第2章
「それは・・・一体どういう意味でしょうか?」
キョトンとした表情で零は尋ねる。
「そのまんまの意味よ」
慌てる口調で紗良は答えた。
「私はこのような身分ですから、お嬢様のお名前をお呼びすることはできません。では、お食事の時にお呼びいたします」
零は紗良にそう告げると部屋から出て行った。
「そう。そんなことがあったのか」
日付が変わり昼休みの屋上で紗良は昨日のことを星奈に話していた。
「もー、私、何のために苦しんでいるんだろう?温度差が苦しいの・・・」
紗良はうつむいた。それは何かを示していた。その何かは・・・
「紗良は好きなんだ。零さんが」
「えぇ!?嘘!そんなことない!」
顔を真っ赤にする紗良。
「もっと素直になったら?心読むよ?」
「魔法使いの権限使ってー!」
魔法使いの星奈は続ける。
「『そうなのかもしれない。でも絶対嘘!』か」
「勝手に読まないでー!」
星奈は笑いながら紗良をからかった。
「ごめんごめん。そんなつもりはなかったんだって」
「絶対嘘でしょ…」
立った数分の会話に紗良は疲れを覚えた。
「でもさ、話を聞くとそれは何かの通過点みたいなものじゃない?」
「一つの答えよ・・・」
「それはわからないじゃない。少しでも味わったら??」
「えっ・・・。何を・・・?」
「この人間味を」