第5話
(この話って、どんな話だったけ?えーと…)
紗良は映画撮影の打ち合わせの時の星奈の話を思い出す。
この話はなー、同じ部活に所属している少年少女が恋する話なんだよ。互いが共通の趣味があって、とっ
ても仲がいいんだ。でも、この気持ちを伝えたら、今の心地いい関係が壊れてしまうかもしれない。弾け
てしまうかもしれない。だから、二人を互いを想い続けていても想いが伝えられない。そんな日々が続く
中、二人は互いに好きな人がいることを知ってしまう。もちろん、好きな人はお互いのことなんだけど、
そんなこと二人は知らない。それで二人は_
(うーん、説明自体はわかりづらかった…。でも、台本とかプロットとか見たら凄く複雑だった。どうなっいるのかな?星奈の頭の中…)
そう思いながら辺りを見渡す。
今日は桜が満開だ。ラストが桜満開のところでしたいという星奈の希望に添えて撮影日が今日になった。
「紗良?どうした?緊張か?」
急に星菜が顔をのぞかせたので
「ひゃぁ!びっくりした…」
「何か考え事していたようだな」
紗良にとって図星だった様だ。
「うん。この状況が自分と似てるなって…」