遊軍結成の由来
今回は初のシリアス回です!
少し重い話ですが、明るさも少々あります。
奏多視点です。それでは・・・どうぞ!
ファルコに連れられて・・・担がれてといった方が正しいのだが。
無事に城へと来ることが出来た。良かった!
途中、変な人は居たけれど気にしない。
あれ?そういえば零さんって武器なかったよね?
否、あの人は格闘が得意だった・・・とか?
思いを巡らせている僕にファルコが話しかける。
「急に悪かったな、雇い主。だが、走るの苦手そうだったから・・・。
責任を取れと言うのであれば責任を取る。この首、如何様にも!」
ファルコは片膝をついて頭を下げている。
真面目だ。真面目を通り越して、それはもう武士の域だ。
潔く・凛々しく・・・鉄の意志が、その覚悟が目に見えて分かる。
でも、隊長。その立派な覚悟とは裏腹に言いたいことがある。
確かに僕は運動が苦手だけど、その一言は余分です!
このガラスのハートが如何なっても宜しいんですか?
「分かったよ。じゃ~・・・最後まで宜しく頼みます!」
最後まで警護お願いします。ここで死にたくない!
今は貴方しか頼れないんです、遊軍隊長。
「任せろ!もうじき仲間も来る筈だ。少し待ってくれ」
「待ちましょうか」
僕達は遊軍隊員が来るのを待つことにした。
待っている間は当然、暇だ。
ファルコを見ると銃ばかり見つめている。
「何故、ファルコの武器は銃なんですか?」
尋ねてみた。それは単純な疑問だった。
「そうだな・・・銃が好きだったんだ。
剣よりは他者を傷付けなくて済む・・・」
その眼は悲しく、遠くを視ているようだった。
その顔も微笑しているが、悲壮に満ちたものだった。
「争いが嫌いなの?」
「嗚呼。悲しむ者が大勢居る。守るべきものが沢山在る。
それを守り切れなかった時、俺は自分を呪い、悔やんだ。
そして、全ての罪を一人で被ることにしたんだ。
大切なものを守り通す。それは難しいが故に心を潤すものがある。
だからこそ俺は遊軍を集った。皆の大切な者を守れるようにな・・・」
「ファルコ・・・」
全ての罪を一人で被るなんて出来ることじゃない。
守り切れないことが罪なんて・・・そんな訳ない。
全ては不幸が重なっただけのことなのに・・・。
僕は言葉に詰まった。何と言えば良いのか分からなかった。
それでも、何か言ってあげたかった。
憐れむ言葉でもなく、罵倒でもなく、僕の心の叫びを。
「ファルコは悪くないよ!
だって、皆も幸せだったと思う。心から感謝してたと思う!」
それは彼の心には届かない。分かっていた。
それでも言っておかなければ、彼は更に自分を責め続ける。
少しでもファルコが自分を認められるように・・・。
「ありがとう、雇い主・・・」
その声はいつものように優しい。
表情は未だに変わらなかったが、
それでも眼はちゃんと僕を映していた。
「待たせて悪かった、ファルコ」
「悪ぃな。待たせて」
遊軍はこれで全員揃った。
これから何が始まるのか想像も付かなかった。
遊軍結成の理由は皆の大切な者を守る為。
大切な者を守り切れない
その辛さ・苦しさは尋常ではありません。
だからこそ隊長は己の罪と感じ、囚われているのです。