悪役 昴?
遊軍メンバーが明らかになります。
今回は奏多視点です。ギャグ要素が強いかもしれません。
「アレ?誰だ此奴?」
口の悪い男は興味有り気に僕をジロジロと眺めている。
「止めろ、ロノア。客に失礼だ」
冷静に指摘する白い髪の男。血のような赤い瞳が特徴だろう。
肌も白く、その割に筋肉質だ。
哭斬と同じで力が強いと言うことは近づいただけで分かる。
それなのに、武器が銃だというのは少し合点がいかなかった。
「此奴は奏多という。俺の雇い主だ」
「どうも!奏多です」
此処に来て何度目かの挨拶。
いい加減飽きてきた。もう名乗りたくないよ。
「へぇ~そうか。俺はロノアだ。宜しく頼むぜ、若!」
ロノアはそう言って握手を求める。
若か・・・確かに僕より年上だなと心の何処かで思った。
今まで会った中でも比較的、友好な人だ。
手には、やはり日本刀という武器を握っていたが怖さは皆無。
友好的な笑みを浮かべているのが何より嬉しかった。
「うん!宜しく!」
握手を交わした。
その手は強く、大きく・・・安心出来るものだった。
ロノアの雰囲気としては竹?だろうか。
和風が似合う人物で職人という感じが滲み出てはいた。
しかし、少しだけ不器用な様子も見て取れた。
「ロノアが失礼した。白狼だ・・・」
「宜しくお願いします」
「ファルコに任せれば心配無い」
この人は白狼。やはり赤い瞳が気になる。
雰囲気としては武士、侍。無口で腕が立つことは明らかだ。
どうしよう・・・僕の苦手な無口な人だ。
無口な人は考えが読みづらい。だから嫌いなんだよな~。
っと、そんなことを思っていても仕方ない。生き残るためなんだから。
「・・・!!」
何故か遊軍全員が同じ方向へ武器を構える。
えっ?何ですか?敵ですか?
僕には何も分からない。只、緊急事態とはこのことだろう。
銃を構えるファルコと白狼。日本刀を構え、僕を背後に匿うロノア。
ピリピリとした場の雰囲気に息を飲まざるを得ない。
「おい、何か来るぞ」
ロノアが告げる。その口元には満足げな笑み。
恐らく僕に伝えてくれたのだろう。親切だな~。
次の瞬間、謎の人物が姿を現した。
「この国の王は貴様だな?ダークに聞いたぞ」
何だって?この国の王様?一体、誰のことを?
ジッ~~~
・・・三人の視点が痛い。
えぇ!!僕ですか?
いやいや、そんな馬鹿な・・・。
「僕じゃないんですけど!」
必死で抗議したのに彼は聞いてくれなかった。
三人も僕が王様という言葉に対して否定することはない。
何で?僕は此処に来たばかりの客では?
「残念だが、昴の言うとおりだ」
白狼は隙を一切、与えることなく言葉を告げる。
背中は格好良いんですけどね白狼さん。
今は否定して欲しかったな、本当に・・・。
「大丈夫だ、若!俺達に任せろ」
ロノアは戦うことしか頭にない。
否、護ってくれるのは嬉しいけど今は逃げようよ!
「雇い主を護れ。背を向けるな!」
隊長の命令に全員が応答する。
「了解だ」
流石、遊軍。どんな事態でも敵に背を向けることは無いのか。
逃げようなんて思ってた自分が急に情けなく思えてきた。
僕にも武器さえあれば!
「遊軍・・・邪魔立てするか。あくまで王の味方というのなら仕方ない」
ゴクリ
その場に居合わせる全員が唾を飲む。
漂う沈黙。続く睨み合い・・・。
「今回は退こう。遊軍の為にな」
退却してくれるんですか?
余りの呆気なさと、引き際の良さに驚きを隠せない。
貴方がこの世界での悪役ですかね。昴さん。
「王よ、心しておけ。その命を頂く、必ずだ!」
そう言い残すと昴は去って行った。
何と言う捨て台詞。間違いない!あの人は悪役だ!
悪役も仲間に出来れば強いな・・・そう思う、この頃であった。
悪役さえも仲間にする。そんな話も面白いとは思いませんか?
俺は面白いと思います。悪役だからこそ強い、悪知恵が働く。
仲間にして失うものは多いですが、得るものも多いでしょう。
全てを仲間にする!それが、この物語の真髄でもあります。