プロローグ
細々とやっていくのでよろしくお願いします。
プロローグ
「やあ。元気にしてたかい」
「久しぶりだな」
「少し顔がみたくなってね」
「どういう風の吹き回しだ?お前からあいにくるだなんて」
「前にあったのはいつだったかな」
「十年ほどまえだな」
「そうか。それくらいか」
「おれももうろくに体が動かせん」
「無理をしなくていいよ。英雄」
「それはやめろ。お前がいたからおれは生きているんだ」
「そんなことないよ。君一人でもあれは倒せたさ」
「あれはな、」
「・・・・・・・」
「知っているぞ。あの間にお前は何十匹も仕留めていたんだ」
「はは、ばれてたか」
「わかっているさその位。一匹倒した代償がこれさ」
「君は未来を守ったんだよ。この星の」
「子供たちは元気か」
「ああ、君が守った子供たちはしっかりと成長しているよ」
「なら安心していいな」
「ああ、安心しな」
「もう、任せてもいいか?」
「ああ、任せな」
「頼りっぱなしで悪いな」
「君は僕の命の恩人さ。なんでも頼ってくれ」
「ありがとうな」
「ああ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「さようなら、親友あとは任せて」
青空広がるその日、男は黒の制服を身にまとい腕に花束を抱えていた。名前は黒羽 黒矢。スタイルのいい好青年である。髪は黒、瞳も黒、肌の色は黄色人種特有である。ゆっくりと黒矢は自分の目的地へと向かっていた。足取りは少しばかり重かった。本人はそこまで乗り気ではないのだ。死んだ自分の父親がおそらく最も望まなかったであろう展開だからだ。できるかぎり避けてきた。だけど強いあこがれがあった。その想いをとめることができなかった。天国の父にどう顔向けしようか、そう考えて目的の父の墓の前につくと先客がいた。見た顔であった。まだ父が生きていたころにあったことがある。男は手を合わせていた動作をやめゆっくりと私にむいてきた。
「やっぱり来たね。僕のこと覚えてる」
「覚えてますよ。師風さん」
師風さんは長い銀髪を揺らしながらその甘いマスクでゆっくりとほほ笑んだ。
「うれしいな。あったのは五年以上前なのに」
「忘れませんよ。父の数少ない親友でしたから」
「あいつは人との関係を極力断っていたからね。そうせざる負えない立場だったのかもしれないけど」
少しばかり物憂げな顔を師風は見せた。
「線香あげていいですか」
師風は後ろにすっと下がる。私は花を墓前に飾ろうとしたがすでに新しいものであった。墓前に花束を置き、線香に火をたく。その前で手を合わせた。
(父さん。私はあなたと同じ道を行くかもしれません。ですがあなたより長く生きます。必ず)立ち上がり振り向く。
「では明日からもお願いします。理事長。」
「わかったよ。黒矢君」
互いに笑顔で受け答えをした。風が強く吹き、鳥が舞う。少しずつ何かが動き出してきた。