?
私が何か間違えたことがあったか?」
「い、いえ、一度も…」
近くに好きな相手がいればこそ、だがな。
「確かに何度もこんな馬鹿に、あるはずがないとは思ったさ。
しかし、胸が締め付けられるのは恋だし、
何でも許してしまえるのは愛なのだろうよ。
優しさも、嫉妬も、親しみも、仲間も。
全てお前が私にくれたものだ。」
「し、嫉妬…?えんう゛ぃー…じぇらし-…?」
それは聞き逃してくれていい。
「それで、どうする?」
リーナが大きく息を吸う。
「ゆるされるなら…。本当に、“悪役令嬢”に、私に、それがゆるされるのなら…。」
許されるに決まってるだろう?
「ふん。王太子たる私が許そう。だから、私の…私だけの、妻になってくれるか?」
「……っ。は、はぃぃ…。よ、よろしくおねがいしますぅぁぁぁ…。」
言質は取った。周りから拍手がわき起こる。
ずっとこうしたかったんだ。
もう王からの承認も得てるし。従者達もうるさかったしな。ちょうどいい。
「も、もう…なんなのよ…あんたたち、お似合いじゃないのよ、おめでとうございます!末永く爆発なさって!?アメリーナの知識ちーとでこの世界過ごしやすいし!!好きにしなさいよね!修道院でも国外でも何処でも送りなさい!」
いたな、こんなやつ。
「え、殿下、そんなことなさるのですか?」
うーーん。
「はじめはそのつもりだったんだがな…。
魅了も殆ど意味をなしてなかったし、幻惑も体に被害がでるものではないしなあ。」
その女を許してほしいんだろう?リーナ。
「とりあえず場所を移動しようか。」
結局、リーナとさた…なんだっけ、まあ女に、
命をかけた主従契約をさせて、侍女として働いて貰うことになった。
親であった男爵は元々嫌な奴だったので、この機会に爵位を剥奪してしまった。
どこへとなりいけ。
…そしてここは夫婦の寝室だ。
見返りにリーナを一日自由にさせて貰った。
それでいいのですか?と聞かれたけど、いいも何も。
値千金の価値がある。
はぁ。
恥ずかしそうな妻を抱き寄せて、蜂蜜の髪にキスをする。
瞼、頬と落ちて、唇に深く…底まで溶け合うようにまたキスをする。
…顔が真っ赤だ。かわいい。この時の為に私は生きてきた気がする。
あぁ……淫靡に濡れた彼女のくちびるをなぞる。
ふふ…愛しいリーナ。
お前はずっと……私だけに溺れるんだよ?
その後、
王国は2人の異世界人によるフル知識ブーストと、苦労性な王、そして3人の人望ある子どもたちによって強大な国を築きましたとさ。
おしまい。




