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第3章
(あー!星奈があんなこと言うから零の隣にいづらいじゃない・・・)
紗良は頭を抱える。
「お嬢様?どうかなさいました?」
「あっ、零!あの、その、えっと・・・」
名前で呼んでほしいと言いたい紗良。
「?」
零はキョトンとしている。
「な、なま・・・」
「なま?」
そして言えたかと思えば
「生卵が食べたいなー!今晩!」
全然違う言葉が出た。
「そうですか。では夕食の時に用意しますね」
零は笑いをこらえているようだ。
部屋に戻った紗良はベットに顔を伏せる。
(どうして、素直になれないんだろ…)
ベットから顔を上げ、紗良は部屋の小さな壁に「素直になりたい!」と書いた。
(落書きだらけの壁、今ではそーとー恥ずかしい・・・)
そう思いながら周りを見渡すと本の山を見つける。少し背伸びして買ったたくさんの本。今もなお読み続けていた。
その本の山から1冊の本を見つける。
それは部活で今後製作する映画の台本だった。